勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第5章 ここから始まる女神様?

五十日目⑨ 【湿原のダンジョン】初戦闘

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 いつものようにダンジョンの入り口で受付を済ませ、【湿原のダンジョン】へ初めて進入を果たした。
 ゲートをくぐると最初は洞窟のような場所に出た。
 じめっとした感覚が少しの嫌悪感を覚えさせてくる。
 タチンタチンと水滴が落ちる音と俺たちの歩く音が、そのじめっとした洞窟内に木霊していた。
 それが余計にこの場所の陰気さを際立たせることになった。
 それから少し歩くと目の前が少し明るくなり、一瞬眩しく感じてしまった。
 目が慣れるとそこに広がっていたのは洞窟型ダンジョンではなく、フィールド型ダンジョンだった。
 見渡す限り湿原で、ダンジョンに入るまで戦っていた場所と大差が無かった。
 強いて言うなら、足元が更に悪い。
 一面水たまりというよりも沼。
 ずっとぬかるんでいる状況で、踏ん張りがあまり効かない。
 これは慣れるまで上手く移動が出来ないな。
 皆も同じように苦戦していると思いきや、俺とリサだけが歩き辛そうにしていた。
 ポールたちは普通に歩いているので、何かコツがあるのかもしれないな。
 取り敢えずぬかるみを歩いて行く事にした。
 なんとか付いて行けてはいるけど、これで戦闘になったら俺は役に立つんだろうか。
 リサもさすがに不安げにしていたので、ポールにコツは無いか聞いてみた。

「ん?ぬかるみを歩くコツ?口では難しいな。強いて言うなら、慣れるしかない。あとは蹴り足で蹴り過ぎない事だな。」

 確かに進もうと蹴り過ぎると後ろ脚が滑ってまともに歩けない。
 どちらかと言うと、小さな歩幅で足を上げながら歩くという方が分かりやすいかもしれないな。

 リサも俺の真似をして小さな歩幅で歩くようにしていた。
 なんだかヨチヨチ歩きに見えて可愛いって思ってしまったのは内緒だ。
 チマチマと歩く姿が小動物っぽいんだよね。

 俺とリサが歩き慣れた頃、デイジーがモンスターを発見したみたいだ。
 おそらくスライムで数は5。
 結構多いかもしれないな。

「どうする?先に2匹くらい残して3匹は倒してしまう?」
「それが良いわね。カイトとリサの戦闘訓練って事で良いと思うわ。ナンディーは……大丈夫そうね。」

 エルダはナンディーを見ると、たいして疲れていない事に気が付いたらしい。
 俺とリサがぬかるみに苦戦しているところ、ナンディーは全くと言っていいほど問題なさそうに歩いていた。

「おや?私が普通に歩くのが不思議ですか?これもまた騎士としての訓練の賜物でしょうか……。訓練の内容にはフル装備で山道を永遠と歩く事も含まれます。特に精鋭部隊には必須科目です。ですので、こういった不整地の行軍は出来て当たり前なのですよ。」

 なんだかナンディーの背後から「ドヤァ~」って聞こえてきそうだったけど、その内容は過酷そのものだった。
 おそらく俺の知る自衛隊の訓練に近いものがあると思う。
 まあ、どっちが辛いかは比べるのはナンセンスだな。

「デイジー、エルダ。悪いが3匹の処理をやってくれ。残り2匹をカイトとリサにやって貰おう。」
「了解!!」
「分かったわ。」

 デイジーは元気良く動き始めると、周囲の木の枝に飛び乗った。
そのまま更に上に登り、天辺まで行ってしまった。
 そこから手でひさしを作りながら、モンスターの位置を確認していた。

「目測でここから約600mってところね。編成はスライム5匹で間違いないわ。ここから一気に射撃しても良いかな?」
「デイジー、一発は場所の特定がしやすいように、信号弾でお願いね。」
「分かった~。すぐにやっちゃっていいの?」
「お願い!!」

 エルダとデイジーの間で情報のやり取りがなされていく。
 俺とリサは何が何だか着いて行けず、とりあえずこの後戦闘が在るので戦闘準備を始めた。

 デイジーが射撃準備を始めた頃、エルダも【魔光陣】の準備を始めた。
 使用する【魔光陣】は氷。
 ターゲットはデイジーの信号弾付近。
 だんだんと集中を高めていくエルダは、すでに待機状態に入っていた。

「じゃあ、行くわよ~!!【神速・二射】!!」

 珍しいデイジーの掛け声とともに、二筋の光の帯が煌めきながら直進していく。
 その光の帯は音も立てず、目標に着弾。
 問題無く1匹を仕留めることに成功したようだ。
 デイジーからあと2匹よろしくって声がかけられた。

 先程スライムにぶつかった魔法の矢は、接触と同時に強い光を放った。
 おそらくあそこに残りのスライム4匹が居るんだろうな。
 エルダは光の場所を元に【魔光陣】を発動させる。
 ここからだと見えないけど、足元からいきなり氷の礫が飛び出してきたのだから、回避など出来なかったはずだ。

「OKエルダ。2匹の討伐を確認したよ~。これで残りは2匹。二人とも頑張って~。」

 何となく気の抜けた応援に、俺とリサはなんだか気が少し抜けてしまった感じがした。
 おそらく気合の空回り。
 こんなのだったら、パフォーマンスがガタ落ちになるわけだ。
 それを分かってデイジーは和まそうとしてくれる。
 本当にありがたいな。

 ポールを先頭とし、俺とリサはその後ろに付いた。
 殿はナンディーが務めてくれる。

 徐々に近づき残り100mまで来ると、俺にも情報が分かるようになってきた。
 先に居るのはスライムが2匹。
 色は青色で、〝ザ・スライム〟って感じがした。
 地上で戦っていたような土色ではなくて、水が固まったような色をしていた。
 見た目もぷよぷよとして張りがあるように見えた。
 丸くまとまったり、デロンと潰れてみたり、何がしたいのか全く読めなかった。
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