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しおりを挟む光の中に居た。
夢だったんだ…と、安堵して辺りを見渡そうとすると
視界の隅に何だかよく分からない塊があった。
『本当にすみません!!!』
そこにはもこもこふわふわの金の髪をした
10歳くらいの少女がいた。
土下座をしながら。
「え!?……えっと…お顔を上げて下さい」
こんな時、仕事で培った対人スキルがあって良かったなと思った。
出会ってすぐの少女に土下座されているという状況が全く掴め無かったが、とりあえず気まずいので顔を上げて貰うことにした。
身体を震わせながらゆっくり起き上がった少女は、うるうると深紅の瞳を揺らしていて今にも零れ落ちそうだった。
チワワ?
トイプードル??
ポメラニアン??
とりあえず小型犬っぽい可愛らしさだ。
小型犬が見える。
『私はあなた方が"神"と呼ぶ者です…。
私があなたの住む地球を担当していたのですが、少しだけ……ほんの少しだけ眠ってしまった間に世界の歪みが発生していて…長寿で生涯を終える筈だったあなたがその影響を受けてしまい、その生命を終えてしまったのです…。』
「はぁ…。」
少女は女神様らしい。
なんて気よゎ…ゲフンゲフン
低姿勢な女神様なんだろう。
ていうか、神世界少し寝ただけでそんな事になるなんてブラックだな。
お陰で気の抜けた返事しか出来なかった。
『まさかここ何百年も無かった歪みが起こるなんて思わず、眠りこけてしまいあなたを死なせてしまいました…本当にごめんなさいっ……』
「いえ…過ぎた事ですし…。」
正直あまり生まれた故郷に未練が無かった。
父は小さい頃に亡くなり、シングルマザーで育った。
身体が弱かった母は、私が成人して働き出してから糸が切れたように身体を壊し亡くなってしまっていたのだ。
家族はもう居ない。
仕事は楽しかったし、友達も居たけど広く浅くな関係だった。
それに、そんな話しをされた所で凡人には良く分からない。
事故によって生命を終えた事に変わりは無いから。
にしても神様可愛いな、おい。
としか思えなかった。
『なんて心優しい…!
お詫びと言っては何ですが…元の世界でのあなたの身体の形成、復活は世の理に反してしまうので……別の世界、あなたの心が望む世界に新たに身体を造らせて頂きました。』
話を聞いていると、私はなんと異世界転移をしているらしい。
女神様によれば世界は色んな所で繋がっているらしく、それが稀にインスピレーションとして降りて来ているのだと言う。
私の好きな漫画の作者は、異なる世界のインスピレーションを受けて物語を書いているのだそうだ。
つまり人も場所も存在するらしい。
なんて事だ。
アレは夢では無いと言うのか。
『そしてこの世界に順応する為に年齢は10歳若く、お顔は可愛らしいので目の色だけ少し変えておきましたのでご確認下さいね?
後、あなたに合った魔力を入れておきました。
私と会えるのはこれで最後ですが、あなたにとっての幸せが訪れますように願っております』
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