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78 ※ゲイルside

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「マリー!」


手を伸ばしたが、間に合わなかった。




無常にも光の矢はマリーに突き刺さり、その場に倒れていく彼女を見る事しか、出来なかった。


アレンがルーチェを口に咥えて拘束した事を確認して、マリーに駆け寄る。



「マリー、…マリー!」

余り動かさない様に、抱えると大量の血を流し浅い息をするマリーの手がだらりと落ちる。

危ない状態だ。

急所は外れているが、血を流し過ぎている。


「ゲイルさん!僕に任せて下さい!」


「…スカルフ、お前」


「すみません、意識は合ったのですが身動きが取れない状況でした…。精一杯、この方を治します」


頬を腫れ上げさせながらスカルフは治癒を施す。
この国の最高位の治癒師が長い時間を掛けてマリーの傷跡を塞ぐ。


カレンも魔力が枯渇し過ぎていて、危ない状態だ。
其方は師匠達や侯爵家の者達にて治療が施されている。


願う事しか出来ない。失いたくない。



そう思った時だ


マリーとカレンの身体が温かい光に包まれた。


天から光の道が出来、怪訝な顔をしたアレンがそこにルーチェを置く


『ぎゃ!僕は其方に行くつもりは無いよ!やめて、やめて!!』


ルーチェは叫びながらその光の中に吸い込まれていった。



『皆の衆、此度はよう頑張った。光の精霊は此方で貰い受ける。

双方の生命に別状は無い。亜麻色の髪の娘には魔力供給を続け、黒い髪の娘には休養を与えよ』






部屋全体に響き渡る様な声だった
だが、穏やかで威厳の有る透き通る女性の声


マリーとカレンを包む光は終息していき、2人共血色が良くなった。


「…お母様、お兄様」

「カレン!大丈夫なの?」

「はい…魔力は殆ど残っておりませんが、生きております」

「良かった…カレン嬢。もう少し魔力渡しとくわ」

カレンは意識を取り戻した為、別室にてリラから魔力供給が行われる事になった。


「スカルフ、マリーちゃん大丈夫か?」

「エディさん、本当に生命に別状は無いようです。
ですが、血が大量に流れた為に深く眠っているようです。
暫く、安静になさって下さい。

では、僕はカレンさんの容態も確認してきます」

「あぁ、お願いする。」


俺は師匠達に断りを入れて、マリーを抱き抱えて帰る事にした。

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