追放されたが、記憶を取り戻した俺は剣と魔法で仲間と共に腐った主義を壊す

カレキ

文字の大きさ
3 / 31

第三話 ガリア学院

しおりを挟む
 西から東にあるガリアに行くにはあまり時間がかからなかった。
 馬車で1時間ほどで、ガリアにあるガリア学院に着いた。
 時刻は夕方で、もうすでに授業は終わっているが、アーニャ先生の担当するクラスの皆は俺を待っているらしい。
 道中、紙に何やら書いていたと思えば、このことのようで、紙飛行機魔法を使いクラスに手紙を送っていたのだ。

「教室に入る前に私が担当するクラスについて話そうと思う」

 アーニャ先生は教室の扉の前で足を止めると、俺にそう言っていた。

「私のクラスは2組。その名の通り、2位ということになる。この学院ではパーティとしての強さ、ダンジョンにどれほど深く潜り込めるかで順位付けが決まる。そして私はアラスに期待している。だから君は私が集めた推薦組のパーティーに入って欲しいの」

 アーニャ先生はそう言うと、何か忘れていたことを思い出したよな表情になると、

「ああ! 安心して。うちの学院のパーティーは4人と決まってるけど、ちゃんとアラスが来る前に一人追い出しておいたから。所詮は数合わせだったから」

 そういって、優しく微笑むアーニャ先生が怖くなる。

「あとはねー。うちの学院についても話してなかったわね。ラリアでは食事もお金もすべてが支給されていたと思うけど、ここではダンジョンでの活躍でお金が支給されるから。まぁ、稼がなくても最低限の衣食住くらいは保障されてるけど、豚小屋で寝たくないでしょ? そういうことよ」

 アーニャ先生は自らの発言を疑問に思ってはいないらしく、涼しい顔をしていた。

 俺はいよいよ実力主義の学院に来たのだと実感する。

「あとは授業に出席する必要もないから。全てはダンジョンでの結果が全て。何か質問ある?」
「いえ、特には」

 本当は聞きたいこともあったのだが、質問するたびに恐ろしい答えが返ってきそうだから俺は質問しなかった。

「そう。じゃあ、ご対面ね」

 アーニャ先生は教室の扉を開ける。

 すると、

「待ってましたー!! 我らが期待の4人目の推薦組!!」
「アーニャっちから聞いたよー! めちゃくちゃ強いんだってー! 私たちの生活費もよろしくね」
「おおーやはり推薦組はオーラが違うな、オーラが!!」

 教室には30人ほどいて、皆は俺を見るなり拍手で迎え入れてくれていた。

 俺はその慣れない歓迎に、愛想笑をすることしかできずにいると、

「今日は豪華な夕食を用意したわ! もちろん、私のおごりよ」

 そう言い、指をパッチンと鳴らしていた。
 すると、どこで待機していたのか料理が開け放たれたドアから次々と浮遊して運ばれてくる。

「流石アーニャっち! 優しい!!」
「そりゃー、大事な教え子だからねー!!」

 既に出来上がっていたクラスに溶け込めるはずもなく、ただそれを壇上の上から見ていると、常日頃運動でもしてそうな爽やかな短髪の男が話しかけてきた。

「アーニャっちは自己中心的だからなー。アラスが戸惑っていることなんてお構いなしさ」
「君は?」
「ああ、そうだったな。俺の名前はエラルド! 推薦組でパーティーのリーダーをしている。アラスもよくこんな学院に来たな。ここは大変だぞ!」

 馴れ馴れしく、でも、人がよさそうにニコニコしながら言うエラルド。

「そうは見えないけど。皆元気そうで活気がすごいある」

 そう、教室に入った瞬間わかった。
 皆ニコニコと笑っているのだ。

 すると、エラルドは大笑いをしていた。

「元気そう、か! 傍から見るとそうなのかもな。でも、余裕がないから笑うしかないんだ。特にここ最近は最下位の5組にも抜かされそうな勢いでな。それに......」
「それに?」

 エラルドは曇った表情をしていた。

「いや! なんでもないさ! それより、こっちこいよ! 推薦組の二人が待ってる。あ! 先に言っとくけど、変人だけど気にしないでくれ」

 エラルドの発言から察するにこの学院はかなり厳しい学校というのは分かったが、実感できなかった俺はエラルドが言いかけた言葉を尋ねる気にもならず、俺はエラルドの後をついていった。

 そこには腕組をしながらむすっとした表情の銀髪美少女と眼鏡をかけ、ゆるふわと言った表現が似合う、これまた美少女がいた。

「紹介するよ。こっちの銀髪がリーフェ。んで、眼鏡をかけたほうがユラ」
「よろしくお願いします、アラスくん」
「ああ、よろしく」

 丁寧にお辞儀をするユラ。
 それを見て、『ああ、なんだ。変人じゃないじゃないか』と思う。
 だが、リーフェは違った。リーフェは俺のことをむすっとしながら見つめていた。
 その視線に何も悪いことをしていないのに、気まずくなってくる。

「おい、リーフェ。これはルールなんだ。お前がいくら強かろうと関係ない。仲間になるんだ。挨拶くらい――」
「うるさいわね! 分かってるわよ!」

 リーフェは何故か俺の方を向いたままそう言うと、

「よろしく。でもね、私一人でダンジョンなんて攻略できるんだから! あんたがいくら強くても私の邪魔はしないで」

 そう言う、むすっとした表情のままのリーフェの視線が怖くて俺は視線を外した。
 何かすれば噛みつかれそうで、この先こんなのと過ごさなければいけないのかと思う。

「ごめんなー。リーフェはいつもこうなんだ」
「ふんっ! あんたも私のダンジョン攻略の邪魔はしないでよね」
「へいへい」

 いつものことだよと肩をすくめたエラルド。
 その光景を見て俺は苦笑いすることしかできなかった。

 そんなちょっと気まずい空気を感じていると、おれの袖が何かに引っ張られている。
 俺は袖口を見ると、小さく白い手が袖を引っ張っている。

「ねえねえ、アラスくん。アラスくんはダンジョン好き?」

 ユラはまるで小動物が命乞いしているかのような上目遣いで俺を見ていた。

「ダンジョン好き?」なんて尋ねられたことは初めてだし、好きではない。
 ダンジョンは恐ろしいところという認識だ。

 だが、ユラはきっとダンジョンが好きなのだろう。
 だから俺にそのことを尋ねたのだ。

「ま、まぁまぁかな」

 俺は嘘が下手だった。
 声は平坦でコミュニケーション能力がある人間なら、俺が嘘を言っているということを見抜くだろう。
 しかし、ユラは違った。

「私はね、ダンジョン大好きなの。特に階層を重ねるごとに背筋が凍るような雰囲気が味わえるでしょ? あれ、たまらないの」

 ユラは呼吸が荒くなり、はぁはぁと言いながらそう言っていた。

 前言撤回。やはりユラも変人だった。いや、狂気さえ感じる。

「だから言ったろ。変人ばかりだって」

 エラルドは俺の方に手を置くと、そう言っていた。
 その感覚に俺は安心感を覚える。

「ああ、そうみたいだ」

 リーフェとユラには聞こえないように小声で言う。

「まぁ、こんなんだからさ、俺たちは推薦組のくせに最弱なんて言われてんだわ」
「最弱?」
「そうさ。最弱。アラスが加わったところで変わりはしないと思うわ」

 エラルドは深く嘆息した。

「心外ね。あんたたちが私のペースについてこれないだけよ」

 リーフェはエラルドの発言にむっとしていた。

「わかったわかったって」

 エラルドはリーフェを軽くあしらうと、

「ま! それはダンジョンに潜るときにわかるさ。それより、今日はアーニャっちのおごりだ。食わないのは損。食べようぜ」

 そう言うとエラルドは席に座り、肉を頬張っている。

 俺はその光景を見て、ソンネ達ともこういう時があったのだと思う。
 俺がまだ期待されていた頃の話だ。
 俺たち5人の中は良好で、常に一緒にいた。

 懐かしく思うってことは未練なんてものがあるのだろうか。
 おそらく、あると思う。

 だが、今となってはそれよりも憎しみのほうが大きい。
 この場所は実力が全てで、ラリアから来た俺でも歓迎してくる。
 多少変わっているリーフェやサラに対して不安に思うこともあるが、こんな俺でも一応は迎え入れてくれているのだ。

 この学院にきてよかった。そう実感した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...