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第四章 二人で立ち向かおう
甘える栄貴妃
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星が雷烈と共に後宮に入るのは、二度目だ。
前回は庸国に来たばかりで、後宮の異様な状況に混乱するばかりだった。だが今の星は違う。雷烈のため、そして自身の復讐を果たすため、呪封師としての覚悟ができていた。姿は可愛らしい宮女となっているが、心は誰より勇ましい。
「青蘭、怖い顔で後宮を睨むな。何事かと思われるぞ」
「も、申し訳ございません、陛下」
雷烈から青蘭という仮の名を与えられた星は、できるだけ女性らしく行動していたつもりだったが、勇む気持ちが表情に出ているらしい。自分では気をつもりなのだが、感情が顔に出てしまうのは星にはどうしようもないことだった。
「では参ろう。朕が来たことを後宮の者に告げよ」
今回は突然の訪問ではなく、正式に妃たちに会いに来た形なので、付き従う太監や宦官たちも共に来ている。
「陛下のおなりでございます!」
太監が大きな声で皇帝のお出ましを伝えながら後宮の中に入ると、美しく着飾った妃たちがずらりと横一列に並び、一斉にうやうやしく挨拶をした。
「陛下に拝謁いたします」
どの妃も優雅で美しい。顔立ちや装いはそれぞれ違うが、見目麗しい美女たちばかりだ。
「陛下ぁ、寂しかったですわぁ。ずぅっとお待ちしてましたのよ」
真っ先に雷烈の目の前に小走りで来たのは、豊満な胸元が自慢の栄貴妃だ。雷烈の腕を掴むようにしてしだれかかり、甘えた仕草を見せている。位が高い後宮妃としては少しばかり品がない気もするが、涙ぐんでいるところを見るに、皇帝陛下に会いたくてたまらなかったのだろう。
「陛下、お久しゅうございます。お会いできたこと心より感謝いたします」
丁寧に挨拶したのは、しとやかな琳淑妃だ。今回も栄貴妃のすぐ隣に立っている。
「政務が忙しかったとはいえ、後宮に来れなかったことを申し訳なく思う。それぞれの宮殿に順に会いにいくゆえ、待っていてくれ」
「仰せのままに、陛下」
きらびやかな後宮だが、後宮のあちこちに呪いのケモノがうごめいていることを星だけは知っていた。呪いのケモノは雷烈に喰いつきたいと周囲をうろついている。
(呪いのケモノたちを順に、呪封術で封印していこう。そして呪いをかけているものを探し出す)
星こと、宮女の青蘭は皇帝付きの女官ということになっているので、雷烈が栄貴妃の宮殿に入っていくのを見届けなくてはならなかった。栄貴妃に腕を引っぱられるようにして、雷烈は栄貴妃と共に宮殿の中に消えていった。
(陛下、行ってしまわれた……。栄貴妃、すごく陛下に甘えてたな。ずっと会えなかったんだから仕方ないよね……でも陛下もまんざらでもない表情だった)
お付きの女官として待機していなくてはいけないのに、星は雷烈と栄貴妃が寄り添う姿を思い出すたび、なぜか心がざわついてしまう。じっと待っているのが辛すぎる。
(呪いのケモノが周囲をうろついているからだ。早く封印しないと)
隙を見て、雷烈お付きの宦官たちの元からそっと離れた星は、呪いのケモノの気配がするほうへ向かった。
「呪封術、星の印」
星は呪いのケモノを一体ずつ、霊符に呪封術を用いて封印していった。以前から一体封印するだけで疲れてしまった星だったが、今や連続で術を使っても疲弊することは少なくなっていた。雷烈に教えてもらいながら、体力の向上に努めていたのが良かったのかもしれない。
(呪封術を使えば使うほど、体が慣れていくのかな。庸国の言葉に慣れたように)
何体かの呪いのケモノを封印しながら歩くうちに、星は雷烈と栄貴妃が入っていった宮殿に戻ってきてしまった。
「なんでここに? 陛下に甘えまくってる栄貴妃の姿を見たくないのに」
なぜか雷烈のことが気になるので、自分の足が自然と栄貴妃の宮殿に向っているのだと星は思った。だがもう一周ぐるりと回って、また栄貴妃の宮殿に戻ったとき、ようやく重大なことを見逃していることに気づいた。
「ちがう……。栄貴妃の宮殿を中心に、呪いのケモノがうろついているんだ」
呪いのケモノが栄貴妃の宮殿の周辺に多くいるならば、二つの可能性が考えられる。
一つは栄貴妃も雷烈と同じように、呪いがかけられている場合。だがそれならば、栄貴妃は呪いのケモノに憑かれて体と心を蝕まれ、衰弱しているはずなのだ。しかし栄貴妃は健康そのものに見えるし、とても衰弱しているとは思えない。
「もう一つの可能性は、栄貴妃自身が陛下に呪いをかけている場合……」
栄貴妃は雷烈に会えることを待ち望み、心から慕っている様子だ。雷烈を呪っているとはとても想像できない。
「もしも、それがすべて栄貴妃様の演技だったとしたら……」
雷烈は今も栄貴妃の宮殿にいるはずだ。栄貴妃は雷烈にべったり甘えていたし、二人だけの甘い時間を満喫しているだろう。だがそれも栄貴妃が雷烈と二人だけになるための作戦であり、雷烈を襲うつもりだったのだとしたら……
「大変だ。陛下の身が危ない!」
星は猛然と走り、栄貴妃の宮殿へと向かった。
あくまで星の推測であり、何の証拠もなかった。だが雷烈の身に危険がおよぶかもしれないと思うと、星は我慢できなかったのだ。
「陛下、どうか無事でいて!」
雷烈の無事を祈りながら、星は栄貴妃の宮殿に正面から突っ込もうとした。ところが太監と宦官たちに全力で止められてしまった。
「陛下と栄貴妃様がお休みになってるところに押し入るとは、なんという無礼者だ!」
「一大事なんです、陛下の身が危ないんです!」
「我々がお守りしているんだ。何かあるわけないだろう。今はおまえのほうが危険人物だ!」
証拠がないため、宦官たちを説得できるはずもなく、星は強い力で押し返されて転びそうになった。咄嗟に両手で自分の体を支えたが、右の手首に鋭い痛みが走った。手首を痛めてしまったのかもしれないが、今は気にしてる場合ではなかった。
「お願いします、通してください! 陛下のところへ行かせてください!」
「わからん奴だな! 駄目だと言っているだろう。おまえたち、この女官を捕らえろ!」
「はっ!」
無礼者と思われている星を捕らえようと、侍衛たちが星に一斉に襲いかかろうとした時だった。
「おまえたち、何をしているのだ!」
怒気のこもった声が響いた。
龍の文様の龍袍がまばゆい庸国皇帝雷烈だった。
雷烈は苛立った様子で星のところへ行くと、左手をがしっと掴んで掲げた。
「後宮の貴妃が住まう宮殿の前で騒ぐとは、おまえを見損なった。これ以上、朕のそばには置いておけぬ。こちらへ来い!」
雷烈は強い力で星の左腕を引っぱって歩き、どこかへ連行しようとしている。星の言葉を一切聞くことなく、罰しようとしているのだ。
(陛下はいつも私の話を聞いてくださるのに。いったいどうされてしまったの?)
混乱する星の前で、雷烈は突然歩みを止め、苦しそうに息を乱し始めたのだ。
「陛下、どうなさったのですか!?」
慌てて駆け寄ると、雷烈はかなり辛い様子だ。
「大きな声をだすな。鬼の力が暴走しているようだ。後宮に入ると度々おこる……。星、すまぬが鬼の力を封じてくれ。あそこに無人の宮殿があるからそこへ……つぅ」
「わかりました。すぐに封印術をおかけします。立てますか?」
「ううっ……」
ふらつく雷烈の腰を支えるように寄り添い、無人の宮殿の中へ入っていった。
前回は庸国に来たばかりで、後宮の異様な状況に混乱するばかりだった。だが今の星は違う。雷烈のため、そして自身の復讐を果たすため、呪封師としての覚悟ができていた。姿は可愛らしい宮女となっているが、心は誰より勇ましい。
「青蘭、怖い顔で後宮を睨むな。何事かと思われるぞ」
「も、申し訳ございません、陛下」
雷烈から青蘭という仮の名を与えられた星は、できるだけ女性らしく行動していたつもりだったが、勇む気持ちが表情に出ているらしい。自分では気をつもりなのだが、感情が顔に出てしまうのは星にはどうしようもないことだった。
「では参ろう。朕が来たことを後宮の者に告げよ」
今回は突然の訪問ではなく、正式に妃たちに会いに来た形なので、付き従う太監や宦官たちも共に来ている。
「陛下のおなりでございます!」
太監が大きな声で皇帝のお出ましを伝えながら後宮の中に入ると、美しく着飾った妃たちがずらりと横一列に並び、一斉にうやうやしく挨拶をした。
「陛下に拝謁いたします」
どの妃も優雅で美しい。顔立ちや装いはそれぞれ違うが、見目麗しい美女たちばかりだ。
「陛下ぁ、寂しかったですわぁ。ずぅっとお待ちしてましたのよ」
真っ先に雷烈の目の前に小走りで来たのは、豊満な胸元が自慢の栄貴妃だ。雷烈の腕を掴むようにしてしだれかかり、甘えた仕草を見せている。位が高い後宮妃としては少しばかり品がない気もするが、涙ぐんでいるところを見るに、皇帝陛下に会いたくてたまらなかったのだろう。
「陛下、お久しゅうございます。お会いできたこと心より感謝いたします」
丁寧に挨拶したのは、しとやかな琳淑妃だ。今回も栄貴妃のすぐ隣に立っている。
「政務が忙しかったとはいえ、後宮に来れなかったことを申し訳なく思う。それぞれの宮殿に順に会いにいくゆえ、待っていてくれ」
「仰せのままに、陛下」
きらびやかな後宮だが、後宮のあちこちに呪いのケモノがうごめいていることを星だけは知っていた。呪いのケモノは雷烈に喰いつきたいと周囲をうろついている。
(呪いのケモノたちを順に、呪封術で封印していこう。そして呪いをかけているものを探し出す)
星こと、宮女の青蘭は皇帝付きの女官ということになっているので、雷烈が栄貴妃の宮殿に入っていくのを見届けなくてはならなかった。栄貴妃に腕を引っぱられるようにして、雷烈は栄貴妃と共に宮殿の中に消えていった。
(陛下、行ってしまわれた……。栄貴妃、すごく陛下に甘えてたな。ずっと会えなかったんだから仕方ないよね……でも陛下もまんざらでもない表情だった)
お付きの女官として待機していなくてはいけないのに、星は雷烈と栄貴妃が寄り添う姿を思い出すたび、なぜか心がざわついてしまう。じっと待っているのが辛すぎる。
(呪いのケモノが周囲をうろついているからだ。早く封印しないと)
隙を見て、雷烈お付きの宦官たちの元からそっと離れた星は、呪いのケモノの気配がするほうへ向かった。
「呪封術、星の印」
星は呪いのケモノを一体ずつ、霊符に呪封術を用いて封印していった。以前から一体封印するだけで疲れてしまった星だったが、今や連続で術を使っても疲弊することは少なくなっていた。雷烈に教えてもらいながら、体力の向上に努めていたのが良かったのかもしれない。
(呪封術を使えば使うほど、体が慣れていくのかな。庸国の言葉に慣れたように)
何体かの呪いのケモノを封印しながら歩くうちに、星は雷烈と栄貴妃が入っていった宮殿に戻ってきてしまった。
「なんでここに? 陛下に甘えまくってる栄貴妃の姿を見たくないのに」
なぜか雷烈のことが気になるので、自分の足が自然と栄貴妃の宮殿に向っているのだと星は思った。だがもう一周ぐるりと回って、また栄貴妃の宮殿に戻ったとき、ようやく重大なことを見逃していることに気づいた。
「ちがう……。栄貴妃の宮殿を中心に、呪いのケモノがうろついているんだ」
呪いのケモノが栄貴妃の宮殿の周辺に多くいるならば、二つの可能性が考えられる。
一つは栄貴妃も雷烈と同じように、呪いがかけられている場合。だがそれならば、栄貴妃は呪いのケモノに憑かれて体と心を蝕まれ、衰弱しているはずなのだ。しかし栄貴妃は健康そのものに見えるし、とても衰弱しているとは思えない。
「もう一つの可能性は、栄貴妃自身が陛下に呪いをかけている場合……」
栄貴妃は雷烈に会えることを待ち望み、心から慕っている様子だ。雷烈を呪っているとはとても想像できない。
「もしも、それがすべて栄貴妃様の演技だったとしたら……」
雷烈は今も栄貴妃の宮殿にいるはずだ。栄貴妃は雷烈にべったり甘えていたし、二人だけの甘い時間を満喫しているだろう。だがそれも栄貴妃が雷烈と二人だけになるための作戦であり、雷烈を襲うつもりだったのだとしたら……
「大変だ。陛下の身が危ない!」
星は猛然と走り、栄貴妃の宮殿へと向かった。
あくまで星の推測であり、何の証拠もなかった。だが雷烈の身に危険がおよぶかもしれないと思うと、星は我慢できなかったのだ。
「陛下、どうか無事でいて!」
雷烈の無事を祈りながら、星は栄貴妃の宮殿に正面から突っ込もうとした。ところが太監と宦官たちに全力で止められてしまった。
「陛下と栄貴妃様がお休みになってるところに押し入るとは、なんという無礼者だ!」
「一大事なんです、陛下の身が危ないんです!」
「我々がお守りしているんだ。何かあるわけないだろう。今はおまえのほうが危険人物だ!」
証拠がないため、宦官たちを説得できるはずもなく、星は強い力で押し返されて転びそうになった。咄嗟に両手で自分の体を支えたが、右の手首に鋭い痛みが走った。手首を痛めてしまったのかもしれないが、今は気にしてる場合ではなかった。
「お願いします、通してください! 陛下のところへ行かせてください!」
「わからん奴だな! 駄目だと言っているだろう。おまえたち、この女官を捕らえろ!」
「はっ!」
無礼者と思われている星を捕らえようと、侍衛たちが星に一斉に襲いかかろうとした時だった。
「おまえたち、何をしているのだ!」
怒気のこもった声が響いた。
龍の文様の龍袍がまばゆい庸国皇帝雷烈だった。
雷烈は苛立った様子で星のところへ行くと、左手をがしっと掴んで掲げた。
「後宮の貴妃が住まう宮殿の前で騒ぐとは、おまえを見損なった。これ以上、朕のそばには置いておけぬ。こちらへ来い!」
雷烈は強い力で星の左腕を引っぱって歩き、どこかへ連行しようとしている。星の言葉を一切聞くことなく、罰しようとしているのだ。
(陛下はいつも私の話を聞いてくださるのに。いったいどうされてしまったの?)
混乱する星の前で、雷烈は突然歩みを止め、苦しそうに息を乱し始めたのだ。
「陛下、どうなさったのですか!?」
慌てて駆け寄ると、雷烈はかなり辛い様子だ。
「大きな声をだすな。鬼の力が暴走しているようだ。後宮に入ると度々おこる……。星、すまぬが鬼の力を封じてくれ。あそこに無人の宮殿があるからそこへ……つぅ」
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