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最終章 あおとみずいろと、あかいろと
未来を決断する意味
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母の手紙は、文字があちこち歪んでいて、きれいな字とはとても言えないものだった。
おそらく体調が悪化していることを危惧して、無理して手紙を書いていたのだろう。万が一に備えて手紙を書き、病室の引き出しにしまっておいたのだ。何かあったら父に渡すために。けれどその余裕もないほど、母はあっけなく天国へと逝ってしまった。娘である私に、会うことも叶わず……。
一文字ずつ確かめるように、ゆっくり手紙を読んでいたら、両の目から涙がとめどなくあふれていた。
どんな思いでこの手紙を書いたのだろう。手紙の後半は、文字がかなり歪んでいる。震える手で書いたのかもしれない。今の私のように泣きながら。
「お母さん、お母さん。わたしのお母さん……」
もはや涙を堪える余裕すらなく、手紙を抱きしめて、ひたすら泣き続けた。
私の父と三人で家族になることを願ったお母さん。私の幸せを切に願ってくれていた。
お母さんは短い人生を懸命に生きたんだ。長くは生きられなかったけど、それでも自分が選んだ人生に悔いはないと胸を張って言える人だ。強い人だと思う。父ととおじさんが、お母さんに強く惹かれたのも理解できる気がした。
私はお母さんみたいになれるだろうか? お母さんほど強くはないけど、自分で未来を選ぶことはきっとできるはずだ。
お母さんの願いは、私が幸せになることだ。そのためには何をしたら良いだろう? あのお父さんには、どう接したらいい?
返事が返ってこない母の手紙を、寝るまで何度も何度も読み、枕を濡らしながらその晩は眠った。
翌朝目覚めると、私の目は見事に腫れていた。一晩泣いていたのだから当然だと思う。今日は日曜日で、学校がないことが救いだった。
おじさんは一瞬だけ驚いた顔をしたけれど、その後は何も言わなかった。私が泣きながら眠ったことを知っていたのだろう。
おじさんは蒸しタオルを作り、「これ使うといいよ」って渡してくれた。
蒸しタオルで目元を温めながら、ぼんやりと今後のことを考えていた。
私はどうすべきなのか、もう答えはわかっている気がした。
私だって将来どうなるかわからない。だからこそ、後悔のない選択をするべきなのだ。
蒸しタオルを顔から外し、おじさんの目をまっすぐに見据えた。
「おじさん、私ね。お父さんと話をしてみようと思ってる。連絡とれる?」
「朱里……」
おじさんは大きく目を見開き、しばし私の顔を眺めていた。やがて穏やかに微笑み、ぽつりと告げた。
「わかった。水樹に連絡してみるよ」
多くのことは言わなかったけれど、おじさんも私のことでずっと悩んでいたのかもしれない。私が苦しんでないか、心配していたのだろう。それでも私の気持ちを考え、あえて見守ることにしたのだと思う。私がこれ以上傷つかないように。
「朱里。おじさんは朱里がどんな選択をしても、おまえの味方だからね」
「ありがとう、おじさん」
簡単な言葉しか交わさなかった。それでもおじさんの私への愛情が、染みわたるように心に伝わってくるのを感じる。
おじさんのためにも、今は亡きお母さんのためにも、私が未来を決めなくては。
私が幸せになるために。
それがきっと、おじさんに対する私の最初の恩返しだから。
おそらく体調が悪化していることを危惧して、無理して手紙を書いていたのだろう。万が一に備えて手紙を書き、病室の引き出しにしまっておいたのだ。何かあったら父に渡すために。けれどその余裕もないほど、母はあっけなく天国へと逝ってしまった。娘である私に、会うことも叶わず……。
一文字ずつ確かめるように、ゆっくり手紙を読んでいたら、両の目から涙がとめどなくあふれていた。
どんな思いでこの手紙を書いたのだろう。手紙の後半は、文字がかなり歪んでいる。震える手で書いたのかもしれない。今の私のように泣きながら。
「お母さん、お母さん。わたしのお母さん……」
もはや涙を堪える余裕すらなく、手紙を抱きしめて、ひたすら泣き続けた。
私の父と三人で家族になることを願ったお母さん。私の幸せを切に願ってくれていた。
お母さんは短い人生を懸命に生きたんだ。長くは生きられなかったけど、それでも自分が選んだ人生に悔いはないと胸を張って言える人だ。強い人だと思う。父ととおじさんが、お母さんに強く惹かれたのも理解できる気がした。
私はお母さんみたいになれるだろうか? お母さんほど強くはないけど、自分で未来を選ぶことはきっとできるはずだ。
お母さんの願いは、私が幸せになることだ。そのためには何をしたら良いだろう? あのお父さんには、どう接したらいい?
返事が返ってこない母の手紙を、寝るまで何度も何度も読み、枕を濡らしながらその晩は眠った。
翌朝目覚めると、私の目は見事に腫れていた。一晩泣いていたのだから当然だと思う。今日は日曜日で、学校がないことが救いだった。
おじさんは一瞬だけ驚いた顔をしたけれど、その後は何も言わなかった。私が泣きながら眠ったことを知っていたのだろう。
おじさんは蒸しタオルを作り、「これ使うといいよ」って渡してくれた。
蒸しタオルで目元を温めながら、ぼんやりと今後のことを考えていた。
私はどうすべきなのか、もう答えはわかっている気がした。
私だって将来どうなるかわからない。だからこそ、後悔のない選択をするべきなのだ。
蒸しタオルを顔から外し、おじさんの目をまっすぐに見据えた。
「おじさん、私ね。お父さんと話をしてみようと思ってる。連絡とれる?」
「朱里……」
おじさんは大きく目を見開き、しばし私の顔を眺めていた。やがて穏やかに微笑み、ぽつりと告げた。
「わかった。水樹に連絡してみるよ」
多くのことは言わなかったけれど、おじさんも私のことでずっと悩んでいたのかもしれない。私が苦しんでないか、心配していたのだろう。それでも私の気持ちを考え、あえて見守ることにしたのだと思う。私がこれ以上傷つかないように。
「朱里。おじさんは朱里がどんな選択をしても、おまえの味方だからね」
「ありがとう、おじさん」
簡単な言葉しか交わさなかった。それでもおじさんの私への愛情が、染みわたるように心に伝わってくるのを感じる。
おじさんのためにも、今は亡きお母さんのためにも、私が未来を決めなくては。
私が幸せになるために。
それがきっと、おじさんに対する私の最初の恩返しだから。
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