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キャラクターエピソード

Episode.植野 彩芽

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へぇ、走馬灯って実在したんだ
今までのロクでもない記憶が一気に押し寄せてくる
確か走馬灯って、無意識に生き残る方法を探そうとして見えるんだっけ
私の場合は『私が』じゃなくて『ツバキが』生き残る方法が知りたいけど




昔の私は、とにかく笑うのが下手だった
と言うより、感情を表に出すのが苦手だった
思ったことは言葉にするのが1番簡単だと思ってた
ま、その結果同性愛がバレた挙句に広まったんだけど
バレた…と言うよりはバラした?
自分から言ったからな

変に気を使わせたく無かったから自分から同性を避けた
可愛い弟がずっと心配するものだから、無理にでも笑ってた
まぁ、そのおかげで笑うのが下手だった私も上手く笑える様になったけど


だいぶ強くなれたよなー…
これならツバキを心配させない
楽しませて、守って、笑い合える
でも…恐怖なんてまるでないツバキが心配だ
本当は私が教えるべきなんだろう
世間の怖いこと、汚いことも
じゃないと、純粋が仇になって苦しむことになるかもしれない
それても…ツバキには何も知らない綺麗なままで居てほしい
汚したくない、私には出来ない


そう思ったから、こうなったんだろうな
あまりにも真っ直ぐなツバキは逃げ方すら知らなかった
だから自分から心を壊した
何を言っても響かない、私じゃ助けられない
ただボロボロになっていく一方

ごめん、ツバキ
本当は分かってたんだ
私が1番側にいたんだから、私が教えるべきだったんだ
ツバキが傷付いたのは私のせい
私のエゴで苦しい思いをさせた
これからはもっと近くで、もっとちゃんと見ていないと
ちゃんと、頼れる姉でいたい
ただ可愛がってるだけじゃダメだったんだ


もう、決めたから
何があっても守るって、助けるって、側にいるって
贖罪じゃ無いけど、それがせめてもの私に出来ること
なんだかんだ、私もツバキがいないと何も出来ないしさ
共働きでほとんど家にいない両親は当てになんないし
私達はお互いに私達だけ
片方が欠けたらどうにもならない




そう、決めてたのにさ
なんでこんなすぐに終わっちゃうんだろう
ツバキは私を守ろうとしてるのか、しっかりと抱きしめている
でも、この高さで車の中だから無理だ

……上手く、いかないな
それでももう一度があるなら、次こそは失敗したく無い
離れないで、そばで助けになりたい
ねぇ神様、もし本当に次があるのなら…私達を引き離したりしないで
ツバキを、可愛い弟をひとりぼっちにしないで
私からツバキを奪わないで


………なんて、そんなこと思ったところで神様なんていないかもしれないのに
ごめんね…ツバキ
私には、何の力もないからさ
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