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香港蜜月
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「まあ、乳を揉んだり吸ったりしたことがねえとは言わねえが、俺にとってはお前がこの世で唯一無二ってことだ」
「え……はぁ?」
って――それ、ホントはどっちなんだって!
紫月は苦虫を噛み潰したような表情で、目の前の男を見つめてしまった。
「正直なところ記憶にはねえが、赤ん坊の時分にはまだお袋も家を出て行く前だったろうしな?」
ニヤッと不敵に微笑まれた次の瞬間には作り物の豊満な胸を揉みしだかれて、紫月は『ひ……ッ』と声にならない声を上げさせられてしまった。
「せっかくだ。今夜はそのまま抱いてやる」
余裕綽々にベッドへと押し倒されて、首筋から鎖骨へと色香際立つ濃厚な口付けの嵐にすぐさま背筋がゾワりと栗毛立つ。
「ちょ……ッ! 待て待て待て! それってまさか……赤ん坊の時に母ちゃんのオッパイを吸ったとかいう冗談かよ……」
「まあな。産まれてすぐの頃はまだお袋も家にいた。乳くらいは飲んだろうさ」
「あ……? はぁッ!?」
巧みな仕草で背中のファスナーを下ろされて、あれよという間に肩先から胸元までがあらわにされる。と同時に、肝心なことは上手くはぐらかされたようだ。結局、どっちなのかうやむやのままで、すっかり抱く体勢に入っているのが何とも憎らしい。しかも女物のドレスを脱がしていく仕草も手慣れていて迷いがない。
「……って、おい、遼……ッ! なし崩しかよッ! 結局上手くごまかしやがる気……だな!」
「ごまかすとはご挨拶だな。お前の方こそ相変わらずに口が悪い」
そんな口は塞ぐに限るとばかりに、息もままならないほどに歯列を割り忍び込んできた舌先に口中を掻き回されて、
「……ッ、遼……!」
抵抗虚しくすぐに欲情の海へと引きずり込まれてしまう。
「バ……ッカやろ……、ンなギュウギュウすんなって……の! せっかくの服……が皺に……ッ」
「心配するな。丁寧に扱うさ」
そう言いつつも遠慮なしに大きな掌で乳をワシッと揉まれて、紫月は大焦りで視線を泳がせた。
「……って、遼! 待……ッ、乳取れる……!」
「ああ、お前に乳は必要ねえ。俺には豊満な乳房より、この可愛い乳首だけで充分だ」
卑猥ともいえる台詞を恥ずかしげもなく、こうも堂々と言われると、逆にひどく恥ずかしくなってしまう。と同時にゾワゾワと欲情の波がつま先から頭のてっぺんまでを電流のように貫いた。
「てめ、よくそんな……スカしたツラで、ンな、やーらしい……台詞言える……ッ」
「いやらしい俺は嫌いか?」
すっかりとドレスを剥ぎ取られ、女物の下着を盛り上げている欲情の印を尖った舌で突かれて、思わず淫らな嬌声が上がってしまう。
「い……ッ、あ……遼!」
「ほう、下着まで女物とはな? しかもガーターまで付いていやがる。あの緊急時に、こんなもん一体どこで調達したんだか――随分とまた凝ったもんだ」
その”ガーター部分”を器用に弄びながら、上目遣いの瞳が弧を描いている。整いすぎた顔立ちがまるで捕食者のような獣を連想させるようで、ふと――めちゃくちゃに奪われてみたいような欲情が突き上げて、紫月は焦った。
「や……ッ、だって……レイ・ヒイラギの息子が……これ穿けっつーから! あ……、クッ……」
好きで穿いたわけじゃない。これをどうぞと出されたから従ったまでのことだ。
「てめ、勘違いすんな……よ! 別に俺の趣味ってわけじゃ……ねし」
「そう照れるな。まあドレスの下がブリーフじゃ、確かに味気ねえってもんだ。レイさんの息子もいい仕事をする」
不敵に笑いながら細く華奢な下着の脇ひもの間から指を滑り込ませて、一等敏感な部分を指の腹で擦り上げられる。
「あ……ッつ! 遼……! こ……ッの、嘘……つ」
焦らすように太腿のやわらかい部分を吸われ、赤いキスマークを方々に散らされていく。慣れた仕草でショーツまで剥ぎ取られ、みるみると頬が染まった。
(やっぱ、てめえ……女を抱いたことないなんて……嘘だろが!)
「この……嘘つき……! ほ……ッんと、しょーもねえ極道……」
「誰が嘘つきだ」
「お……前が……! 俺っきゃ……知らね……とか、信じらんね……、はぁ……ッ」
「――どうとでも。だが紫月、これだけは嘘じゃねえ。正真正銘、今も昔も、俺が心底愛してんのはお前だけだ。未来永劫、お前だけだと誓う」
「……ッ、んあっ……! それ……全っ然、答えンなって……ねー!」
嘘か誠か、そんなことはもうどうでもいいほどに乱されながら、紫月は愛する男の腕の中へと堕とされていったのだった。
◇ ◇ ◇
「え……はぁ?」
って――それ、ホントはどっちなんだって!
紫月は苦虫を噛み潰したような表情で、目の前の男を見つめてしまった。
「正直なところ記憶にはねえが、赤ん坊の時分にはまだお袋も家を出て行く前だったろうしな?」
ニヤッと不敵に微笑まれた次の瞬間には作り物の豊満な胸を揉みしだかれて、紫月は『ひ……ッ』と声にならない声を上げさせられてしまった。
「せっかくだ。今夜はそのまま抱いてやる」
余裕綽々にベッドへと押し倒されて、首筋から鎖骨へと色香際立つ濃厚な口付けの嵐にすぐさま背筋がゾワりと栗毛立つ。
「ちょ……ッ! 待て待て待て! それってまさか……赤ん坊の時に母ちゃんのオッパイを吸ったとかいう冗談かよ……」
「まあな。産まれてすぐの頃はまだお袋も家にいた。乳くらいは飲んだろうさ」
「あ……? はぁッ!?」
巧みな仕草で背中のファスナーを下ろされて、あれよという間に肩先から胸元までがあらわにされる。と同時に、肝心なことは上手くはぐらかされたようだ。結局、どっちなのかうやむやのままで、すっかり抱く体勢に入っているのが何とも憎らしい。しかも女物のドレスを脱がしていく仕草も手慣れていて迷いがない。
「……って、おい、遼……ッ! なし崩しかよッ! 結局上手くごまかしやがる気……だな!」
「ごまかすとはご挨拶だな。お前の方こそ相変わらずに口が悪い」
そんな口は塞ぐに限るとばかりに、息もままならないほどに歯列を割り忍び込んできた舌先に口中を掻き回されて、
「……ッ、遼……!」
抵抗虚しくすぐに欲情の海へと引きずり込まれてしまう。
「バ……ッカやろ……、ンなギュウギュウすんなって……の! せっかくの服……が皺に……ッ」
「心配するな。丁寧に扱うさ」
そう言いつつも遠慮なしに大きな掌で乳をワシッと揉まれて、紫月は大焦りで視線を泳がせた。
「……って、遼! 待……ッ、乳取れる……!」
「ああ、お前に乳は必要ねえ。俺には豊満な乳房より、この可愛い乳首だけで充分だ」
卑猥ともいえる台詞を恥ずかしげもなく、こうも堂々と言われると、逆にひどく恥ずかしくなってしまう。と同時にゾワゾワと欲情の波がつま先から頭のてっぺんまでを電流のように貫いた。
「てめ、よくそんな……スカしたツラで、ンな、やーらしい……台詞言える……ッ」
「いやらしい俺は嫌いか?」
すっかりとドレスを剥ぎ取られ、女物の下着を盛り上げている欲情の印を尖った舌で突かれて、思わず淫らな嬌声が上がってしまう。
「い……ッ、あ……遼!」
「ほう、下着まで女物とはな? しかもガーターまで付いていやがる。あの緊急時に、こんなもん一体どこで調達したんだか――随分とまた凝ったもんだ」
その”ガーター部分”を器用に弄びながら、上目遣いの瞳が弧を描いている。整いすぎた顔立ちがまるで捕食者のような獣を連想させるようで、ふと――めちゃくちゃに奪われてみたいような欲情が突き上げて、紫月は焦った。
「や……ッ、だって……レイ・ヒイラギの息子が……これ穿けっつーから! あ……、クッ……」
好きで穿いたわけじゃない。これをどうぞと出されたから従ったまでのことだ。
「てめ、勘違いすんな……よ! 別に俺の趣味ってわけじゃ……ねし」
「そう照れるな。まあドレスの下がブリーフじゃ、確かに味気ねえってもんだ。レイさんの息子もいい仕事をする」
不敵に笑いながら細く華奢な下着の脇ひもの間から指を滑り込ませて、一等敏感な部分を指の腹で擦り上げられる。
「あ……ッつ! 遼……! こ……ッの、嘘……つ」
焦らすように太腿のやわらかい部分を吸われ、赤いキスマークを方々に散らされていく。慣れた仕草でショーツまで剥ぎ取られ、みるみると頬が染まった。
(やっぱ、てめえ……女を抱いたことないなんて……嘘だろが!)
「この……嘘つき……! ほ……ッんと、しょーもねえ極道……」
「誰が嘘つきだ」
「お……前が……! 俺っきゃ……知らね……とか、信じらんね……、はぁ……ッ」
「――どうとでも。だが紫月、これだけは嘘じゃねえ。正真正銘、今も昔も、俺が心底愛してんのはお前だけだ。未来永劫、お前だけだと誓う」
「……ッ、んあっ……! それ……全っ然、答えンなって……ねー!」
嘘か誠か、そんなことはもうどうでもいいほどに乱されながら、紫月は愛する男の腕の中へと堕とされていったのだった。
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