極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
321 / 1,212
極道の姐

しおりを挟む
 この事業には周の実家である香港の親たちも出資していて、無事に掘り出せればたいへんな収益が見込めることとなる。元々は交通手段に苦を強いられていた山奥に住む地元少数民族の力になろうと道路を通す計画で始めた慈善事情だったのだが、掘り起こす過程で鉱石が見つかったことから、急遽採掘の方にも力を入れることになってしまったのだ。
 住民の足となる道路開発の方は当初よりも別のルートが検討されて、そちらの方も順調に進んでおり、完成も近いという。今まで政府も手をつけられずにいた開通事業を支援したお陰か、周ファミリーの周辺では神様の思し召しなどとも言われているほどだった。それでこの度、周らと共に現地の視察に行くことになったのである。
「あそこで掘り出した鉱石の大部分は国と地域住民たちに還元されるそうだが、開発事業に携わったとして一部は周ファミリーの伝手で加工全般が行われた後、氷川の社を通して各国へ流通されることになっている。うちは単に開発資金を援助しただけだが、製品となった宝飾品を捌く手伝いくらいはできるからな。それ相当なバックまで入れてくれるとのことだし、少しは売り上げに貢献しねえとと思っている」
「はぁ、儲け話かよ。お前と氷川も相変わらずやり手だよな」
「それも事業の一環だ。組を運営していくには資金源は必要不可欠だからな」
「まあな。俺なんかシノギのことに関しちゃお前に任せっきりだからさ。ちっとは役に立たなきゃって思ってはいるんだけどな」
 姐という立場で組のことは亭主と共に背負っているつもりでも、実際に金を生み出すことにはあまり力になれていないと、少々情けなさそうに肩を落とす紫月の傍らで、鐘崎は愛しそうに瞳を細めた。
「お前はいいんだよ。傍に居てくれるだけで俺の精神面を支えてくれているんだ。組の若い衆らだって同様だ。お前は俺たち皆の活動源なんだからな」
 至極真面目な顔つきでそんなふうに言われて、紫月は苦笑しつつもペロリと舌を出して頭を掻いた。
「は、ホント俺って幸せ者だよな」
「それを言うなら俺の方だ。お前がいてくれるから俺は安心して儲け話にも専念できるんだからな」
「バッカ、遼……」
「それより今度の旅は少し長くなるぞ。半月は向こうに行っている予定だ。俺と氷川は採掘場の視察や開通した道路関係者への挨拶回りなんかで連日出て歩くことになると思う。あっちは山岳地帯だ。朝晩で気候の変動も大きいらしいし、着るモンなんかの準備をしといてくれ」
「ああ、うん。そりゃもちろん!」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...