極道恋事情

一園木蓮

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極道の姐

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 一儲け――つまりは周兄弟を拉致して身代金でも引き出そうというわけだろうか。
「なるほど……。お陰で経緯はだいたい掴めた。迷惑ついでと言っちゃなんだが、俺と俺の仲間たちをそのホテルの近くまで案内してはもらえまいか? できればヤツらの動きを見張れるヤサがあれば尚有り難いんだが」
 張が頼むと、男の方もすぐに事情を察したのだろう。深くは理由を訊かずに快諾してくれた。
「ワケ有りと言っていたな。案内は俺が直接しよう。ホテルを見張れるヤサも用意する」
「すまない。恩に着るぜ」
「他に必要なものがあれば言ってくれ。力になれるかどうかは分からんが、俺にできることなら協力させてもらおう」
「助かる! では――お前さんの幼馴染みだというその男の名と、もしも可能であればそいつの顔写真なんかがあると有り難い」
「分かった。ヤツが俺を訪ねて来た際の防犯カメラの映像が残っているはずだから、すぐに用意させる」
 これも張の人徳故だろう、マカオの裏社会でも更に裏を仕切っているこのボスに二つ返事で動いてもらえるのだから、さすがといったところだ。
 張は今聞いた話を早速に伝えるべく隼らの元へと急いだのだった。

 その頃、隼の方でもちょうど突入の準備が整ったところだったようだ。
「頭領・周! 遅くなって申し訳ありません。おおよその経緯が分かりました」
 張は今しがたスラム街を仕切る男から聞いてきたことを簡潔に報告した。
「犯人が立てこもっているホテルの跡地までは私の知り合いが案内してくれるそうですので、すぐに出発しましょう」
 これで街区の住人たちとの間にいざこざを起こさずに、すんなりと現場入りできるというものだ。隼は張に向かって丁重に礼を述べると、紫月や冰ら皆と共に早速現場へと向かった。

 ホテルの跡地といっても、まだ建物自体は当時のまま取り壊されてはおらず、廃屋と化してはいるものの、かなり立派な外観といえた。部屋数もそれなりに多いことは一目瞭然である。建物内のどこにどんな状態で周らが捕らえられているのか、まずはそれを把握するのが何より先だ。
 幸い、張の知人が自由に使ってくれていいと言って、ホテル真向かいのショッピングセンターの一室を提供してくれたので、通信機材などはそこへと持ち込まれた。
「ここからなら集音器なども仕掛けやすい。とはいえ、確実に内部の状況を知るには、やはりホテルの敷地内に潜入して機器を仕掛ける必要があります。そのお役目は私が引き受けますから、紫月さんたちはここで機器からの傍受をお願いできますでしょうか?」
 源次郎が言うと同時に、後方から頼もしい声音が重なった。
「それは俺が行こう」
 皆が声の主を振り返ると、そこには鐘崎の父親の僚一が精悍な顔付きでこちらへと向かってくるのがうかがえた。
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