極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
428 / 1,212
極道たちのクリスマスパーティー

しおりを挟む
 まるで披露宴会場のような広々としたルームの真ん中に大きなもみの木が置かれ、その周囲を取り囲むようにクリスマスカラーの布地で彩られた円卓が並ぶ。演舞曲が心地の好いメロディーを奏でる中、高い天井からは幾千ものクリスタルガラスがキラキラと輝くシャンデリアが美しく卓上のカトラリーを照らしている。前菜からメインまで本格的なフレンチのフルコースが振る舞われ、料理のサーバーは黒の執事服をビシッと纏った真田たちが卒なくこなして、まるで夢と御伽の世界の如く豪華な宴に紫月の父や綾乃木などは目を剥いてしまったほどだった。
 大パノラマの窓の外には、暮れるのが早い師走の宵闇が眼下の大都会のネオンを包み込み、宝石箱のように煌めいて非常に美しい。まさに絶景の中で最高の仲間と家族と共に賑やかなクリスマスの食卓に花が咲いていった。
 そうして絶品のフルコース料理に舌鼓した後はいよいよデザートの登場である。昨日、鐘崎邸で紫月と冰が腕によりをかけたクリスマスケーキが大きな銀製の蓋で大切そうに包まれながらワゴンに乗って運ばれてきた。むろんのことワゴンを引いてやって来たのは真田である。
「では皆様、本日のメインでございます。紫月さんと冰さんが心を込めてお作りになられたクリスマスケーキです!」
 その掛け声と共に室内の照明が落とされて、スポットが当てられる。と同時にバックミュージックがクリスマスソングへと切り替わった。
 得意げな仕草で背筋をピンと伸ばした真田が銀の蓋を取ると、中からはチョコレートクリームとブルーベリーの実で飾られたムース仕様という二種類のケーキが華やかなスポットの中に浮かび上がった。
 チョコレートの方は冰である。丸い大きなスポンジ台をチョコ生クリームが覆っているシンプルなもので、それ以外には特に飾りなどはないが、台の上には白いパウダーで繊細な”白龍”の文様が見事に表現されている。冰が約半月ほどかけて毎晩切り抜いた型紙の龍である。
 大きなスポンジの上をうねるように雄々しい龍が舞い踊り、その鱗の部分にはスライスした旬の苺が所々に飾られていて非常に美しいそれは、周の名の焔をイメージして冰が赤い苺を添えたのだそうだ。
 そして、もうひとつは紫月が鐘崎の為にと試行錯誤したブルーベリームースのケーキである。甘いものが苦手な彼を思ってフルーツの酸味を効かせた台の上に生のブルーベリーが飾り付けてある。紫月曰く鐘崎のイメージであるブラックダイヤに見立てたのだという。それらを目にした瞬間、ボールルーム内は感嘆のどよめきに包まれた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...