429 / 1,212
極道たちのクリスマスパーティー
4
しおりを挟む
その中の誰よりも感激の声を上げたのはむろんのこと周と鐘崎の旦那二人である。
「こいつはすげえ……!」
「ああ、本当にな……! ケーキというより芸術品だ」
上手い褒め言葉も詰まってしまうくらいに感激の面持ちでじっとケーキを見つめている。
「食っちまうのがもったいねえな」
「同感だ……! 三十年生きてて……嬉しいことも確かにたくさんあったが、こんな感動は体験したことがねえっていうか……な」
「その通りだな。上手く言葉にならんが、とにかく格別な気分だ――!」
想像以上に感激に浸る二人に、冰も紫月もくすぐったいような笑みを浮かべては、互いの肩を突き合いながら頬を染めている。
「喜んでくれるだろうなぁとは思ってたけどさ、まさか……ンなに感動してくれるとはさ」
「ホントですね! 俺、もっと軽ーいノリで即つまみ食いとかしそうっていう想像してたんで、何だかこっちが感動しちゃいました」
ケーキを焼いた当人たちにとっても意外なくらいの反応だったようだ。
「ん! そんじゃ遼たちも感激してくれたことだし、早速食うか! 見た目もがんばったが、味の方もなかなかイケてると思うぜ!」
「ですよね! やっぱり味も肝心ですから」
紫月と冰が切り分けようとナイフを手にすると、周と鐘崎が慌てたようにして割って入った。
「おわー! ちょい待った!」
「切る前に写真だ、写真!」
こんなに素晴らしい芸術的なケーキだ。贔屓目を差し引いても本心からこのまま食べずに飾っておきたいと思ってしまうくらいのものを写真にだけでも残しておきたいのは男心である。
「俺はこれを待ち受けにするぞ! 香港の家族にも見せて自慢するんだ」
「待ち受けとはいいアイディアだな。俺もそうしよう! となると、角度が重要だな。接写でこのブルーベリーの部分を浮き上がらせてえな」
周と鐘崎はケーキの周りで様々な角度から何枚もシャッターを切っては、子供のようにはしゃいでいる。長身で立派なナリとは裏腹に、まるで少年に戻ったかのような二人の様子に、真田をはじめ紫月の父親や綾乃木など周囲の大人たちは微笑ましく見つめるのだった。
「よーし、そんじゃ皆んなで記念撮影といくか!」
ケーキ本体をしっかり写真に収めた後は全員でケーキを取り囲んでの記念撮影である。
「だったらクリスマスツリーのところで撮るべ!」
紫月が皆を誘導して、真田ご自慢の本物のもみの木のツリーの下で賑やかな撮影大会と相成った。
「よし、それじゃ食おうぜ! 昨日スポンジの味見はしたけどちゃんとクリーム乗せたのは食ってねえからさぁ」
紫月が再びナイフとフォークを手にしたその時だった。
「紫月、待て。入刀は一緒にやらねえと!」
鐘崎が待ったをかけると、周も冰の肩を抱きながらそれぞれのケーキの前に立ち、愛しい伴侶の手に大きな掌を重ねた。
「まあ素敵! ウェディングケーキの入刀みたいだわ!」
里恵子が胸前で手を組んで羨ましそうに頬を紅潮させる。
「ええ、そうなんでございます。数年前に鐘崎の坊ちゃまが始めて以来、クリスマスケーキを切り分ける際は夫婦で入刀するのが恒例となっておりましてな」
真田が経緯を説明する。
「まあ、そうでしたの! 素敵な伝統だわ!」
はしゃぐ里恵子を横目に、
「俺たちもなるべく早く本番を迎えてえな」
森崎がそっと抱き寄せながら甘やかに耳打ったのだった。
「こいつはすげえ……!」
「ああ、本当にな……! ケーキというより芸術品だ」
上手い褒め言葉も詰まってしまうくらいに感激の面持ちでじっとケーキを見つめている。
「食っちまうのがもったいねえな」
「同感だ……! 三十年生きてて……嬉しいことも確かにたくさんあったが、こんな感動は体験したことがねえっていうか……な」
「その通りだな。上手く言葉にならんが、とにかく格別な気分だ――!」
想像以上に感激に浸る二人に、冰も紫月もくすぐったいような笑みを浮かべては、互いの肩を突き合いながら頬を染めている。
「喜んでくれるだろうなぁとは思ってたけどさ、まさか……ンなに感動してくれるとはさ」
「ホントですね! 俺、もっと軽ーいノリで即つまみ食いとかしそうっていう想像してたんで、何だかこっちが感動しちゃいました」
ケーキを焼いた当人たちにとっても意外なくらいの反応だったようだ。
「ん! そんじゃ遼たちも感激してくれたことだし、早速食うか! 見た目もがんばったが、味の方もなかなかイケてると思うぜ!」
「ですよね! やっぱり味も肝心ですから」
紫月と冰が切り分けようとナイフを手にすると、周と鐘崎が慌てたようにして割って入った。
「おわー! ちょい待った!」
「切る前に写真だ、写真!」
こんなに素晴らしい芸術的なケーキだ。贔屓目を差し引いても本心からこのまま食べずに飾っておきたいと思ってしまうくらいのものを写真にだけでも残しておきたいのは男心である。
「俺はこれを待ち受けにするぞ! 香港の家族にも見せて自慢するんだ」
「待ち受けとはいいアイディアだな。俺もそうしよう! となると、角度が重要だな。接写でこのブルーベリーの部分を浮き上がらせてえな」
周と鐘崎はケーキの周りで様々な角度から何枚もシャッターを切っては、子供のようにはしゃいでいる。長身で立派なナリとは裏腹に、まるで少年に戻ったかのような二人の様子に、真田をはじめ紫月の父親や綾乃木など周囲の大人たちは微笑ましく見つめるのだった。
「よーし、そんじゃ皆んなで記念撮影といくか!」
ケーキ本体をしっかり写真に収めた後は全員でケーキを取り囲んでの記念撮影である。
「だったらクリスマスツリーのところで撮るべ!」
紫月が皆を誘導して、真田ご自慢の本物のもみの木のツリーの下で賑やかな撮影大会と相成った。
「よし、それじゃ食おうぜ! 昨日スポンジの味見はしたけどちゃんとクリーム乗せたのは食ってねえからさぁ」
紫月が再びナイフとフォークを手にしたその時だった。
「紫月、待て。入刀は一緒にやらねえと!」
鐘崎が待ったをかけると、周も冰の肩を抱きながらそれぞれのケーキの前に立ち、愛しい伴侶の手に大きな掌を重ねた。
「まあ素敵! ウェディングケーキの入刀みたいだわ!」
里恵子が胸前で手を組んで羨ましそうに頬を紅潮させる。
「ええ、そうなんでございます。数年前に鐘崎の坊ちゃまが始めて以来、クリスマスケーキを切り分ける際は夫婦で入刀するのが恒例となっておりましてな」
真田が経緯を説明する。
「まあ、そうでしたの! 素敵な伝統だわ!」
はしゃぐ里恵子を横目に、
「俺たちもなるべく早く本番を迎えてえな」
森崎がそっと抱き寄せながら甘やかに耳打ったのだった。
23
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる