極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
485 / 1,212
三千世界に極道の華

しおりを挟む
「もしかしたら……ここは裏の三千世界と言われる場所かも知れません」
「裏の三千世界? 源さん、何か知ってんのか?」
 紫月が訊く。
「ええ。以前……そう、今から二十年以上前になりますかな。僚一さんからチラッと聞いたことがあります。我々の住む世界とは完全に隔離された極秘の遊興施設がどこかの山奥に建設される計画があるとかで、当時はまだその実態は明らかにされておらず、海のものとも山のものともつかなかったようです」
 計画では江戸吉原の再来のような巨大遊郭街を中心に、賭場や明治鹿鳴館時代のダンスホールなども予定されていたという。加えて、この世界から一歩も出ずとも生活ができるようにライフラインに必要不可欠な商業施設、そして関わるすべての人間が生活できる住居なども建設される計画だったらしい。
「いわば現実世界とは隔離された独自の国家といっても過言ではないような計画だったとか。その後どうなったのかは分からずじまいで、私もすっかりその話は忘れておりましたが、まさか本当に建設されていたとは」
「は! 巨大遊興施設だか何だか知らねえが、現実離れもいいところだな。だがこれだけの街を秘密裏に造ったとなると、相当デカい組織が動いているということだろうな。案外――国そのものが絡んでいたりしてな?」
 レイが『フ……ッ』と鼻で笑ったが、あながち冗談ではないかも知れない。
「ここが江戸吉原の遊郭街だとすると、明治鹿鳴館とやらの街並みはまた別にあるのかも知れんな。下手すりゃ巨大カジノなんかもありそうだ。顧客も選んでいそうだな。現代で言うならば、おおかた会員制の高級クラブといったところか」
 さすがに年かさがいっているだけあって、レイの理解力と想像力は大したものだ。今の源次郎の話だけで、この世界がどういった目的で作られ、またどういった人物に利用されるのかなどを即座に思い巡らせている。
「だが、大金持ちの酔狂というには度が過ぎているな。それより何より問題はここが何処かってことだ。源次郎さんの話では人里離れた山奥ということだが、明らかに地上じゃねえな」
 レイは空を見上げながら皆にも見てみろと顎をしゃくってみせた。
「空がねえだろ? 今夜はいい月が出ていたはずなのに見当たらねえ。雲もなけりゃ風もねえ」
「わ! ホントだ……。ってことは、ここは地下ってことですかね?」
 紫月が感心顔でレイを見つめる。
「そうかもな。そもそもこんなでけえ街並みを地上に作りゃ、如何に山奥だろうと人目につく。マスコミのみならず、今の時代にゃすぐにネット上で話題になるだろうよ」
「確かに。けど実際は誰も知らない……。俺も聞いたことねえし、多分遼や氷川も知らねえんじゃねえか? 今の今までこんな施設があったなんてまるっきり知らなかった……」
「つまりここは明らかに”やべえ”場所だってことだ」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...