極道恋事情

一園木蓮

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三千世界に極道の華

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「そういうことか……。さすがに焦らされたぜ」
 周が苦笑で返す。まあ僚一とて若気の盛りは過ぎたものの独り身であるし、任務の為に女と寝たからといってどうというわけでもないのだが、周自身、今は冰という大事な伴侶ができたこともあってか、どうも気持ちが伴わない肉体関係というのを受け入れ難い感が無きにしも非ずなのだ。いかに独り者の僚一でも誰かと情を交わすというなら、気持ちが伴った上で幸せな関係を築ける相手とそうなって欲しいと願う気持ちがあるのだった。
「お前さんの気遣いには感謝だ、焔。まあ心配するな。こっちは上手くやるさ。それよりもここの武器庫だが、さすがに江戸吉原の街という名目だけあってか刀の数は尋常じゃねえ。どこから集めてきたか知らんが、真剣が相当数保管してあったのには驚かされたぜ。その他にもやはりと言うべきか銃器類が多少備えられていた。拳銃はもちろんだが、連射が効くマシンガンや爆発物まで持ち込まれていやがる」
「もうそんなところまで調べたのか。さすがに早えな」
「ある程度は丹羽の修司坊から聞いていたからな。昨夜ここに着くと同時にまずは武器庫に潜り込んで調べたが、莫大とは言えないながらも素人を相手に脅すには十分な備えがされているようだ」
「武器庫か。当然見張りもいただろうに」
「ああ、いるにはいたが下っ端の若い男が二人ほどだった。察するに素人も同然だ。忍び込むのはさして問題じゃねえ。ただ、ここは海の底だ。万が一にも銃撃戦になった場合、内壁に損傷を与えることだけは避けねばならん。わずかでも海水が入り込んだら施設ごと全員が飲み込まれる」
 僚一曰く、いよいよ敵との戦に突入したとしても銃器類や爆発物が使われることだけは絶対に避けなければならないということだった。
「まあ敵もそこまで馬鹿じゃねえとは思うが、劣勢になればどう出るかは分からんからな。ヤツらは護衛役として屈強な傭兵上がりの連中や爆発物などの扱いに長けているテロリストを抱え込んでいるようだ。まずは銃器類や刀を速やかに外へ持ち出して、武器庫を空にすることが先決だ。その後は体術だけで制圧する方向で考えている」
「それでカネをここへ留めて少しでも敵の目を引きつけておこうって算段か」
「そういうことだ」
 まあ今現在、既に殆どの者が腰に差している刀の回収は難しいとしても、武器庫が空になれば勝算はある。最終的に刀でやり合うくらいは致し方なかろうと僚一は苦笑した。
「俺もお前らも体術では敵に引けを取るとは思えねえが、剣の腕となると正直なところ完全とは言えん。今の時代だ、相手も真剣を振り回せるヤツがどれくらいいるかは怪しいもんだが、仮に凄腕がいたとして互角にやり合えるのは紫月と、ヤツの親父の飛燕くれえだろう」
「確かにそうだな。俺も拳銃ならそこそこ自信はあるが、刀を振り回すなんてのはからっきしだ」
 周の主たるは拳法である。刀の代わりにヌンチャクでもあれば、その方が幾分マシというところだ。
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