極道恋事情

一園木蓮

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三千世界に極道の華

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「一之宮!」
「姐さん!」
「紫月さん!」
 三人共に驚いたように目を見開いている。ありのままを話すと決めたものの、鐘崎の状況を知った紫月が心を痛めるだろうことは確実だからだ。
 だが、紫月はそんな心配をよそにしっかりとした様子で皆を見渡した。
「源さんの言う通りだ。嘘も方便、ところによっては宝と成すこともあろうが、今この時には不要な心遣いだ。例えどんなに苛烈だろうが真実が道を開くこともある。現状を教えてくれ」
 艶やかな花魁の出立ちという見た目もあってか、神々しいほどに頼もしいオーラが眩しく思えた。彼の肩先にはあるはずのない光背がすべてを包み込む暖かな陽の如く目に浮かぶような錯覚さえ感じさせる。皆は意を決して紫月に事実を打ち明けたのだった。
「そうか……遼が……な。まあ親父が側についていてくれるならひとまず安心だ。俺たちは俺たちに出来ることから始めていこう」
 どうやら紫月は目覚めた時点で何か重大なことが起こっていることを察していたようだ。
「昨夜は床に入ると同時にすっかり意識を失っちまったようでな。このところ遼たちと無事に会えた安心感で少し気が緩んでいたようだ。本来、メシや酒になにかを盛られるかも知れないという基本的なことさえ頭から飛んじまってた。以後は気を引き締めていくぞ」
 確かにその通りである。主人の伊三郎は信頼できるとしても、ここ三浦屋にスパイが潜り込んでいるかも知れないことは想像できていたにもかかわらず、何の疑いもなく出された膳を楽しんでいたのは少なからず反省すべき点といえる。それについては既に周が手を回してくれていたようだ。
「幸い今夜からは李も合流できることになっている。ヤツに言って当座俺たちのメシは外から運び入れてもらうように手配した」
 今頃は汐留の邸で家令の真田が一生懸命に皆の弁当を用意してくれていることだろう。
「すまねえな、氷川。世話をかける」
 紫月が真摯に頭を下げる。
「そんなことは気にするな。真田も張り切っていることだろう。それよりカネのことだ。いくら親父さんがついていると言っても、記憶を取り戻さなきゃ始まらねえ」
「遼については考える。それより今は丹羽さんと連携して武器庫を空にすることが先決だ。遼を取り返すのは敵の戦力を削いでからだ。現段階でドンパチを始めりゃ、関係ねえ大勢の人間が犠牲になっちまうだろうからな。それまでには親父の方からも新たな情報が上がってくるかも知れねえしな」
 鐘崎のことを一番に気にかけているのは他ならぬ紫月だろうに、彼はそんな心の動揺を皆には見せず、冷静にこの先のことを見据えている。鐘崎の嫁であると同時に極道鐘崎組の姐としての誇りが感じられた。
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