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三千世界に極道の華
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「あの頃はまさかお前が想いを受け入れてくれるとは思っていなかったからな。それでもいいと、例え叶わぬ片想いでも俺の気持ちは生涯変わらねえと、そんな覚悟でいた頃だ。だがあの日俺が言ったことをお前は今でも覚えていてくれた。一字一句違わずというくらい正確に――。それを知っただけで言いようのねえくれえ満たされた。だから思い出せたんだ」
ありがとうな――というように瞳を細めた鐘崎の視線が色香を漂わせている。互いに想いを打ち明けあってからというもの、十日も触れ合わずにいたことなどそういえばなかっただろうか。言葉にせずとももう我慢の限界だと、早く抱きたくて仕方がないと彼の全身からその意がひしひしと伝わってくる。雄の色香を讃えた瞳に見つめられるだけで背筋にゾワゾワと欲情が這い上がってくるようだ。まるで初めてキスをする少年のように紫月もまたドキドキと鼓動を高鳴らせ、頬を染めた。
「んと……その、まあ久しぶりっちゃ久しぶり……だよな?」
「ああ。一日千秋の思いでいたからな」
クイと顎先を持ち上げ、欲情ダダ漏れの瞳が視界に入りきらない位置まで迫って揺れる。
「遼、ベッド……」
「後でな」
ベッドまで歩くのさえ待てない男は既に野生の猛獣そのものだ。場所なんかどうでもいい。すぐにも欲しくて仕方がないと、言葉にせずとも抱き寄せられた下肢にぴったりと張り付いた彼の硬く雄々しい熱がそう語っている。
「……ッ、遼……! 相っ変わらず獰猛……」
「ああ。お前を感じていねえと俺は生きた屍も同然だからな」
だから早く触れたい。繋がりたい。そんな強引さにも欲情を煽られてならなかった。
いつのまにか引き摺り下ろされた下着ごとギュッと尻を鷲掴まれて、紫月は思わず熱い吐息と共に嬌声を上げた。グリグリと雄と雄とを擦り付けられる腰の動きが更なる高みへと押し上げる。
「りょ……ッ、遼……!」
「ここにいる」
「あ……うん、分かっ……」
「好きだ。紫月……! もう二度と離れなくていいように、生涯ずっとこのまま繋がったままでいてえくれえだ……」
「あ……ああ、俺……も」
余すところなく唇から首筋、鎖骨、胸飾り、脇腹、腰と激しい愛撫に攻め立てられて、既に昇天させられてしまいそうな勢いだ。
「な、遼……俺、俺さ」
「ん? どうした」
「俺、お前ンそゆトコ……好きだ」
「……?」
「そゆ……むっちゃめちゃくちゃなトコ……つか、獰猛なところ……ッあ!」
要は余裕のなく激しく求められるこういった瞬間が堪らないと言いたいのだ。
「お前が……俺ンこと……すっげ好きでいてくれてんだなって実感できっか……ら」
「ああ。好きだぜ。すっげえなんてもんじゃねえ。気が違うほどお前が好きだ。欲しくて欲しくて堪らねえ。俺はいつでもそうだ」
「遼……」
「忘れてくれるなよ」
「あ、うん……! うん……!」
戻ってきた――。
危険な薬を盛られるというとんでもない目に遭い、記憶を失くして、もしかしたら互いに対する想いさえ忘れてしまったかも知れないと思っていた。だが、例えそうであってもこの想いは変わらない。若き日に彼がそう覚悟を決めてくれたように今度は自分が生涯変わらず彼だけを愛していくんだと決めていた。例え彼が自分を忘れても、二度と思い出せずに挙句はまったく別の誰かに心を寄せたとしても、この想いは墓の中まで持っていく。そう決めていた。
「遼、遼二……戻ってきてくれて……ありがとうな。俺、俺ももう二度とお前を離さねえわ……」
そう、何があっても絶対に――。
俺の身体は、心は、魂までもすべてお前だけのもんだ……!
激しい愛撫を押しきるくらいに強く自らしがみつき、逞しい肩先に咲いた見事な紅椿の証ごと両の腕で抱き締める。
「紫月……?」
「好きだぜ、遼。お前ンこと……」
大好きだ!
「ああ。ああ、俺もだ。二度と離さねえし、離れねえ……!」
そのまま空が白むまで二人は激しく甘く、ドロドロになるまで互いを慈しみ貪り合ったのだった。
◇ ◇ ◇
ありがとうな――というように瞳を細めた鐘崎の視線が色香を漂わせている。互いに想いを打ち明けあってからというもの、十日も触れ合わずにいたことなどそういえばなかっただろうか。言葉にせずとももう我慢の限界だと、早く抱きたくて仕方がないと彼の全身からその意がひしひしと伝わってくる。雄の色香を讃えた瞳に見つめられるだけで背筋にゾワゾワと欲情が這い上がってくるようだ。まるで初めてキスをする少年のように紫月もまたドキドキと鼓動を高鳴らせ、頬を染めた。
「んと……その、まあ久しぶりっちゃ久しぶり……だよな?」
「ああ。一日千秋の思いでいたからな」
クイと顎先を持ち上げ、欲情ダダ漏れの瞳が視界に入りきらない位置まで迫って揺れる。
「遼、ベッド……」
「後でな」
ベッドまで歩くのさえ待てない男は既に野生の猛獣そのものだ。場所なんかどうでもいい。すぐにも欲しくて仕方がないと、言葉にせずとも抱き寄せられた下肢にぴったりと張り付いた彼の硬く雄々しい熱がそう語っている。
「……ッ、遼……! 相っ変わらず獰猛……」
「ああ。お前を感じていねえと俺は生きた屍も同然だからな」
だから早く触れたい。繋がりたい。そんな強引さにも欲情を煽られてならなかった。
いつのまにか引き摺り下ろされた下着ごとギュッと尻を鷲掴まれて、紫月は思わず熱い吐息と共に嬌声を上げた。グリグリと雄と雄とを擦り付けられる腰の動きが更なる高みへと押し上げる。
「りょ……ッ、遼……!」
「ここにいる」
「あ……うん、分かっ……」
「好きだ。紫月……! もう二度と離れなくていいように、生涯ずっとこのまま繋がったままでいてえくれえだ……」
「あ……ああ、俺……も」
余すところなく唇から首筋、鎖骨、胸飾り、脇腹、腰と激しい愛撫に攻め立てられて、既に昇天させられてしまいそうな勢いだ。
「な、遼……俺、俺さ」
「ん? どうした」
「俺、お前ンそゆトコ……好きだ」
「……?」
「そゆ……むっちゃめちゃくちゃなトコ……つか、獰猛なところ……ッあ!」
要は余裕のなく激しく求められるこういった瞬間が堪らないと言いたいのだ。
「お前が……俺ンこと……すっげ好きでいてくれてんだなって実感できっか……ら」
「ああ。好きだぜ。すっげえなんてもんじゃねえ。気が違うほどお前が好きだ。欲しくて欲しくて堪らねえ。俺はいつでもそうだ」
「遼……」
「忘れてくれるなよ」
「あ、うん……! うん……!」
戻ってきた――。
危険な薬を盛られるというとんでもない目に遭い、記憶を失くして、もしかしたら互いに対する想いさえ忘れてしまったかも知れないと思っていた。だが、例えそうであってもこの想いは変わらない。若き日に彼がそう覚悟を決めてくれたように今度は自分が生涯変わらず彼だけを愛していくんだと決めていた。例え彼が自分を忘れても、二度と思い出せずに挙句はまったく別の誰かに心を寄せたとしても、この想いは墓の中まで持っていく。そう決めていた。
「遼、遼二……戻ってきてくれて……ありがとうな。俺、俺ももう二度とお前を離さねえわ……」
そう、何があっても絶対に――。
俺の身体は、心は、魂までもすべてお前だけのもんだ……!
激しい愛撫を押しきるくらいに強く自らしがみつき、逞しい肩先に咲いた見事な紅椿の証ごと両の腕で抱き締める。
「紫月……?」
「好きだぜ、遼。お前ンこと……」
大好きだ!
「ああ。ああ、俺もだ。二度と離さねえし、離れねえ……!」
そのまま空が白むまで二人は激しく甘く、ドロドロになるまで互いを慈しみ貪り合ったのだった。
◇ ◇ ◇
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