極道恋事情

一園木蓮

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孤高のマフィア

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 そうして経営者、客共々全員がしょっ引かれていき閑散となったフロアで周は愛しい伴侶を力一杯抱き締めた。
「冰……! すまなかったな。辛い思いをさせた……!」
「白……龍……ホントに白龍……だよね? まさか来てくれるなんて思ってなかった……。ありがとう……ありがとう……俺……」
「悪かった! 遅くなっちまって……。心細かったろうに……たった一人でよく頑張ってくれた。無事で良かった……!」
 無事に腕の中へと戻ってきたこの世で唯一無二の宝物を確かめるように、万感の想いを込めて抱き締める。息もできないほどに両の腕で思い切り抱き包み、擦れて痛いくらいの頬擦りを繰り返す周の瞳からは、じわりと潤み出した抑え切れない熱い雫が睫毛を濡らしていた。まさに安堵の男泣きであった。冰もまた、慣れ親しんだ愛しい腕の香りに触れて湧き上がった涙がホロリと頬を濡らす。
「よくここが分かったね。ホントにありがとう……!」
 頼みのGPSもなかったというのに、この場所を探し当てるのはさぞ大変だったろうと思う。亭主なのだから、仮にもマフィアなのだから、それくらいはすぐに出来て当たり前と思えるかも知れないが、何の手掛かりもない中でこちらの現状すら分からない。焦燥感に駆られながらの捜索は想像するよりも遥かに難儀だったことだろう。それを乗り越えてこうして駆け付けてくれた亭主の愛情に深く感謝するとともに、改めて自分が普段この愛する人の側にいられる幸せを噛み締める冰であった。
「鐘崎さんや丹羽さん、皆さんも本当にありがとうございます。それに何と言っても森崎さん……俺のことで里恵子ママさんまで巻き添えにしてしまって申し訳ありません……!」
 冰がガバリと頭を下げる傍らで、周もまた改めて森崎と里恵子に心からの謝罪を述べた。
「今回のことは俺の責任だ。里恵子をとんでもない目に遭わせ、森崎にも多大な心労を掛けてしまった。申し訳ない。この通りだ」
 二人揃って真摯に頭を下げる夫婦に、森崎と里恵子もとんでもないと言ってちぎれんばかりにブンブンと首を横に振り、恐縮してしまった。
「お詫びと……それにお礼を言うのはアタシの方よ! なんと言ってもアタシのお店で冰ちゃんを危ない目に遭わせてしまったんだし、ここに連れて来られてからも冰ちゃんにずっと守っていただいたわ! こうして無事でいられるのは冰ちゃんのお陰ですもの!」
「里恵子の言う通りです! 拉致の後も俺はただうろたえるだけで何の解決方法も見出せなかったというのに……周さんや鐘崎さんの調査のお陰でここまで辿り着くことができたんです。本当になんとお礼を申し上げてよいか……。それと同時に自分ももっともっと精進しなければと痛感しております……!」
 森崎が恐縮する中、とにかくも拉致された二人が無事で良かったと安堵した一同であった。
「では周、例の香山という男の件は我々に任せてくれ」
 ほぼ制圧を終えた丹羽が引き上げがてら敬礼をしてよこす。
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