極道恋事情

一園木蓮

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謀反

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「どうやらヤツはロンから教わった通りに無事に出口まで辿り着いたらしいんだが、そこで俺たちが待機しているのに気が付いたようでな。見つかったらまずいと思ったのか、また坑道にこもってしばらくは隠れていたらしい。その後、俺たちが現場を後にしたのを見送ってから鉱山を降りたようだ」
 だがその過程は散々たるものだったようだ。
 何とか出口までは辿り着けたものの、鉱山から麓の村まで降りる山中で再び道に迷い、二日三晩を彷徨ったらしい。行き倒れ同然で地元民に発見された時にはげっそりとやつれていたそうだ。
「山を降りる途中で相当な苦渋を味わったようでな。発見された時にはヤツの頭は老人かというくらい真っ白になっていたそうだ。たった一人で山中を彷徨うといった環境がヤツの黒髪を白髪に変えてしまったんだろう」
 これには周も冰も酷く驚かされてしまった。
「それでヤツはどうなったんです?」
「地元警察に保護されて、今は日本に帰国している。髪が一瞬で白髪になっちまったくらいだ、どうやら精神の方もすっかりイカれちまったようでな。取り止めのない言葉でこれまでの経緯を語ったそうだが、それこそ記憶も定かでなく、言葉すら曖昧だそうだ。警察に付き添われて実家のある九州に戻されたらしいが、その後は父親が引き取ったと聞いている」
 さすがに哀れに思ったのか、父親が引き取ったということは親子の絶縁も解消されたということか。
「そっか……。香山さん、無事だったんだね」
 驚きつつも、とにかくは生きて実家に帰れたことだけでも良かったのかも知れないと冰は思った。
「そうでしたか。父上、兄上、お忙しい中ヤツのことまで調べてくださって恐縮です」
 周は丁寧に礼を述べた。
「まあ羅辰にしろ香山にしろ自業自得といえばそうだろうが、とにかくは焔の記憶も戻って良かった」
 あの状態では香山という男も今後は焔にコンタクトしてくることもなかろうと言って、隼は一件落着に安堵したようだった。
「それからもうひとつ、鉱山のロナルドだが――。彼には今回たいへん世話になった。当初鉱山での仕事は三年の約束だったが、焔の窮地をすぐに知らせてくれて、救出に当たっても進んで陣頭指揮を取ってくれた。普段の仕事ぶりも我々が思っていた以上に一生懸命取り組んでくれていて感服させられる。その功績を讃えて従事期間を切り上げることにしようと思ったんだ」
 隼の話ではあの後再び現地に出向いてロンにそれを伝えたという。マカオにある彼の両親が経営していたホテルを再建し、そこで一から始めないかと提案したところ、ロンは大層感激したそうだ。
 ところが、それに対する返答は意外なものだったらしい。
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