極道恋事情

一園木蓮

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幸せのクリスマス・ベル

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 今回は一点物のシガーケースをプレゼントしたいと思っている――そんな紫月らの要望に、支配人は早速サンプルを見繕ってくれた。革製のものや金属でできた煌びやかなタイプまで様々だ。
「シガーケースですからベースはどのタイプもかっちりとしたハードカバーのボックスですが、表が革ですと落ち着いた雰囲気になりますな。金属製の物は中世の貴族が使っているような華やかなものから、お若い方に人気のあるゴシック調のもの、飾りがあまり付いていないシンプルなものまでございます」
 買ったままの箱ごと入れられるタイプや一本一本詰め替えるタイプまで、それこそ種類が多く迷ってしまいそうだ。
「箱ごと入れられるのは便利ですけど、やっぱり一本一本詰め替えるタイプの方がお洒落かな。紫月さんはどう思われます?」
「そうだな。一本ずつビシッと並んでるのがカッコいいね! この薄いタイプのなんかどうだ?」
 紫月が手に取ったのは金属製で煙草が十本くらい並ぶ薄型のものだった。
「素敵ですね! 白龍たちは手も大きいからこのくらい幅があったらちょうどいい感じです」
 脇から見ていた源次郎も素敵だと言ってうなずくので、形はそれに決めることとした。
「あとはデザインだな。遼は貴族ふうとかゴシック系ってよかシンプルな方が似合うかなぁ」
「そうですねぇ。白龍もその方が使いやすいんじゃないかと思います」
「それですとアール・ヌーヴォーよりはアール・デコといった雰囲気の方でしょうかな」
 二人の会話を聞いて支配人がシンプルなデザインの物をまた幾つか取り出してくれた。
 その中の一つに目をとめた冰が、
「わ! これ素敵!」
 思わず瞳を輝かせた。
「どれどれ? おお、龍か!」
 それは金属製の表面に細かい龍図が彫られているものだった。しかも溝が浅いので、デコボコ感がなく、パッと見はシンプルで品も良い。周家の字の象徴でもあるし、打ってつけである。冰はすっかり一目惚れしてしまったらしく、もうそれで決まりのようだ。
 だが、今回は周と鐘崎にお揃いでと思っていたわけだから、他のものでも構わないと言う。こんなところの気遣いは冰ならではといえる。
「でもなぁ、氷川にはやっぱ龍を贈りたいべ? ぜってえ似合うと思うし」
 紫月も冰の気遣いを有り難く思っていて、シガーケースの形がお揃いであれば表面のデザインは違ってもいいんじゃないかと言った。
「それでしたらこちらなど如何でしょう。今、周様がお気に召された龍図のタイプと同じ掘り方で柄違いのものが幾つかございます」
 支配人がまたもや助け舟を提案してくれた。
「うはぁ……すっげ! カッコええ!」
 ビロード張りのトレーの上に並べられた数種類のデザインには四神を表す玄武や朱雀、白虎といった図柄の他に蛇や蝶などの生き物や様々な花などが彫り込まれていた。
 その中に目を惹くデザインを見つけて、紫月はすかさずそれを指した。
「これ! 遼にドンピシャじゃね!」
「うわ、ホントだ!」
「これはもう……決まりですな!」
 冰も源次郎もウキウキと声を揃える。それは椿の花を模った図柄のものだった。
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