極道恋事情

一園木蓮

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幸せのクリスマス・ベル

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 きっとあの旦那衆のことだ。お返しにと、今度はガーネットとブラックダイヤをはめ込んだ何かを見繕うに違いない。そんな想像が浮かぶのもまた楽しい源次郎であった。
 こうして無事にプレゼントも決まり、三人はお茶をしてから帰ることにした。きっとまだ周らは帰宅してはいないだろうし、丹羽との打ち合わせが済んだら今日は鐘崎が汐留に寄って紫月を拾っていくことになっているので、ゆっくりしていても大丈夫なのだ。
「せっかく銀座にいるんだし、今日はいつものラウンジとは別の店にすっか」
「そうですね。紫月さん、どこかお薦めのお店あります?」
「んー、俺はケーキが食えればどこでもいいなぁ。つか、ここいらは正直あんまし詳しくねえのよね」
「そうですか。じゃあ俺にご案内させてもらってもいいですか? 実はこの前クライアントさんと打ち合わせで行ったティールームがとってもいい雰囲気だったんですよ」
 冰は公私共にこの界隈に来ることが多いので、紫月よりは多少なりと詳しいのだ。
「ケーキも種類がたくさんあったんで、今度紫月さんと来たいなって白龍とも話してたんですよ」
「マジ? そいつぁ楽しみだ!」
 紫月は早速に大喜びだ。ケーキの種類にも期待大だが、それより何より会っていない時にも冰がこんなふうに自分のことを考えてくれているということに心温まる思いがしていた。
「ここからだと歩いて五分くらいです。そのお店は珈琲も本格的でね。白龍が珈琲党の鐘崎さんも気にいるんじゃないかって言ってたんで、今度皆んなで来ましょう」
「おお、いいねー。遼は珈琲にゃ目がねえから喜ぶと思うわ!」
 和やかな会話をしながら店の前に着いたところで、驚く偶然に出くわすこととなった。なんとバッタリと旦那衆の二人と鉢合わせたからだ。彼らと一緒に運転手の花村も顔を揃えていた。花村は鐘崎組のベテラン運転手だが、今日は汐留で紫月を降ろすついでに周を拾っていったのだ。
「冰じゃねえか!」
「紫月も!」
 周と鐘崎も驚いたように目を丸くしている。
「あれぇ、白龍! どしたの、こんなところで!」
「うっは! すげえ偶然。つかお前ら、丹羽さんとの打ち合わせはもう済んだん?」
「ああ。丹羽の方に緊急の事件が入っちまってな。呼び出しが来たんで切り上げてきたわけだ。先に汐留に帰って待っていても良かったんだが、時間も余っちまったしカネにここの珈琲を飲ませてやりてえと寄ったんだ」
 どうせ冰と紫月の二人はまだ買い物の途中だろうと思い、一服がてら茶でもしていこうということになったらしい。このティールームは昨今では珍しく喫煙も可能な個室があるので、スモーカーにとっては有り難い場所だ。
 まさにサプライズともいえる偶然に冰らは喜びも倍増だった。
「そっかぁ、じゃあちょうど良かったね!」
 案内されたのは個室だった。六人という大人数だった為、ちょうど良かったらしい。これならよりゆっくりと寛げそうだ。
 大正浪漫を思わせるレトロな造りがなんとも言えずに趣がある。コツコツとシックに響く靴音も心地好い。全体的に焦茶色で設えられた部屋の中央に大きな置き時計があって、時を刻む振り子が耳心地の好い音を立てている。六人で腰掛けるには打ってつけの円卓に窓から差し込む午後の陽射しが小春日和を思わせて、より一層雰囲気を増していた。
「マジいい店な!」
「本当だ」
 初めて来る紫月も鐘崎も感激の眼差しで満足そうだ。
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