極道恋事情

一園木蓮

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カウント・ダウンを南国バカンスで

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「しかしよくもまあこう次々と!」
「さすが老板と鐘崎様ですね。女性たちが放っておかない」
 鄧と李が苦笑している。
「リゾート地だからだろ?」
「こういう所に来ると普段よりも開放的になるもんだ」
 周と鐘崎はしれっとそんなことを言ってのけたが、実際女性たちの男を見る目はたいしたものだ。他にも東洋人欧米人含め男性はたくさんいたというのに、迷わずここへやって来るところを見ると、しっかり相手を品定めしているのが分かる。
「まあ遼のモテっぷりは今に始まったこっちゃねえけどなぁ」
 紫月は笑うが、冰にとっては興味津々な話題といえる。
「やっぱり鐘崎さん、前からモテてらしたんですねぇ。そりゃそうだよね。鐘崎さんも白龍もイイ男だもん。っていうか、俺以外は皆さんカッコいいし、オトナの男っていう感じだし」
 それはもうモテて当たり前ですよねと深い溜め息をついている。
「俺ももうちょっと何とかならないかなぁ。せめて大人っぽく見えるようになるといいんだけど」
 ガックリと肩を落とす様子を横目に、周がすかさず片眉を吊り上げた。
「なんだ、冰。お前、女にモテたいってのか?」
「ち、違うよ……! そうじゃなくて、なんていうかもっとこう……ね?」
 冰はタジタジだ。
「う、上手く言えないけど……もっとこう、皆さんのようにスマートにいろいろ対応できる大人になりたいなぁとか……さ」
 別にモテたいわけではないのだが、目の前で周や鐘崎が女性たちに囲まれているのに遭遇してしまうと、何ともモヤモヤと胸が苦しくなってしまったわけだ。せめて自分も同じようにして女たちから声でも掛けられれば、彼らの気持ちが分かるというか、正直に言ってしまえばこの苦しいヤキモチも少しは軽減するのではと思ってしまう。
「何を言う。お前だってさっき粉掛けられてたろうが。あの野郎ども、やはり地獄を見せておくべきだったか」
 周が口をへの字にしながら、『うーむ』と腕組みをしたのに、またもやドッと笑いに包まれた。

 その夜はホテル内のレストランで個室を取ってもらい、水入らずでのディナーとなった。昼間受けたナンパの嵐が教訓といえる。地元の珍しい料理の数々に冰と紫月は大喜びだ。食後にはそれこそ日本では滅多にお目に掛かれないようなケーキが出てきて、二人は感嘆の声を上げた。
「見ろ、遼! このめちゃくちゃコッテリなチョコケーキ! さすがアメリカンだぜ」
 もはや生チョコクリームどころか溶かした板チョコレートがスポンジを覆っていそうな特大ケーキに、鐘崎は見ただけで胸焼けしそうだと額を押さえている。
「いくら何でも腹八分目でやめておけよ。さすがのお前でも胸焼けを起こすぞ」
「かもな! すっげ甘えもん」
 カハハハと紫月は豪快に笑っては、普段は有り得ないブラックのままの珈琲を鐘崎からひと口もらってすする。冰のはホワイトチョコにアメリカンチェリーのシロップ漬けが乗っているタイプだったが、こちらも相当に甘いようだ。例によって周と自分のイメージである白と赤の色合いだけで選んだのだが、味も大きさもボリューム満点だ。
「冰、食い切れなかったら残せよ」
 無理をするなと周が笑う。
「うん、ありがと。白龍もちょっと食べる?」
「ひと口だけな」
 大らかでやさしい旦那たちに見守られて、紫月と冰はハワイアンスイーツを満喫したのだった。
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