極道恋事情

一園木蓮

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カウント・ダウンを南国バカンスで

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 次の日は皆で島の裏側へドライブし、そこでウォータースポーツを楽しんだ。周ら若い者たちは水上バイクに乗ったりシュノーケリングで魚と戯れたりし、源次郎と真田は釣りに勤しむ。今日はワイキキを離れたせいかナンパに煩わされることもなく、それぞれにとって十二分に満喫できた一日となった。
「いよいよ明日は大晦日だな」
「カウントダウンの花火が上がるらしいぞ」
 ニューイヤーの前日、夜はビーチが見えるデッキタイプのレストランを予約したので、昼間はショッピングへ出掛けることに決まった。
 現地特有の南国ムード満点の土産物はもちろんのこと、ブランド品なども免税になっていて見ているだけでも心が浮かれる。
「冰、何か欲しい物はねえのか? 何でも好きな物を買ってやるぞ」
 周のところは商社だから、別段ここで買わなくとも大概の物は入手できるわけだが、せっかくのリゾートだ。一緒に何か選ぶのもまた醍醐味というものだ。昨年の秋には事件に遭って記憶を失くした自分を精一杯面倒を見てくれたこの冰に、その労い方々どんな物でも買ってやりたいという周の愛情であった。
 ところが当の冰は相変わらずにまったくと言っていいほど欲がない。自分の物よりも汐留で待っている邸の者たちへの土産選びに精を出している有様だ。
「まったく、寡欲というか……てめえのことより他人の土産が優先とはな」
 周がやれやれと肩をすくめているのを見て、鐘崎と紫月が冷やかしながら笑ってみせた。
「そういうところがまた可愛くて堪らねえんだべ?」
「それが冰のいいところだからな」
 確かにそうだ。周にとってもそんな冰だからより一層愛しく思えて仕方ないのだから、この際彼の優しい気持ちに水を差すこともなかろうと、一緒に土産品を見て回ったのだった。

 そうして夜を迎えた。ニューイヤーのイベントを見る為にディナーは遅めの十時に予約していた。シーサイドのデッキでフルコースに舌鼓を打った後、食後酒を堪能しながらおしゃべりに花を咲かせていると、いよいよカウントダウンの時がやってきた。
 日付が変わる十五分前になると一同のいたデッキから左右の方向で次々に花火が上がり、夜空を彩り始めた。
「うわぁ! 綺麗!」
「南国での新年もいいものですな」
 冰と真田がワクワクと瞳を輝かせている。
「お! そろそろカウントダウン来るぜ」
 皆でグラスを手にしてその時を待った。
「十秒前だ。そんじゃ皆んなで」
「五、四、三、二、一」
「ハッピーニューイヤー!」
 それぞれ天高く掲げたグラスを突き合わせて新年を祝った。
「明けましておめでとう!」
「今年もよろしくなぁ!」
 その後しばし皆で花火を楽しみ、そろそろホテルへ戻るかと席を立った時だった。
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