極道恋事情

一園木蓮

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カウント・ダウンを南国バカンスで

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「急がせて悪い。窮屈だがすぐにホテルに着くからちょっと我慢してろ」
「う、うん。俺は全然平気」
「あの女たちに追い掛けられると厄介なのでな」
 苦笑する周の後の席から鐘崎がその理由を教えてくれた。
「源さん、守備はどうだ?」
「滞りなく! お任せください」
「そうか。ご苦労だった。すまなかったな」
 なんと源次郎が撮ったのはスマートフォンの持ち主である女たち三人だけで、周や鐘崎ら一同のことは画面から外して撮影したというのだ。ズームで彼女たちだけを撮り、スマートフォンを返して、気付かれる前に即撤収。万が一にも後を付けられたりしないようにと大急ぎで店を出たのだそうだ。
 冰以外は全員それを分かっていて、素早く撤収に移ったというわけらしい。
「こういう時の為にな、事前にそう打ち合わせてあったのさ」
「俺たちの写真が見ず知らずの他人の手元に残るのも厄介だが、裏を返せばあの女たちの安全の為でもあるからな」
 その写真が万が一にも周らのことを知っている裏社会の人間の目に触れて、彼女たちが要らぬトラブルに巻き込まれないとも限らないからだという。
 それなら写真を撮ること自体を断ればいいと思うところだが、邪険にして恨みを買うよりも上手く撮れていなかったということで諦めてもらう方が賢明ということらしい。冰はつくづく驚いてしまった。
「で、でもすごいね。そんなことまで打ち合わせてあるなんて」
「備えあれば憂いなしってところだ」
「些細なことでもいつ大きな火種になるとも限らんからな。準備だけはしておいて損はねえということさ」
 周や鐘崎は笑うが、冰からしてみれば驚きの連続である。李や鄧もすぐに動いたところを見ると、さすがによく連携ができていると感心せざるを得ない。
「さて、到着だ。皆、年明け早々ご苦労だった」
 ギュウギュウ詰めの車から解放されて、一同はホッと胸を撫で下ろした。
 明日は午後一の便でもう帰国である。楽しかった南国のバカンスも今夜で終わりだと思うと、何だか寂しいような懐かしいような気持ちになる。
 だがまあ、帰れば日本のお正月が待っているのだ。帰国後もまだ三ヶ日の内なので、参拝や新年のセールなどで街は賑やかであろう。
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