極道恋事情

一園木蓮

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身代わりの罠

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「カネと……女の方は例のクラウス・ブライトナー警護の任務に当たっているエージェントのメビィか? いったいどういうこった」
「音声も上がっています……。ですが……」
「構わん、再生しろ」
「は……」
 李が再生すると、鐘崎と思われる声がやたらと淫らな台詞を連発しながら女とまぐわり合っている様子が聞こえてきた。

『あなたに奥様がいることは分かっているわ。でもいいの。気にしないで』
『遊びでもいいってのか?』
『ええ、そう。例えいっときでもあなたと思いを通わせ合えるならそれだけで充分よ。もちろん奥様には黙っているから安心して。今はアタシのことだけ考えてちょうだい』
『なんて女だ。可愛いことを言ってくれる……』
『ねえ、遼二。今日はアタシ主導で動いてあげる……。普段奥様がやってくれないようなこともしてあげる』
『……は、いったいどんなことをしてくれるんだか』
『ふふ、こういうことよ』
『……ッあ』
『ね、気持ちいいでしょう? もっと淫らなこともしてあげるから。だからアナタも躊躇しないでアタシを求めて』
『ふ、堪んねえな。大胆な女だ』
『大胆な女はお嫌い?』
『いや、そうじゃねえが……』
『ふふ、そんな顔しなくても大丈夫よ。今夜のことは口が裂けても絶対誰にも言わないから。奥様にバレる心配はないわ』
『ああ……そう願いたいね』

 会話の内容も信じ難いが、興奮したような吐息まじりで、音声だけでも淫らな映像が脳裏に浮かぶようだ。もっと驚くべきはその後に続けられた二人の艶めかしい嬌声だった。画像には女が鐘崎の腹の上で絶頂を迎えているような場面も映し出されている。
「どうなっていやがる……。こんなモンが裏の世界の掲示板に上がっているなんざ……」
 さすがの周もすぐには状況を理解出来ずにいるようだ。
「李、とにかく鄧を呼んでくれ。ヤツは昨日もカネたちと一緒に病院の視察に付いて回っていたはずだ」
「かしこまりました。すぐに!」
 そうして鄧がやって来たが、画像と音声を確認させたところ、やはり驚き以外の何ものでもないといった反応を見せた。
「昨夜も視察から帰った後、お二人を特別室にお送りし、私は一昨日同様そこで失礼しました。遼二君もその後コネクティングルームからすぐに帰宅したはずですが……」
「だがこの画像だ。鄧が帰ってからカネは女の部屋に残ったということか」
「まさか……! 確かにこの女の方は遼二君に対して必要以上にベタベタとしていた感はありますが、遼二君の方では面倒そうにされていましたし」
 鄧は昨日一昨日の様子を詳しく周に話して聞かせた。
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