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ダブルトロア
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「そ! しかも鈍行性で効き目は抜群! 劇が始まる頃には全員眠ってしまっているから、そこで五人を拉致してちょうだい。ボックス席だから入り口は全ての部屋にひとつずつある。廊下へ出る時に人目につく心配はないけど、すぐ隣はミッテルロジェのメインボックスがあるわ。念の為、拉致する時は黒い目出し帽を被って一人ずつ確実に。絶対にバルコニーからは姿を見せないように屈みながらやってちょうだいね!」
これが劇場の見取り図よと言って、優秦は更に事細かな指示を語り出した。男の方もあんぐり顔である。
「ふう……何とまあでけえ劇場だなぁ。手順は分かったが、いくら眠ってるっていっても俺一人で五人を拉致するのはさすがに骨が折れる仕事だね。第一、どうやって車まで運べばいいんだ」
さすがに大の大人をおぶって運んだりを繰り返せば誰かに気付かれそうだ。
「そこは心配ないわ。不甲斐ないアンタたちの代わりにこっちでバイトを雇ったから。廊下には荷運び用の大型ラックを用意してある」
「大型ラック?」
「よくホテルのベルボーイが引いているアレよ。スーツケースを山積みにできるやつ。それを三台ほど仕入れたから、彼らと協力して五人を拉致したら、速やかにここへ連れて来てちょうだい。ラックに乗せたら布で覆うのを忘れないで!」
「は……! 準備がよろしいことで」
男は呆れながらも、ほとほと感心してしまった。これではちょっとしたプロも顔負けの用意周到ぶりだ。しかもなかなかに頭が切れる。そんな頭脳があるなら、もっと他のことに使えばいいものをと思いたくもなる。だがまあ、裏を返せばそうまでしてまだ周風への想いを諦めきれないわけかと笑った。
「ふん! 風のことはもうどうでもいいのよ! アタシはただあの女だけが幸せにしてるのが許せないだけ」
勘違いしないでちょうだいと優秦はむくれてみせた。
「そんなことより五人を拉致したらあの女以外には手を出さないでちょうだいね! 後で風に恩を着せる為の道具なんだから」
「恩を着せるだって? 嬢さん、あんたまだ何か企んでいやがるのか?」
「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい! 五人の中には風の側近の曹先生もいるのよ? それに風の弟の連れ合いもいる。下手に手を出して恨まれるよりも、このアタシが口利きしてあげて助けてやったっていう形にするのよ。そうすれば風だってアタシに恩ができるでしょ」
これが劇場の見取り図よと言って、優秦は更に事細かな指示を語り出した。男の方もあんぐり顔である。
「ふう……何とまあでけえ劇場だなぁ。手順は分かったが、いくら眠ってるっていっても俺一人で五人を拉致するのはさすがに骨が折れる仕事だね。第一、どうやって車まで運べばいいんだ」
さすがに大の大人をおぶって運んだりを繰り返せば誰かに気付かれそうだ。
「そこは心配ないわ。不甲斐ないアンタたちの代わりにこっちでバイトを雇ったから。廊下には荷運び用の大型ラックを用意してある」
「大型ラック?」
「よくホテルのベルボーイが引いているアレよ。スーツケースを山積みにできるやつ。それを三台ほど仕入れたから、彼らと協力して五人を拉致したら、速やかにここへ連れて来てちょうだい。ラックに乗せたら布で覆うのを忘れないで!」
「は……! 準備がよろしいことで」
男は呆れながらも、ほとほと感心してしまった。これではちょっとしたプロも顔負けの用意周到ぶりだ。しかもなかなかに頭が切れる。そんな頭脳があるなら、もっと他のことに使えばいいものをと思いたくもなる。だがまあ、裏を返せばそうまでしてまだ周風への想いを諦めきれないわけかと笑った。
「ふん! 風のことはもうどうでもいいのよ! アタシはただあの女だけが幸せにしてるのが許せないだけ」
勘違いしないでちょうだいと優秦はむくれてみせた。
「そんなことより五人を拉致したらあの女以外には手を出さないでちょうだいね! 後で風に恩を着せる為の道具なんだから」
「恩を着せるだって? 嬢さん、あんたまだ何か企んでいやがるのか?」
「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい! 五人の中には風の側近の曹先生もいるのよ? それに風の弟の連れ合いもいる。下手に手を出して恨まれるよりも、このアタシが口利きしてあげて助けてやったっていう形にするのよ。そうすれば風だってアタシに恩ができるでしょ」
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