極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
825 / 1,212
ダブルトロア

37

しおりを挟む
 しばらくすると読み通りか、数台の車が到着し、周兄弟と鐘崎らが迎えにやって来た。
 周らは皆の無事に安堵し、まるで焦燥感いっぱいといった様子で駆け寄ってはそれぞれの伴侶を抱き締めた。
 乱闘覚悟で勢い込んできた割には肝心の暴走グループがいないことと、皆の中に楚光順の元部下だった楊宇の顔を見て驚いたものの、曹や美紅から事情を聞いて一先ずは納得となったのだった。
「そうだったか。しかし皆で協力して、よくぞ乗り切ってくれたな。優秦が暴走グループを差し向けたようだと聞いた時には肝が冷えたなんてものじゃなかった」
「兄貴の言う通りだ。戦慄が走ったぜ」
「まあお前らのことだ。曹先生や鄧先生もついててくれるしと思って、何とか時間を稼いでくれることだけを祈ってここまで来たわけだが」
 三者三様、旦那たちが安堵の溜め息を漏らす。戦々恐々の勢いで駆けつけたものの、皆が朗らかに談笑している様子を見て、それの方が驚かされたくらいだったのだ。とにかくは無事で良かったと、誰もが肩を撫で下ろしたのだった。
「ところで周風、楚優秦のことだが……彼女は今どうしているんだ?」
 曹が訊くと、彼女を尾行した李らが企ての確たる証拠を押さえた時点で周風の部下たちが確保したとのことだった。
「今は我々の滞在しているホテルの部屋で見張りをつけている。帰る頃には父親の楚光順も到着するだろう」
 既に光順にも連絡済みだそうだ。
「あの親父さんが知ったら、さぞ心を痛めるだろうな」
「その点は我々にとっても痛いところだが致し方あるまい。今後のことは光順と話し合って決める」
 では警察には突き出していないということか。まあ光順の胸の内を思えばそうするしかないだろう。
「優秦への制裁は香港の親父にも報告してからだ」
 こうして一旦は無事に落着し、一同はホテルへと戻ることになったのだった。



◇    ◇    ◇


しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

処理中です...