極道恋事情

一園木蓮

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ダブルトロア

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 離陸後、プライベートジェットの中では相変わらずに賑やかだ。周と鐘崎の旦那組は、思わぬ事件によって帰国が遅れた分の仕事を整理せんと、パソコンを広げて忙しなくしている。
 冰と紫月の嫁組は日本で待っている者たちへのお土産の仕分けに精を出す。
「今回ウィーンのと、そいから香港でも土産を買い込んだからなぁ。今の内にちゃんと分けておかねえと!」
「ですね! それにしてもすごい量」
 キャッキャと言い合いながら、嫁二人は相変わらず仲が良い。ふと、手を止めながら冰が呟いた。
「そっか、今度香港に帰る時は赤ちゃんのお土産も持っていかなきゃ!」
 こうした旅行や出張の際に土産物を用意するのがお役目となりつつある冰にとっては、ついそんなことが頭を過ってしまうわけらしい。どんな物が喜んでもらえるかなと一生懸命に頭をひねらせている姿が相変わらずに可愛らしかった。
「えっと、お義姉様の赤ちゃんが生まれるのは七ヶ月後……くらいですよね」
「ってことは、秋生まれになるのかぁ」
「ですね。十月くらいかな」
 十月といえばちょうど風の誕生日と同じ頃だ。
「そういえばお兄様の誕生日は十月十日だから、ひょっとしたら親子で同じ日なんてことも有り得るかも!」
「そいつぁすげえな! さすが風さんだ」
「どんな子だろうなぁ。俺も抱っこさせてもらえるかな。真田さんに赤ちゃんのあやし方を教わっておかなきゃ! 楽しみだなぁ!」
 瞳を細めながらそう遠くない将来を思い描く冰の笑顔がそこはかとなく幸せそうで、紫月もまたあたたかな思いに表情がゆるむのだった。
 今回もまた、予期せぬ波乱に巻き込まれた出張であったが、相変わらずの絆で何とか乗り切ることができた。周家に新しい命が芽生え、楚光順一家も実の娘に巡り会うことができて、結果は喜ばしいといえるだろう。
「しかしホント、いろんなことがあるな。俺たちの人生ってのはさ」
「そうですね。でも皆さんと一緒ならどんなことも乗り越えていけますよね、きっと!」
「ん、そうだな!」
 スーツケースに土産を詰め終えた二人の元に、周と鐘崎も仕事の整理をひと段落させてやって来た。
「紫月」
「冰」
 同時に呼ばれて二人はパッと瞳を輝かせた。
「白龍! お仕事もういいの?」
「ああ。粗方片付いたからな」
「んじゃ、皆んなで茶でもするべー!」
「そうだ、紫月。さっき空港でな、ほら――」
 鐘崎が差し出した物を見て、紫月は感嘆の声を上げた。
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