極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
1,083 / 1,212
陰謀

27

しおりを挟む
「話を整理してみましょう。僚一さんの想像通りにその荒くれ者の若い男が礼金目当てで一家を脅し、豪邸を購入させた。となると、その男と一家は一時期その豪邸で共に暮らしていたという可能性が出てきます。ところが半年後には売っ払って金に変えている。焔君の話では――スーリャンというその女の暮らしぶりからして金に余裕があるふうには思えないということですから、おそらくはその金も男が持ち逃げしたと考えるべきでしょう」
 続いて鐘崎が言う。
「その豪邸を売り払った時にはスーリャンは女児を孕っていた。アパートに移り住んで女児を出産、その後数年は家族四人そのアパートで暮らしたが、両親は都会の水に馴染めずに村へと舞い戻った。スーリャンは女児を抱えながら上海に残り、タイ人の俳優チャンムーン親子と知り合った――ということになりますね」
 金は村で乱暴者とされていた男に騙し取られ、生きるのに必死だったスーリャンがタイ人の俳優チャンムーンに惹かれ、頼みに思ったとて不思議はない。
「ここで問題になるのは――スーリャンが生んだ女児が誰の子供かということだ。十五年前、彼女が焔に強要されて孕ったという可能性がひとつ。だが、そうであるならなぜ俳優の息子であるアーティットが焔の子供だなどと嘘をついたのだ」
 本当に周焔に犯されて出来た子供なら、スーリャンが実際に生んだ女児を連れていくべきだろうと僚一は言うのだ。曹もまた、その通りだと言って首を傾げた。
「確かに――。生まれた女児が本当に焔君の子であるなら堂々とその子供を連れていけばいいだけのこと。仮に親子鑑定に掛けられたとして、わざわざ嘘がバレるような他人の子を連れていく必要はないですよね」
「そこから推測できるのは、スーリャンが生んだ女児は焔の子ではない――ということだ」
「――ではいったい誰の子だと……?」

 まさか――と言って曹も鐘崎も瞳を見開いた。

「そうだ。一家を脅して村を出た若い乱暴者の男――という可能性が高くなってくる」
 僚一の推測はこうだ。
 十五年前、周兄弟を世話したスーリャン一家はその礼として莫大な金額を手に入れた。もちろん、周焔とスーリャンの間には子供ができるような関係は一切無かった。一家が貰った大金に目をつけた乱暴者の男がその金を目当てに彼女を強姦。既成事実を作り上げて村に居づらくさせた挙句、上海に豪邸を買わせ、彼女が孕ったことを知るとすぐにその豪邸を売り払って金に変え、それを持ち逃げした。
 残されたスーリャンは女児を出産、両親は村へと舞い戻ったが数年後に他界。上海に残って女手ひとつで女児を育てていた彼女はタイ人俳優のチャンムーン親子と知り合って恋仲になった。
「そこで止むに止まれない何かが起こった。おそらくは金を騙し取った乱暴者の男と偶然にも再会したのだとすれば――」
「スーリャンはまたもその男に脅されて、周家から金を巻き上げようとこんな猿芝居に加担させられたということか?」
「そう考えれば辻褄が合う気がせんか?」
 僚一の推測に、鐘崎も曹もなるほどと肩を落とした。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...