極道恋事情

一園木蓮

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陰謀

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 残ったのはダーウバン唯一人だ。
 母子は李によって迅速に保護され、目の前には般若か魔神のように恐ろしげな形相をした周のみ――。
「ひゃ……ひゃあああ……! よせ……ッ! く、来るなー!」
 七人もいたはずの仲間は皆地面に横たわって伸び切っている。
 地獄へ堕ちろ――とでも言わんばかりの周から重い拳を立て続けに食らって、ダーウバンは地面へと突っ伏した。
 ――が、虫の息ではあるが意識を失うまではいっていない。周はわざとその一歩手前でダーウバンの意識を残したまま恐怖と苦渋を強いたのである。
「あの世へ送ってやるのは容易いがな。そう簡単に逝けると思うな。てめえにゃ生きたままで地獄を見てもらわにゃならんのだからな」
 この十五年の間にスーリャンが背負った心痛、苦痛。また、彼女の両親が心身を病んだことにより早くに他界してしまったこと。そして愛する冰にどれだけの心労を課したことか――。
 それらすべての元凶が目の前にいるこの男だと思うと、周の心境からすれば幾度あの世送りにしたとて到底許せるものではなかった。
「てめえをあの世へ葬るのは簡単だ。だがそうはしねえ。てめえにゃ死ぬよりも辛い生き地獄を味わせるのが似合いだ」
 周は言うと、虫の息で動くことさえままならない男の腹目掛けてとどめの蹴りを見舞った。
 男はそのまま意識を刈り取られ、ファミリーの側近たちによって引き摺られながら車へと運ばれたのだった。そんな彼が意識を取り戻した先に待っているのはまさに生き地獄であろう。
 こうしてダーウバン一味はすべて拘束され、事件は一先ずの幕をおろすこととなった。



◇    ◇    ◇



 その後、スーリャンとアーティット母子をチャンムーンの入院する病院へと送り届けた周らは、宿泊先のホテルにて父の周隼と兄・周風と合流した。
「父上、兄上、お手を煩わせて申し訳ございません」
「うむ、気にするでない。――して、無事にそちらの始末はついたようだな」
「はい、お陰様で。父上が応援に回してくださったファミリーと曹先生やカネたちのご助力で、一味はすべて拘束いたしました」
「そうか。ご苦労だった。我々の方でもダーウバンという輩に加担した闇医者らを突き止めることができたところだ。既にここ上海を仕切る頭目に引き渡してきた。あとは我々の感知するところではない」
 上海のボスはものの善悪をよく心得た、人望的にも信頼に足る人物だ。あとの処理は彼に任せて間違いはないと隼は言った。
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