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封印せし宝物
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「こんなこと白龍にも言えないんですが……。実は俺、最近ちょっとおかしくて」
「おかしいって? どっか体調面で不安があるとかか?」
「いえ……。でもまあ体調にも少し関係があるのかも知れません。俺、時々すごく怖くなるんです」
「……!? 怖いって、どんなふうに?」
これは思っていたより深刻なのか――そう思った紫月はなるべく混乱させないように穏やかな表情で冰を見つめた。ところが直後に冰から飛び出したひと言にますます目を丸めさせられることとなった。
「ボウズ……」
「――え?」
「ボウズって、白龍が言うんです。その、小学生くらいの男の子に対して呼び掛ける時とかに」
「……? ボウズ?」
思いもよらない話し向きに紫月は驚きつつも眉根を寄せさせられてしまった。
「前に皆んなで香港に行った時のこと覚えてますか? 台湾から来ていた王子涵君っていう男の子を預かってくれないかってメビィさんに言われた時のことです」
「ああ! うん、もち覚えてっけど」
「その時が初めてだったかな。白龍が子涵君に向かって『ボウズ』って呼び掛けたんです。俺、その時は何となく不思議な感覚でしかなかったんですけど……この前道を歩いてた時に目の前で男の子が転んだんです。白龍はすぐに駆け寄ってその子に手を差し伸べたんですが、その時も『ボウズ、怪我はないか?』って訊いたんです。そのすぐ後でした。俺、急にワケもなく怖くなって……身体が震え出しちゃって……」
「……つまり冰君は氷川が小学生くらいの兄ちゃんを『ボウズ』って呼ぶのを聞いて急に怖くなっちゃったってことか?」
コクコクとうなずきながらも冰はギュッと苦しそうに瞳を瞑った。
「紫月さんは……『兄ちゃん』って呼ぶんですね。鐘崎さんはどうなのかな……? 小学生くらいの男の子に話し掛ける時……。やっぱり『ボウズ』でしょうか」
「うーん、そうだな。そう言う時もあるかもだし、遼なら『おい、ガキんちょ』とかも言いそうだな」
「……そっか。鐘崎さんらしいですね」
冰は苦しそうにしながらも弱々しく笑った。
「その呼び方が――気になるんか? 冰君だったら『キミ』とか『坊や』とか言いそうだよな?」
「……そうかも……ですね。紫月さん、俺……初めて白龍に助けてもらった時、その時も白龍は俺のことをボウズって呼んだんです。その呼ばれ方はすごく印象に残ってて、そう呼ばれるのが好きだった……。とても大切な思い出だったんです。でもその大好きな思い出が……怖いと思うようになるなんて」
ギュッと両の拳を握り締めカタカタと身を震わせ始めた様子に、紫月は「大丈夫だよ、怖くない」というようにそっと冰の肩を包み込んだ。
「おかしいって? どっか体調面で不安があるとかか?」
「いえ……。でもまあ体調にも少し関係があるのかも知れません。俺、時々すごく怖くなるんです」
「……!? 怖いって、どんなふうに?」
これは思っていたより深刻なのか――そう思った紫月はなるべく混乱させないように穏やかな表情で冰を見つめた。ところが直後に冰から飛び出したひと言にますます目を丸めさせられることとなった。
「ボウズ……」
「――え?」
「ボウズって、白龍が言うんです。その、小学生くらいの男の子に対して呼び掛ける時とかに」
「……? ボウズ?」
思いもよらない話し向きに紫月は驚きつつも眉根を寄せさせられてしまった。
「前に皆んなで香港に行った時のこと覚えてますか? 台湾から来ていた王子涵君っていう男の子を預かってくれないかってメビィさんに言われた時のことです」
「ああ! うん、もち覚えてっけど」
「その時が初めてだったかな。白龍が子涵君に向かって『ボウズ』って呼び掛けたんです。俺、その時は何となく不思議な感覚でしかなかったんですけど……この前道を歩いてた時に目の前で男の子が転んだんです。白龍はすぐに駆け寄ってその子に手を差し伸べたんですが、その時も『ボウズ、怪我はないか?』って訊いたんです。そのすぐ後でした。俺、急にワケもなく怖くなって……身体が震え出しちゃって……」
「……つまり冰君は氷川が小学生くらいの兄ちゃんを『ボウズ』って呼ぶのを聞いて急に怖くなっちゃったってことか?」
コクコクとうなずきながらも冰はギュッと苦しそうに瞳を瞑った。
「紫月さんは……『兄ちゃん』って呼ぶんですね。鐘崎さんはどうなのかな……? 小学生くらいの男の子に話し掛ける時……。やっぱり『ボウズ』でしょうか」
「うーん、そうだな。そう言う時もあるかもだし、遼なら『おい、ガキんちょ』とかも言いそうだな」
「……そっか。鐘崎さんらしいですね」
冰は苦しそうにしながらも弱々しく笑った。
「その呼び方が――気になるんか? 冰君だったら『キミ』とか『坊や』とか言いそうだよな?」
「……そうかも……ですね。紫月さん、俺……初めて白龍に助けてもらった時、その時も白龍は俺のことをボウズって呼んだんです。その呼ばれ方はすごく印象に残ってて、そう呼ばれるのが好きだった……。とても大切な思い出だったんです。でもその大好きな思い出が……怖いと思うようになるなんて」
ギュッと両の拳を握り締めカタカタと身を震わせ始めた様子に、紫月は「大丈夫だよ、怖くない」というようにそっと冰の肩を包み込んだ。
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