極道恋事情

一園木蓮

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絞り椿となりて永遠に咲く

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「本ボシの男は上坂への指示や報酬の受け渡しもすべて直に会うことはせずに済ませています。おそらくは身元がバレるのを避けたのでしょうが、そこまで用心深いヤツがどうやって鐘崎らをあのビルに閉じ込めることができたかということです。上坂とは別に第二の実行役を雇ったとも考えられますが、もしかしたら鐘崎たちがあのビルに行った理由は、この本ボシとはまったく関係がなかったとも考えられます」
 仮にその本ボシが三春谷だったとして、わざわざ上坂のような男を匿名で雇ってまで意味深なことを吹き込んだのは、単に紫月のことで鐘崎に苦言を食らった腹いせに少々困らせてやろうとしただけという可能性も出てくる。だとすれば、本ボシは三春谷ではない別の誰かなのかも知れない。
「それにしても――報酬の額が少々多過ぎやしませんか?」
 単に困らせてやろうという目的にしては、二十万円という数字が気に掛かるところではある。
 やはり鐘崎らの意識が戻るまで待つしかないということか――。
 あの辺りは建て替えが決まってから稼働していない倉庫街ゆえに、防犯カメラの類なども無いという。とにかく丹羽の方では上坂を雇ったのが本当に三春谷であるかどうかを含めて、引き続き調べを進めるということだった。

 その丹羽とは別に周や源次郎の方でも独自の捜査が進められていた。パソコンの地図に印を入れながら鐘崎らの足取りを追ってみる。
「時系列で状況を整理してみよう。まず、カネたちが上坂扮する探偵を名乗る男と会ったとされるのがここ。海沿いの遊歩道だ」
「運転手の花さんが若たちを降ろして待機していたのはこの大通りですな」
「発破解体のあったビルはここだ。地図上で見ると、カネたちは遊歩道で上坂と別れてから花村さんの待つ大通りまで徒歩で向かったはずだ。例のビルはちょうどその間にある……」
 ということは、車まで戻る道のりで何かがあり、鐘崎らはこの古ビルに立ち寄ったということになる。
「ここで誰かに呼び止められでもしたってのか……? とすれば、その人物にビルの中へと誘導された可能性が高い。カネは数時間後にここで発破解体があることを知らなかった為に疑うことなく誘い込まれた――ということになる。仮にそれが三春谷というヤツだったとして、何か罠のようなものが用意されていたとしてもカネと清水が二人揃っていたわけだ。三春谷なんていう素人同然のヤツにむざむざ閉じ込められたとは考えにくい」
「とすれば――若たちが加勢しなければならないような事態が起こったとすればいかがでしょう。例えば三春谷自身は姿を現さずに、誰かが言い争いをしているか、あるいは窮地に陥っているような声を聞きつけて加勢に向かった。若たちがビルの中へ入ったのを見届けてドアを閉め、あの狭い部屋に閉じ込めた……とか」
「一理あるかも知れませんね。源次郎さんの予想が当たっていたとして、言い争いをさせる人間が必要になります。上坂の他にも闇バイトとして三春谷が誰かを雇ったということでしょうか……」

 それとも――。
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