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Daydream Candy 6話
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「何言ってんだ、てめえは……ッ! マジ、どうかしてんぜ……!」
「どうかしてんのはお前だろうが。なんで客の男なんかに好きにさせてんだよ。普通ホストがそこまでするか? 単に業績の為にやってるとは思えねえな」
「……! ンなの、余計な……節介だってんだよ……」
「いつもこうか? 相手が野郎なら誰にヤられても同じかよ。例えば俺でも……。それを証拠に――ほら、もう勃ってんぜ?」
「……てめ、さっきっから、ヒトの言うこと聞いてねえだろっ……! くそっ、放せっ……!」
身動きのできないまま、だが龍の言うように抗えない欲情の印が恨めしい。
こんなことをされれば誰でもこうなる――生理的なものだと言ってやりたかったが、言葉さえ上手く出てはこない。下着の上からフクロも竿も全部を揉みしだくように撫で回されて、どんどん硬くなる自らの変化を呪いたくなった。
「こんなの客の女が知ったらショックだろうな? まあ、薄々感付いてる子もいるかも知れねえがな。お前が男の客を相手にしてる時、恨めしそうにお前らのテーブルを見てる子もいるもんな?」
「……ンなの、知らね……ッ、男だろうが女だろうが……お客はお客だし……」
「お前のやってることは”接客”の線を越えてる」
「……ッ、はぁ!?」
「気を付けろよ? 野郎とホテルに入るところを付けられてねえとも限らねえぞ。ヘンな噂でも立てられたりしたら、お前のホスト人生は終わりだぜ?」
「――――! そ……んなん、てめえにゃ関係ねえ……だろッ」
何だか酷く痛いところを突かれたようで、一気に全身から力が抜け落ちる。相反して加速するのは不本意な欲情ばかりだ。
「も……いい。好きにすりゃいいだろ……! けど、てめえだってヒトのこと言えっかよ! ンなっ、ビンビンにおっ勃てやがって……!」
さっきから幾度も腰元に当たってくる硬い雄の感覚を罵倒するくらいしか、抵抗の術がない。
「当たり前だろうが。何度言えば分かるんだ。俺はお前を抱く為にここへ呼んだん……だって!」
わずかに力んだ声音と共にスラックスごと下着も一気に引き摺り下ろされて、それらが膝に絡み付く。これではまるで強姦に他ならない。
「な……にが……無粋なことはしたくねえ――だよッ! てめえのやってンことは……犯罪だぞ!」
「は、そうかもな。否定はしねえさ」
「…………ッの……獣野郎が――!」
「――獣ね。これ以上ない褒め言葉だ。だが、誰にでもってわけじゃねえさ。お前にだけだ――冰」
今の今までの強引さと荒々しさとは対極の、穏やかで優しい声が切なげに耳元を侵す。その瞬間、わけもなく泣きたいような気持ちに駆られた。
そうさ、好きでやってるわけじゃない――
客の男と寝ることが自身の業績を上げる為だけの枕営業であるならば、誰にどんな罵倒をされようが構わない。気にもとめない。
だが違う。誰にも言えない、言いたくもない苦悩がそこに隠されていることをただただ独りで抱え込んできたというのに――この男はいとも簡単にそれを剥ぎ取ろうとしている。
ほんのわずかにでも気をゆるめれば、決して知られたくはない自らの内面で渦巻く苦渋が、ガタガタと音を立てて崩れ落ちてしまいそうだ。誰かに泣いて縋り付きたくなってしまう。弱い自分をさらけ出して、思い切り受け止めてくれるような腕を探したくなってしまう。
自身の抱える苦くてどす黒い感情――そんな思いを見せたくないが為に誰の前でも明るく振る舞い、懸命に取り繕ってきたというのに。何故会って間もないこの男は、こうもズケズケと踏み込んでくるのだろう。まるですべてを見透かされているようだ。
今まで積み重ねてきたものが一瞬で突き崩され、丸裸にされてしまうようで、波濤は恐怖ともつかない言いようのない感覚に足のすくむような思いでいた。
そして、そんな恐怖心から逃れたいという本能からか、欲情の渦に手を伸ばしたくて堪らなくなる。
目の前の淫猥な世界にどっぷりと堕ちてしまったならば、すべての苦しみから解放されるだろうか。
ほんの一瞬でもいい、何もかもを忘れて、ただこの欲にまみれてしまいたい――こみ上げてくる涙を掻き消すかのように、波濤は龍の差し出す欲情を受け入れた。
◇ ◇ ◇
その後、脱ぎ捨てた服をそのままに、ベッドへと移動して熱情を絡め合った。
初めて触れる龍の素肌は逞しく、整った筋肉質の身体が艶かしく、いつもの隙のないスーツ姿とのギャップが例えようもなく甘美で、心を鷲掴みにされそうだ。
強引で容赦のない言動とは裏腹に、愛撫はやさしく且つ淫らで、身も心も包み込んでくれるような安堵感をもたらしてくる。
このまま、どうにもならないくらいグズグズに甘やかされてみたい――そんな欲求が沸々と湧き上がるようだった。
涙がこぼれそうなほどの包容力を伴った心地のいい腕の中に抱かれながら、波濤は”この男を贔屓にして来店する女性客らの心理”などを漠然と思い浮かべていた。
――あんな奴がどうして六本木でナンバーワンを張っていられたのか皆目不思議。
今ならば、その理由が分かるような気がしていた。
「どうかしてんのはお前だろうが。なんで客の男なんかに好きにさせてんだよ。普通ホストがそこまでするか? 単に業績の為にやってるとは思えねえな」
「……! ンなの、余計な……節介だってんだよ……」
「いつもこうか? 相手が野郎なら誰にヤられても同じかよ。例えば俺でも……。それを証拠に――ほら、もう勃ってんぜ?」
「……てめ、さっきっから、ヒトの言うこと聞いてねえだろっ……! くそっ、放せっ……!」
身動きのできないまま、だが龍の言うように抗えない欲情の印が恨めしい。
こんなことをされれば誰でもこうなる――生理的なものだと言ってやりたかったが、言葉さえ上手く出てはこない。下着の上からフクロも竿も全部を揉みしだくように撫で回されて、どんどん硬くなる自らの変化を呪いたくなった。
「こんなの客の女が知ったらショックだろうな? まあ、薄々感付いてる子もいるかも知れねえがな。お前が男の客を相手にしてる時、恨めしそうにお前らのテーブルを見てる子もいるもんな?」
「……ンなの、知らね……ッ、男だろうが女だろうが……お客はお客だし……」
「お前のやってることは”接客”の線を越えてる」
「……ッ、はぁ!?」
「気を付けろよ? 野郎とホテルに入るところを付けられてねえとも限らねえぞ。ヘンな噂でも立てられたりしたら、お前のホスト人生は終わりだぜ?」
「――――! そ……んなん、てめえにゃ関係ねえ……だろッ」
何だか酷く痛いところを突かれたようで、一気に全身から力が抜け落ちる。相反して加速するのは不本意な欲情ばかりだ。
「も……いい。好きにすりゃいいだろ……! けど、てめえだってヒトのこと言えっかよ! ンなっ、ビンビンにおっ勃てやがって……!」
さっきから幾度も腰元に当たってくる硬い雄の感覚を罵倒するくらいしか、抵抗の術がない。
「当たり前だろうが。何度言えば分かるんだ。俺はお前を抱く為にここへ呼んだん……だって!」
わずかに力んだ声音と共にスラックスごと下着も一気に引き摺り下ろされて、それらが膝に絡み付く。これではまるで強姦に他ならない。
「な……にが……無粋なことはしたくねえ――だよッ! てめえのやってンことは……犯罪だぞ!」
「は、そうかもな。否定はしねえさ」
「…………ッの……獣野郎が――!」
「――獣ね。これ以上ない褒め言葉だ。だが、誰にでもってわけじゃねえさ。お前にだけだ――冰」
今の今までの強引さと荒々しさとは対極の、穏やかで優しい声が切なげに耳元を侵す。その瞬間、わけもなく泣きたいような気持ちに駆られた。
そうさ、好きでやってるわけじゃない――
客の男と寝ることが自身の業績を上げる為だけの枕営業であるならば、誰にどんな罵倒をされようが構わない。気にもとめない。
だが違う。誰にも言えない、言いたくもない苦悩がそこに隠されていることをただただ独りで抱え込んできたというのに――この男はいとも簡単にそれを剥ぎ取ろうとしている。
ほんのわずかにでも気をゆるめれば、決して知られたくはない自らの内面で渦巻く苦渋が、ガタガタと音を立てて崩れ落ちてしまいそうだ。誰かに泣いて縋り付きたくなってしまう。弱い自分をさらけ出して、思い切り受け止めてくれるような腕を探したくなってしまう。
自身の抱える苦くてどす黒い感情――そんな思いを見せたくないが為に誰の前でも明るく振る舞い、懸命に取り繕ってきたというのに。何故会って間もないこの男は、こうもズケズケと踏み込んでくるのだろう。まるですべてを見透かされているようだ。
今まで積み重ねてきたものが一瞬で突き崩され、丸裸にされてしまうようで、波濤は恐怖ともつかない言いようのない感覚に足のすくむような思いでいた。
そして、そんな恐怖心から逃れたいという本能からか、欲情の渦に手を伸ばしたくて堪らなくなる。
目の前の淫猥な世界にどっぷりと堕ちてしまったならば、すべての苦しみから解放されるだろうか。
ほんの一瞬でもいい、何もかもを忘れて、ただこの欲にまみれてしまいたい――こみ上げてくる涙を掻き消すかのように、波濤は龍の差し出す欲情を受け入れた。
◇ ◇ ◇
その後、脱ぎ捨てた服をそのままに、ベッドへと移動して熱情を絡め合った。
初めて触れる龍の素肌は逞しく、整った筋肉質の身体が艶かしく、いつもの隙のないスーツ姿とのギャップが例えようもなく甘美で、心を鷲掴みにされそうだ。
強引で容赦のない言動とは裏腹に、愛撫はやさしく且つ淫らで、身も心も包み込んでくれるような安堵感をもたらしてくる。
このまま、どうにもならないくらいグズグズに甘やかされてみたい――そんな欲求が沸々と湧き上がるようだった。
涙がこぼれそうなほどの包容力を伴った心地のいい腕の中に抱かれながら、波濤は”この男を贔屓にして来店する女性客らの心理”などを漠然と思い浮かべていた。
――あんな奴がどうして六本木でナンバーワンを張っていられたのか皆目不思議。
今ならば、その理由が分かるような気がしていた。
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