13 / 15
未知との遭遇
しおりを挟む
「…地球環境に適合できなかった、ということはつまりヴァンパイアは宇宙人、ということですか?」
先ほどとは別の人物が質問をする。宮内はゆっくりとこう答えた。
「…ええ、そういうことになります」
一気にざわつく室内。皆うすうすと感じていたことではあったが、改めて断言されると現実をうまく飲み込めないようだ。
「ヴァンパイアがどこから来たのか、現状判明していることを話します。まず重要な点として、この太陽系が連星であるということは皆さんご存知でしょう」
連星、それは二つの恒星が両者の共通の重心の周りを公転している天体のことだ。地球を含む太陽系において太陽の周りを地球が公転しているように、中心の太陽のまわりをもう一つの恒星が公転していることはこの世界では誰もが知っている。
「地球がそのまわりをまわっている太陽とは別の、もう一つの太陽、通称ツヴァイユは冥王星軌道よりもはるか向こう、太陽から百九十六億千米離れたところを公転しています。我々の太陽が八つの惑星を持つように、ツヴァイユも三つの惑星を抱えており、中心から順にリオラ、テリオン、サトラーゼと呼ばれているのはご存知でしょう。ヴァンパイアが来たのはその二番目の惑星、テリオンからです」
「テリオンというのは、あの生命が存在しているかもしれないといわれている星のことですよね?」
「ええ、そうです」
簡潔に質問に答えた宮内は、画面に新たな映像を映し出す。それは今話題に上がっているテリオンの衛星画像であった。
「テリオンは地球が太陽から適度な距離を保っているのと同じように、テリオンはツヴァイユから適度な距離を保っているのです。そしてヴァンパイアはそこで生まれた知的生命体だということです」
「つまりヴァンパイアはテリオンから来た宇宙人で、地球にやってきたはいいものの地球の環境に適応できずに人類に負けたと…」
ここまでの話に納得した暁が腕組みしながらつぶやく。
「まさにその通りです。現状どのようにヴァンパイアが敗れたのかは諸説あるところですが、地球侵攻開始から約半年ほどたった段階でヴァンパイア軍の攻勢が衰えてきたといわれています。それに乗じて、人類側もヴァンパイアの有する兵器を鹵獲するなどして抵抗しました。このころには各地で乗り捨てられたヴァンパイア軍の戦車などが各地に転がっていたといわれます。激しい侵攻の爪痕とともに残されたのは大量の残骸とヴァンパイアの死体でした。のちに彼らの死因のほとんどは戦死ではなく、病死であったとの記録が残っています」
先ほどとは別の人物が質問をする。宮内はゆっくりとこう答えた。
「…ええ、そういうことになります」
一気にざわつく室内。皆うすうすと感じていたことではあったが、改めて断言されると現実をうまく飲み込めないようだ。
「ヴァンパイアがどこから来たのか、現状判明していることを話します。まず重要な点として、この太陽系が連星であるということは皆さんご存知でしょう」
連星、それは二つの恒星が両者の共通の重心の周りを公転している天体のことだ。地球を含む太陽系において太陽の周りを地球が公転しているように、中心の太陽のまわりをもう一つの恒星が公転していることはこの世界では誰もが知っている。
「地球がそのまわりをまわっている太陽とは別の、もう一つの太陽、通称ツヴァイユは冥王星軌道よりもはるか向こう、太陽から百九十六億千米離れたところを公転しています。我々の太陽が八つの惑星を持つように、ツヴァイユも三つの惑星を抱えており、中心から順にリオラ、テリオン、サトラーゼと呼ばれているのはご存知でしょう。ヴァンパイアが来たのはその二番目の惑星、テリオンからです」
「テリオンというのは、あの生命が存在しているかもしれないといわれている星のことですよね?」
「ええ、そうです」
簡潔に質問に答えた宮内は、画面に新たな映像を映し出す。それは今話題に上がっているテリオンの衛星画像であった。
「テリオンは地球が太陽から適度な距離を保っているのと同じように、テリオンはツヴァイユから適度な距離を保っているのです。そしてヴァンパイアはそこで生まれた知的生命体だということです」
「つまりヴァンパイアはテリオンから来た宇宙人で、地球にやってきたはいいものの地球の環境に適応できずに人類に負けたと…」
ここまでの話に納得した暁が腕組みしながらつぶやく。
「まさにその通りです。現状どのようにヴァンパイアが敗れたのかは諸説あるところですが、地球侵攻開始から約半年ほどたった段階でヴァンパイア軍の攻勢が衰えてきたといわれています。それに乗じて、人類側もヴァンパイアの有する兵器を鹵獲するなどして抵抗しました。このころには各地で乗り捨てられたヴァンパイア軍の戦車などが各地に転がっていたといわれます。激しい侵攻の爪痕とともに残されたのは大量の残骸とヴァンパイアの死体でした。のちに彼らの死因のほとんどは戦死ではなく、病死であったとの記録が残っています」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる