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2章 粛清と祭
第29話 ミッション : 入部せよ
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今日の18時30分に西園寺 綺羅梨と喫茶プリウムで待ち合わせ。
約束はしたが、ゆかとちゆにその事を伝えてはいない。
15時30分からの放課後3時間を、どうやって過ごすかについては、一応考えてはいる。
問題は、プリウムできらりと会っている間、ちゆとゆかに、どこに居てもらうかだ。
ちゆは部活動をしていたのだが、一応、羽根が生えてからは一旦休部して貰っている。
正直なところ、ちゆには常に見えるところにいて欲しいくらいだが、仮に僕がそこまで過保護にしたところで、あまり意味がないことは承知している。
そこで、昼休みの様子と、今回のターゲットの話を踏まえてアカリに頼み込み、ちゆの事を、間接的にでも守ってもらえればと提案した。
これに関しては、アカリも割とあっさり了承してくれた。
会話で説明するとこうだ。
「ごめん、今頼りにできる相手はアカリだけなんだ。ちゆのことお願いしても良いかな?」
「いーよ、そういうことなら。私も休む口実ができるし、ちゆちゃん面白いから」
たぶん、アカリも仕事が立て込んでいて、なかなか休むに休めなかったのだろう。
後でちゆの護衛費って感じで、何かレオミュールに要求するつもりなのかも知れないが、もしそうなったら、それはそれでお互いにメリットがあるのだから、固いことは言わないでおこう。
これで放課後は、ちゆはアカリに連れられてプリウムと反対側にある学院地下の売店へ向かうことになった。
ゆかに関してはいつも通り、よもぎと遊びに行くそうで、行き先は聞いてないが、買い物だそうだ。
なら、問題はないだろう。
僕は2人に、どこか自由が効く部活に籍だけ置くと言って、見学を理由に学校に残ると言った。
アカリには、僕がきらりとの話が終わり次第、こちらから連絡すると言ってある。
準備は完了。
あとは、この余った3時間をどう使うかだ。
まずは、実際に部活の見学をして入部届けを提出しておきたい。
普通に考えて、自由が効く部活は文化部だろう。
一応、学院の説明会で貰った小さい冊子で一覧を確認すると、以下のようなクラブ活動があった。
文芸部
美術部
茶道部
華道部
書道部
演劇部
吹奏楽部
合唱部
軽音部
放送部
マンガ研究部
写真部
映像研究会
落語研究会
占い研究会
囲碁部
将棋部
競技カルタ部
ダンス部
天文部
サイエンス部
弁論部
料理研究会
外国語研究部
新聞部
生徒会
といった感じだ。
全部回ろうと思ったら、一つの部活に5分くらいしか掛けられない。
別に今日で全部回る必要もなければ、そもそも回らずに決めて良いのだが、一覧にして部員が楽しそうにピースしている写真を見ると、文化部巡りをしてみたくなる。
久しぶりにワクワクしていると、その様子を見ていた子から、まさかのお声が掛かった。
委員長で、赤いメガネを掛けている、インテリ美少女。
竜宮 文香だ。
黒髪ロングのストレートで、身長は155くらい、色白の細身で胸が大きく、たぶんEはありそうだ。
いつもゆかと一緒にいるので、感覚がバグっているが、あやかもクラスでは大きい方だ。
以前に体育館で色々とやってしまったのもあって何となく恥ずかしかったが、声を掛けてくれたのは素直に嬉しい。
あと、あやかは学院の名前が可愛いという単純な理由で、一般入試で入学しているので、おそらく見習いサキュバスではない……、と思っている。
「玉元くん、それ、部活選び?」
「うん、どこか、自由が効きそうな文化部にしようと思ってさ」
「そうなんだ。もう決めたの?」
「まだ」
「興味ある部活ある?」
「うーん、今のところは、無いかな、一度回ってみないと分からない」
「オススメは、写真部と、文芸部かな」
「なんで?」
「私がいるから」
「!?」
ゴホッと、びっくりして咽せる。
「大丈夫?玉元くん」
「いや、そんな勧め方されるとは思わなくて」
「なんで?普通だと思うけど」
「そっか、そう言われるとそうか」
「自由が効く方が良いんでしょ?」
「まーね。家での趣味の時間を大事にしたくて」
「そーなんだ、だったら、写真部なら、部活に出なくても、休みの日に写真撮って提出するだけだから良いかもね」
「部長は誰なの?」
「私」
「そっか。凄いね、部長なんて。文芸部の方は、たまに出るくらいって感じ?」
「ううん、基本的には毎日顔出してるよ」
「部長が厳しい人なんだ」
「そっちの部長も私」
部長で兼部とかあるのか!?
「へー、部員があんまりいないとか?」
「両方とも20人くらいいるけど、多いかどうかは分かんない」
いや多いだろ。40人以上を束ねてる部長じゃねーか!!
とは、突っ込みにくいので、普通に反応しておく。
「とりあえず、検討しておくよ」
「見に来ないの?」
少し悩むが、確かに文化部の中で時間の融通が効き、しかもあやかが部長であれば緊急時に報告しやすい。
実際、悪い提案ではない。
「うーん、じゃあ、ちょっと覗いてみるよ」
「いいね、さ、今からいこっ」
ガシッと僕の右手を掴むあやか。
意外な積極性に、びっくりして冊子を落としそうになった。
ズンズン歩くあやか。
彼女の左手のむにっとした感触にドキドキする。
そんなに勧誘したいのか。部員たくさんいるのに。
僕はあやかの歩みに追いつこうと並ぶと、僕の方へ身体を寄せて来るあやか。
彼女の左胸が横から当たる。
あやかの髪の爽やかで柔らかい香りを鼻腔に感じ、身体が熱くなった。
接近して身体もくっ付いてくるせいで、股間が反応してしまう。
ヤバい、勃ってしまう。
さすがにこれから部活見学をしようというのに勃起してる場合じゃないぞ。
「玉元くんは、写真は興味あるの?」
「見る方なら興味あるよ。魅力的な写真があるだけで、興味ない分野でもついつい説明文読んじゃったりするよね」
「ねー、わかるー。撮る方は?」
「あんまり撮ったことないな。修学旅行で、寺の写真は撮ったことあるけど、それくらいか。あとは桜の木とか、記念撮影くらいだよ」
「そっか、ならこれから色んな写真撮ろーよ」
「色んな写真か、良いかもね」
「でしょ?撮り始めるとこだわりも出て来るから、どんどん楽しくなると思う」
確かに、今まで、自分の写りばかり気にして写真そのものを楽しんだことは無かった気がする。
写真部、悪くないかもしれない。
気になるのはカメラの値段だ。
「でもさ、カメラって高いよね」
「無理に買わなくていいよ。私は持ってるけど、普段はスマホで充分綺麗に撮れるし」
「そうなんだ。へぇー」
このまま流されて入部してしまいそうだ。
凄い勧誘力。
これがダブル部長の力か……。
「ここだよ!」
3年生の教室が並ぶ1番端、3ーAの隣が写真部の部室になっていた。
しっかり入口には『写真部』と、ダンボールに手書きで大きく書いており、猫やウサギやハリネズミの絵が可愛く描かれていた。
ハリネズミ?
その下に、一眼レフカメラを持った登山家みたいな女の子の絵が描いてあった。
めちゃめちゃ上手い絵だ。
こういう写真部みたいなところに、やたらと絵心がある部員が居たりするんだよなと思った。
美術部もマン研もあるのに。
強制的に描かなくてはいけないという義務感を持たなくても良いって意味では正解なのか。
普通の教室と同じなので、部活動でここを使えるのは恵まれているなと思った。
部員多いもんな。
ガラッと、ドアを開けるあやか。
中には、7~8人の女子部員が、低めの机の上に大きなカラーペーパーを広げて、プリントされた写真を貼り付けていた。
下が絨毯になっているので、みんな膝立ちになっている。
女の子ばっかりだなぁ、と一瞬残念に思ったが、ここは聖天使女学院なんだから当たり前だろうと思い直した。
なぜか男子部員を欲している自分がいたことに驚く。
部活の競争相手に限っていうなら、同性の方が面白いよなと普段なら考えないような事を思った。
「みんなー、新入部員だよ!」
女の子達が一斉に振り向く。
おい、今新入部員と言ったかあやか!?
すると、作業を止めて、僕らのところにワラワラと近寄って来る。
ふわっとした甘い香りがして、胸がドキドキした。
ヤバい、この香り。
絶対見習いサキュバスだぞ皆んな。
……ゆかは例外だったけど。
「こちら、私と同じクラスの、玉元セイシくんです。まだ転入して間もないので、優しくしてあげてね」
「「「「「「はーい」」」」」」
「うぇーす」
7人の部員がほぼ同時に返事をする。
こんなにいたらすぐには覚えられないな。
……いや待て、すでに覚える気になっているってのは、あやかの術中にハマっていないか?
とはいえ、何となく特徴的で覚えやすそうな子はいた。
うぇーす、と答えた子、部員の中でも1番背が高く、金髪のギャルっぽい子だ。
よもぎと背格好が似ているが、かなり負のオーラが漂っていて目つきが悪い。
よもぎが陽だとしたら、この子は陰だ。
「えっと、軽く自己紹介ね、右から、まふゆ、さくら、ゆい、サキ、りさ、きょうこ、あいな」
同じクラスの子は、あやか以外はいないようだ。
あやかに呼ばれた順番に答える部員。
「まふゆです。副部長してます。お願いします」
真面目そうな子だ。黒髪ショートで、黒縁メガネ。あやかより更に真面目そう。背はあやかより少し大きい、158くらいかな。
「こんにちわ、さくらって呼んでください」
明るい茶髪でセミロング、キリッとしてて意思が強そうだ。でも小柄。ゆかより低いけど、ちゆよりは高いかな。怒ると怖そう。
「ちっす、ゆいですっ。皆んなゆい子って呼ぶけど、本名に子はないからね」
ゆい子って呼んでくれってことだろうな。
黒髪ショートだが、まふゆと違って癖っ毛で跳ねている。たぶん元々の髪質なんだろう。
皆んながゆい子って呼ぶのが何となく分かる。元気で明るい感じだし。
身長はさくらと同じくらいだ。少し肉付きが良いのか、一回り大きく見える。
「サキです!よろしくぅ」
大人っぽい。暗めの茶髪ロングで、目元が優しい。何となくほわほわした印象がある。たぶん精神年齢が高いんだろう。
身長は160くらいで、あやかより高い。胸は普通くらいかな?
「気ぃ遣わんでええから仲良くしよなぁー、……りさですぅう↑」
関西弁。りさも身長は高めだ。165はあるだろう。黒髪ロング。顔が小さいのか、スマートでかなりスタイルが良い。
胸もボリュームがあり、独特の色気がある。
僕目線では、正直かなり好みのタイプだ。
……となると、本当に気を付けなくては。絶対見習いサキュバスだぞ。
「きょうこですぅ↑。分からへん事あったら何でもゆぅてーな」
この子も関西弁だ。身長はたぶん155くらいだろう。あやかと同じくらいだ。
茶髪でポニーテールにしている。自信が無さそうに控えめに笑う。
押しに弱そうな感じで、何となく心配になってくるような印象だ。
見た感じでは、りさと仲が良さそう。関西弁同士だからか?
「うぇすうぇーす」
あいな。さっきの金髪セミロングで、やる気がなさそうなギャルだ。
適当に流している感じで、新入部員にも興味無さそうに見える。
まぁ僕に興味がないだけかもしれないが。
「じゃ、まふゆ、玉元くんに写真部の活動について教えてあげて」
「分かりました。部長」
あやかはそのまま部室を出る。
「あれ?あやか、どこ行くの?」
「文芸部の方で部会があるから行かなきゃ、1時間くらいで戻るから、それまで楽しんでってね!」
そう言うとドアを閉めた。
まさか、連れて来るだけ連れてきて置き去りにするとは、さすが、あやかだ。
何がさすがなのかは、さておき。
「ねぇねぇ、玉元くんって、部長の彼氏?」
癖っ毛黒髪ショートのゆい、じゃない、ゆい子が声を掛けてくる。
「かれ、いや、彼氏ではないよ」
「ほんとにー?、でも、昨日部長、運命の人かもしれないって言ってたよ」
運命!?
「そんなこと言ったの?いやいや、僕なんてそんな」
「じゃあさ、部長のことはどう思ってんの?」
「そりゃまぁ、……良い子だとは思ってるけど」
「……けどー?けどけどけどー?」
楽しそうに追撃するゆい子。
グイグイくるなぁ、なんて答えれば良いんだ。
「コラ、ゆい子、新入部員を困らせない!逃げられちゃうでしょ、まだ仮入部なんだからっ」
助けに入ってくれたのは副部長のまふゆだ。
黒縁メガネで真面目な女の子。
まさに風紀委員って感じだ。
でもこの学院での風紀ってどういう感じなんだろう。
下ネタには寛容だけど、校則は厳しかったりするのか?
そう言えば遅刻してる子とか見た事ないし、入学試験も簡単ではない。
けっこう学院としてはハイレベルなんだろうか。
「はぁーい、ごめんまふゆー」
とてとてと、カラーペーパーの写真貼りに戻るゆい子。
「ごめんなさい、失礼なことを」
ペコっと深く頭を下げるまふゆ。
「いえいえ、そんなそんな、気になりますよね、僕みたいなヤツが急に連れられて来たら」
「規律はしっかり守ってこそ、立派な大人というものですから」
ピシッと背筋を伸ばすまふゆ。
黒縁メガネがキラッと光に反射したように見えた。
まさかこんな子も学院にいたとは。
いや、これは部長があやかだから、それに倣っているのかもしれない。
アカリの母親みたいに、サキュバスの中にも、人間の規律に影響される悪魔もいるのだ。
少なくとも、あやかがここで部長になっているうちは平和なのかもしれない。
まふゆが人間の可能性も否めないが。
「では、簡単にこの部活の活動内容について説明いたします」
「お願いします」
と、淡々と説明に入るまふゆ。
活動は、基本的に平日15時30分から18時まで。
部会が火曜日に実施され、それ以外の参加は自由。
毎週月曜日に、各々が1週間で撮り溜めた渾身の写真を提出。
皆んなで批評し合うというわけだ。
もちろん写真にもコンテストがある。
部の目標はこれだ。
通称フォトコンに参加して入賞を狙うのがこの部活の活動内容になる。
月曜の16時がこの部活で最も白熱する時間らしい。
今から、どんな写真が提出されるのか楽しみだ。
「……ということで、基本的には自由に撮るんですが、部費を集めて山や海で合宿撮影会をすることもあります。夏休みと冬休みですね。これ以外でも、必要に応じて部費を集めることはありますが、強制ではないので、不参加の場合は仰ってください。あ、でも備品をいっぱい使っておいて何も出さないってのはダメですからね」
「はい、分かりました」
「何か質問はありますか?」
「まふゆさんって、何年生ですか?」
「私の事ですか?」
「はい、気になったので」
「1年生です」
「そうなんですね!じゃあ、入部してすぐに副部長に?」
「はい、私のような若輩者に、チャンスをいただけて大変恐縮です」
「いやいや、若輩者って、1年生と2年生なんて、大して変わらないから」
「いえ、私など、何も知らない小娘ですので」
いちいち言葉遣いが引っ掛かるな。でも、純朴な感じで、あやかが副部長に選んだとしても不思議ではない。
「まふゆちゃーん、ちょっとかしこまり過ぎなんとちゃうぅ↑?もっとフランクに話したりぃーな」
と、関西弁バリバリで近寄って来たのは、身長高め165くらいの黒髪ロングのセクシーねぇさん、りさだ。
僕としては、1番警戒しておかなくてはならない相手だ。
「りささん、こういうのは初めが肝心なんです。適当な説明で仮入部してしまっては、部活動の本質を理解できないままで部員になってしまうのです」
「ほないなこと言われても、ウチも最初よう分からんと入部してもーたんやで。せやけど、こうやって楽しんどるし、実際に活動してみぃひんと分からへんで。あんたもそう思わへん?」
いつの間にか至近距離まで近付いているりさ。
良い香りがして胸が高鳴る。
頼むからそんなに近付かないで欲しい。
「そう、ですね。えっと、りさ、さん?先輩ですか?」
「ウチな、2年Bクラスやさかい、アンタと同級生やで」
「そう、でしたか」
「タメ語でええよー、仲良うしてなぁ」
肩を寄せて、僕の手の甲を自然に触ってくるりさ。
女の子としては大きめの手。きめ細かい白くて長い指の、スベスベでさらっとした感触に全身がピクッと反応してしまう。
こんな美少女、というかもはや美人に近寄られて、何も反応しないのはむりだ。
僕は平静を装い、ズボンを引き上げた。
よし、これでバレないはず。
勃起が半端だとバレる可能性があると思い、逆にりさに欲情しまくることによってギンギンにして完全に上向きにするという作戦に出た。
この作戦は諸刃の剣だが、そもそも勝てない戦はしない主義なのでこれでいい。
「分かったよ、りさ、これからよろしく」
「ウチも、せーちゃんって呼んでええ?」
「せーちゃん!?」
「イヤやったらええんやで」
「大丈夫、呼びたいように呼んで貰えれば、僕は嬉しいので」
「うふふ、せーちゃんっ!」
りさが僕の頭を抱いて撫でて来る。
胸の間に顔が埋まる。
ヤバい。
反則過ぎる。
ふにふにして温かくて気持ち良いが、頭を撫でられると力が抜ける。
身体が熱いし、下半身が耐えられなくなってきた。
てか、せーちゃんとか、初めて呼ばれた。
恥ずかしいを通り越して悶えそうだ。
早く帰ってきてくれあやか。
「もう質問は大丈夫ですか?玉元さん」
「はい。あ、そうだ、まふゆちゃんも、タメ語で大丈夫だから、フランクにいこう」
「いえ、私は1年の身、先輩に対して敬語で話さないなどという無礼はいたしません」
「そっか、でしたら、僕も敬語で」
「いえ、玉元さんは、タメ語で構いません」
「それだと悪い気もするけど、いいのかな」
「問題ありません。私はむしろ、フランクに接していただけるのは嬉しいことなので、お気遣いなく」
「そっか、じゃあ、僕はまふゆちゃんって呼ばせて貰うね」
「はい。今後ともよろしくお願い致します。それでは、先輩方の写真を見てみましょうか」
「うん、見たい見たい」
「そんなん見るより、ウチのこと撮影してもええねんで?」
りさが更に誘惑してくる。
これが基本スタイルなのか、僕が好かれているのか全然わからない。
きっとこういう人なのだろう。
「いや、りさのことも撮りたいけど、先に先輩の写真は見てみたい。一緒に見て、コツとか教えてよ」
「ええよ、そんなら見たるわー」
まふゆに、教室隅のロッカーに案内され、中に入ってるフォトアルバムを取り出す。
過去、実際に入賞した事もあるそうで、色んな写真があった。
皆んなで楽しそうにキャンプしている写真もあれば、真剣に勉強会している写真もある。
体育祭や、文化祭、山登り、海水浴、肝試し、古い駅や、どこかのお寺。
こうして見ると、思い出のアルバムって感じで、写真部ということを忘れる。
それについては、まふゆも感じていたのか、ページをめくるペースが速い。
「うーん、なかなか良い写真がありませんね」
「そうかな?良い写真ばかりだと思ってるけど」
「せやなぁ、みんなオモロい顔してて、わろてまうわ」
りさは楽しそうだ。
ただ、後ろから抱きついて、ずっと右肩に顎を乗せているのが、むず痒い。話すたびに吐息が耳や頬にかかって集中できない。嬉しいと言えば嬉しいのだが。
しかも両手を僕の下腹の辺りで組んでいるので、このまま下ってくると僕のアレと接触してしまう。
……接触しないで欲しいような、して欲しいような、複雑な気持ちだ。
「いえ、私としては、こういうありふれた青春の1ページではなく、芸術作品として、心に響くような画を撮りたいと思うのです」
「むつかしーことはウチにはよう分からんわぁー」
りさは眠そうにそう言うが、僕はまふゆの言いたいことは理解できる。
同じ写真と言っても、明確に意図があるより、言葉に言い表せない瞬間をカメラに収めたいと思うのだろう。
「そーですねー、例えば、あ、コレとか」
これは、……ゆか? なのか?
「この写真は少し他とは毛色が違いますね。でも、日付けが明記されていません。アルバムに入れる時は必ず書くことが決まっているんですが。これはいつ撮ったものなんでしょうか」
「美術館の中で写真撮ったら怒られるんとちゃうん?それ、ほんまは捨てなあかんヤツやったんやとウチは思うわ」
数秒の沈黙。
真剣な表情になるまふゆ。
「なるほど、そう言われてみるとそうですね。廃棄処分されたはずの写真の一枚が、たまたま後から見つかって、ここに入れられたのであれば、納得できます」
「なぁー、ウチ名推理やろー?せーちゃん褒めてーな」
スリスリと頬擦りしてくるりさ。
冗談抜きで気持ちいいからシャレにならない。
マジで色んな意味で危ないから落ち着いて欲しい。
抱きついている腕が、僕の下腹部から、更に下がる。
りさの両手が僕の鼠径部をさすった。
ビクッと身体が震える。
そんな僕らの状況には無関心なのか、まふゆは考え込んでいた。
この写真は確かにどこか不自然な気がする。
いつ、どこで撮られたのか分からないことと、何故か、この写っている子がゆかのように思えてならない。
なぜなんだろう?
「とにかく、この写真は見なかったことにしましょう。処分しなくてはならない理由が明確でないうちは、私の管轄外なので」
「ほんま固いわぁ、そんな固いと、部長からも信頼して貰われへんでー。なー、せーちゃんもそんな話聞いて、硬くなってんとちゃう?」
りさ、その硬いは何の硬いなんだ。
「むっ!なんて事言うんですか!部長は私の能力を見込んで、副部長に推薦してくれたのですよ」
さすがにまふゆも少し怒っているようだ。
「それやったら、後ろで他の部員がサボってはるんも、注意しとかなアカンのちゃう?」
そう言われて机の方を見ると、たしかに部員達はスマホで何か対戦ゲームをしているようで、写真貼りをしていなかった。
「こらーっ!そんなにダラダラやってたら、18時までに終わりませんよっ!」
そう言って、机の方へ向かうまふゆ。
僕はロッカーの前で、りさと2人きりになる。
ドキドキしてきた。
彼女の吐息が耳にかかる。
熱いが、気持ちいい。
「せーちゃん、そのロッカーのなかの、1番下の段見てくれへん?」
僕はロッカーの1番下に、キラキラとデコレーションされたアルバムを発見した。
「これ?」
「そう、それ、開いてみて」
僕はそのキラキラのアルバムを開く。
すると、りさが色んなポーズで写真が撮られていた。
まるでグラビア雑誌のようだ。
こうして見ると、りさの体型のセクシーさが本当によく分かる。
彼女を見た瞬間に感じた色気は、コレだったのだ。
僕がそういう目で見ていることにすぐに気付いたのだろう。
りさの積極的な絡みは、僕が欲情していることを、りさが察したから。
そう思うと、僕は本当に単純というか、不器用だ。
僕はページをめくると、どんどん露出が増えて、水着の写真も現れた。
……これは、凄い。部室に置いていい写真ではないだろう。
「ウチの身体、せーちゃんから見てどう思う?」
「そりゃ、凄い綺麗だよ、スタイル良いし、女の子の憧れなんじゃないかな?」
「ウチえろい?」
「えろ?……そりゃ、えっ、え?」
なんて事言い出すんだ。
「エロい体しとるて、……思とるんやろ?」
「ちょ、……待って、うっ」
りさの両手が、僕の鼠径部から、這う様に勃起したモノに近付いてくる。
細くて長い指が、リズムを刻む様に僕の竿を優しく叩く。
サワサワと、裏筋をズボン越しに撫でるりさ。
僕は気持ち良さにゾワッと身体が震えた。
「ダメだよりさ、ここ、部室だよ」
「こんな大きゅうなって、どないしたん?」
「何のこと?ちょっと分からない……ふぐぅっ」
僕のペニスをズボン越しに右手で掴むりさ。
「フグ?フグ食べたいん?急やなぁ」
そのまま揉みしだくりさ。遠慮のない握り方だ。
りさの握力が強いが、それが正直かなり気持ちいい。さっきまで我慢してたせいで、すぐ射精してしまいそうだ。
りさが楽しそうにニヤニヤしている。
「んんー?せーちゃんのココ、硬くなっとおよ、カチカチやん、つらく無いん?無理せんでええんよ」
マズい、完全に主導権を取られた。
ん?違うか、初めから取られている。僕がりさの色気に惹かれていたからこうなっているんだ。
りさの事に目もくれずにまふゆとだけ話していたらこうはなっていない。
初対面で惚れていた。認める。
だけど、認めたからと言って拒否もできない。
あー、精神集中。勃起よ、鎮まれ!
「せーちゃん、ホンマに気持ち良さそうな顔しとるなぁ、なんかウチも身体が熱なってきたわ。硬いわぁ、ベルト緩めてもええ?」
拒否したいが、……できない。
「少しなら」
……少しとは?
「おおきにー♫」
りさは、周囲を見渡し、部員が離れていることを確認して、カチャっと、慎重にベルトを緩めた。
一応、部室の中で目立たないように気を付けている様子だ。
やっぱり、まふゆに遠慮しているのだろうか。
りさの息が荒くなり、吐息が耳と頬にかかる。
温かくて気持ち良かった。
りさがサキュバスじゃなければ良い友達になれるかもと思ったが、コレはもうサキュバス以外には考えられない。
りさの長くて綺麗な右手の人差し指と中指が、僕のパンツの中へ侵入してくる。
その入る瞬間の気持ち良さは、期待と興奮が相まって極上だった。
世界がスローモーションになったような気がした。
全身が心地よく震えて、彼女の指を受け入れた。
完全に上を向いているペニスの亀頭に、りさの人差し指と中指、薬指が優しく触れる。
肩の力が抜け、後ろのりさの胸にもたれ掛かる。
むにんっ、と背中に柔らかい肉のクッションに抱かれる。
そのまま腰を前に突き出し、りさの右手の平に亀頭を押し付けた。
「ふふっ、せーちゃん、ウチの手に包まれたかったんやなぁ、ドクンドクンッて、おちんぽが大きなったり小さなったりしとるよ。脈動しとるって言うんやろ?男の子のおちんちんて、心臓みたいやなぁ。そんなら、大事なとこやさかい、優しく揉んで気持ちよぉしたるで、任しとき」
りさが、カリ首に指の腹を引っ掛ける様にして、亀頭を揉む。
裏筋のところに中指が当たって、中指の関節を上下に撫でて刺激している。
りさの指がしっとりぷにぷにしていて、快感が渦の様に次から次へと襲ってきた。
「あぁあ、せーちゃん、先っぽからヌルヌルのやつ出てきてるで。コレがあったら擦れても痛くならへんから便利やなぁ」
グリグリと手の平で亀頭を握って回すりさ。
竿の部分を、5本の指先でサワサワとさすっている。
気持ちいいが、イクほどではない。
その絶妙な感じが心地良く、このままずっとイジって欲しいとさえ思った。
「なんや、極楽みたいな顔しとんな。りさの指さばきがそんなに気に入ったんか?でも、こんなもんや無いで、次はこうしたる」
りさはそう言うと、左手もパンツの中へ入れて、ちんぽの根元を人差し指と親指で掴むと、今度は、残りの3本の指でたまを弄り始めた。
たまへの快感を感じながら、左の指輪っかでしっかり根元を固定されているおかげで、右手の平の亀頭磨きに安定感が出た。
つまり、刺激が最高潮ということだ。
くちゅくちゅくちゅ、くちゅくちゅくちゅ、くちゅくちゅ、くちゅくちゅ
僕は下半身を前後左右に動かして快感に耐える。
それを見て、りさが喜ぶ。
「ええなぁ、その反応。ウチが見たかったやつや。苦しいくらいの気持ちいいのを、ウチの手でやってると思たら、ほんま気分ええわ」
りさは、亀頭を手の平でぐるぐる回しながら、左手を上下にシコシコ扱く。
カリ首のとこまで指で隙間なく上げると、根元に下りてたまをさする。
そんな動きを繰り返し、耳元では小さな喘ぎ声を聴かせてくる。
「あっ、あっ、はぁっ、はぁっ、んんっ、はんっ、はぁんっ、んんっ、ん」
吐息に混じって高い囁くような喘ぎ声に、時折り唾液が耳に飛んで来る。
耳から全身に血が巡るように熱くなる。
背中に感じる柔らかい胸の感触と、僕のお尻に当たるりさの股間。
全身が包まれる様な心地よさ。
この快感から逃げるすべを僕は持っていない。
「ちょっ、りさ、ダメだ、そんなにしたら、イク、イク」
りさがクスリと笑う。
「もうイきそーなん?ほんまに?もう耐えられへんの?ウチの手の中に出してしまうん?」
「ごめ、でる、出そう、ダメだ」
「気持ちいいゆぅて欲しいなぁ、気持ちいいーって、うちの耳元で言うてくれたら、出してもええよ」
「く、出そう、あっ、むり、りさ気持ちいい」
「もっとゆっくり気持ちええって言うて」
「き、気持ちいいよ、りさ、もうダメだ」
「ほんなら出してええよ、ぴゅー、ぴゅーって、ウチの手の中に出したりぃ、ウチの水着見ながら、ウチの手の中にいっぱいぴゅっぴゅしたってぇ、あっあっ、びくびくなっとるよ、もう出るん?出るん?」
「りさ、でる、でる、あっ」
耐えられない。
もう限界だ。
ドクっ、ドクっ、ドクっ、ドクっ、ドクっ
凄い勢いで、りさの右手の平に射精する。
出る瞬間にりさが僕の亀頭をギュッと握ったが、大量に出たせいで受け止めきれてない。
「せーちゃん、あっ、あっ、熱い、すごいっ、ドクッ、ドクッドクッ、って、気持ちええなぁ、ほんま、気持ちえーんやなぁ、せーちゃんの精子がウチの手の中にぴゅーって入って、あっ、まだ、来る、来るで、また来る、あんっ、あんっ、えっちやん、えっちな液がえっちなとこから出とる。ぬるぬるやわぁ」
僕は全身が脱力する。
僕のパンツから両手を出すりさ。
ドロドロの精子がぬとーっと右手から溢れそうになり、とっさに左手で掬い上げる彼女。
りさが両手の白い粘液を鼻に近付けて嗅ぐ。
「ほんまええ匂いするわぁ」
僕は急いでアルバムをロッカーに置き、りさの両手首を左右から掴む。
ビクッと身体が跳ねるりさ。
「なになに、なんやのせーちゃんっ」
やたら焦っているりさ。
「手、洗いに行くよ」
僕はそう言うと、手首を掴んでりさを廊下に連れて行く。
トイレの前にある広い手洗い場に引きずって行き、強引に手に付いた精子を全て洗い落とした。
りさの白くて綺麗な両手を、ハンドソープを付けた僕の手でゴシゴシ洗う。
指の間、爪の間まで、とにかく丁寧に精液を洗った。
こうしておかないと、りさが舐めたりしたら、アカリやちゆの二の舞だ。
りさの指一本一本、洗っていると、彼女が腰をくねらせる。
何だか興奮している様で顔が赤い。
「はぁんっ、こんなむりやり、手ぇ洗われたことないわー、なんか子どもに戻ったみたいで恥ずかしーわ」
僕はそう言われて初めて気付く。
たしかにここまで強引に女の子の手を洗った事はない。
というか日常生活でわざわざ異性の手を念入りに洗うなんてことしない。
「ご、ごめん、早く洗わないと、においとかで皆んなにバレると思って」
とりあえず誤魔化しておく。
「でもなぁーせーちゃん、そんな、爪の間まで洗うのは、さすがにえろいわ、なんか気持ち良くて、体がびりびりするねん。ウチどないなったんやろ」
「手を洗われるのって、そんなに気持ちいいの?」
「わからへんけど、けど、なんか、もっと爪とか、指の間とか洗うて欲しい」
りさが、腰を左右に振りながら、はぁはぁと息を漏らしている。
新しい性癖を目覚めさせてしまったらしい。
だが、見習いサキュバス相手なら、好都合だ。
手を洗いまくって感じて貰えるなら、こんな楽な事はないぞ。
精子も取れるし、一石二鳥だ!
僕はりさの縦長の綺麗な爪と、第一関節を念入りに揉み洗いする。
「はぅ、はぅ、せーちゃん、なんかアカンことしとるみたいや、体が動いてまうねん、ウチ、指先が性感帯なんやろか」
「良かったじゃん、これから楽しみが増えるね」
「せやなぁ、新発見や」
指先を洗われて恍惚と腰をくねらせる制服の美女。
随分とレアケースに当たったなぁと思いながらも、この雰囲気からして、りさはサキュバス化に関しての知識はほとんど無さそうだ。
安心した。
搾精をして体内に取り込むことに無頓着なら、すぐにはサキュバスになる事はない。
それが分かっただけでも良しとしよう。
「じゃあ、綺麗になったし、戻ろう」
「せーちゃん、あんなによがっとったんに、もうそんな元気なん、なんでなん」
「し、知らないよ、偶然だよ」
「そんな偶然あるんやろか?」
「あるある、さぁ、早く戻らなきゃ誤解される」
そう言うと、りさが僕に肩を寄せてくる。
「何を誤解されるんやろなっ♫」
嬉しそうな表情のりさ。
初めは背が高くて大人っぽく見えたりさだが、この無邪気さを見ると確かに同級生に思えてきた。
部室に戻ると、あやかが文芸部から戻って来ていた。
時計を見ると、17時45分。
そろそろ良い時間だ。
喫茶プリウムに先に入っておきたい。
ただ、なんて説明しようか。できれば行き先を悟られたくは無い。
そんなことを思っていたのだが、あやかがこっちを真剣に見つめている。
りさと仲良さげに入って来たからだろうか、ちょっと視線が怖い。
そういや、あやかとりさって、仲良いんだろうか?
あやかと目が合ったと思うと、そのまま彼女の視線が下がり、僕の股間を凝視している。
僕は警戒する。
もしかして、何か気付いたのか!?
「玉元くん」
「はい……」
「窓からパンツ見えてるよ」
なるほど、確かにスラックスのベルトが緩んで、チャックが開いており、中のパンツが半分以上見えていた。
約束はしたが、ゆかとちゆにその事を伝えてはいない。
15時30分からの放課後3時間を、どうやって過ごすかについては、一応考えてはいる。
問題は、プリウムできらりと会っている間、ちゆとゆかに、どこに居てもらうかだ。
ちゆは部活動をしていたのだが、一応、羽根が生えてからは一旦休部して貰っている。
正直なところ、ちゆには常に見えるところにいて欲しいくらいだが、仮に僕がそこまで過保護にしたところで、あまり意味がないことは承知している。
そこで、昼休みの様子と、今回のターゲットの話を踏まえてアカリに頼み込み、ちゆの事を、間接的にでも守ってもらえればと提案した。
これに関しては、アカリも割とあっさり了承してくれた。
会話で説明するとこうだ。
「ごめん、今頼りにできる相手はアカリだけなんだ。ちゆのことお願いしても良いかな?」
「いーよ、そういうことなら。私も休む口実ができるし、ちゆちゃん面白いから」
たぶん、アカリも仕事が立て込んでいて、なかなか休むに休めなかったのだろう。
後でちゆの護衛費って感じで、何かレオミュールに要求するつもりなのかも知れないが、もしそうなったら、それはそれでお互いにメリットがあるのだから、固いことは言わないでおこう。
これで放課後は、ちゆはアカリに連れられてプリウムと反対側にある学院地下の売店へ向かうことになった。
ゆかに関してはいつも通り、よもぎと遊びに行くそうで、行き先は聞いてないが、買い物だそうだ。
なら、問題はないだろう。
僕は2人に、どこか自由が効く部活に籍だけ置くと言って、見学を理由に学校に残ると言った。
アカリには、僕がきらりとの話が終わり次第、こちらから連絡すると言ってある。
準備は完了。
あとは、この余った3時間をどう使うかだ。
まずは、実際に部活の見学をして入部届けを提出しておきたい。
普通に考えて、自由が効く部活は文化部だろう。
一応、学院の説明会で貰った小さい冊子で一覧を確認すると、以下のようなクラブ活動があった。
文芸部
美術部
茶道部
華道部
書道部
演劇部
吹奏楽部
合唱部
軽音部
放送部
マンガ研究部
写真部
映像研究会
落語研究会
占い研究会
囲碁部
将棋部
競技カルタ部
ダンス部
天文部
サイエンス部
弁論部
料理研究会
外国語研究部
新聞部
生徒会
といった感じだ。
全部回ろうと思ったら、一つの部活に5分くらいしか掛けられない。
別に今日で全部回る必要もなければ、そもそも回らずに決めて良いのだが、一覧にして部員が楽しそうにピースしている写真を見ると、文化部巡りをしてみたくなる。
久しぶりにワクワクしていると、その様子を見ていた子から、まさかのお声が掛かった。
委員長で、赤いメガネを掛けている、インテリ美少女。
竜宮 文香だ。
黒髪ロングのストレートで、身長は155くらい、色白の細身で胸が大きく、たぶんEはありそうだ。
いつもゆかと一緒にいるので、感覚がバグっているが、あやかもクラスでは大きい方だ。
以前に体育館で色々とやってしまったのもあって何となく恥ずかしかったが、声を掛けてくれたのは素直に嬉しい。
あと、あやかは学院の名前が可愛いという単純な理由で、一般入試で入学しているので、おそらく見習いサキュバスではない……、と思っている。
「玉元くん、それ、部活選び?」
「うん、どこか、自由が効きそうな文化部にしようと思ってさ」
「そうなんだ。もう決めたの?」
「まだ」
「興味ある部活ある?」
「うーん、今のところは、無いかな、一度回ってみないと分からない」
「オススメは、写真部と、文芸部かな」
「なんで?」
「私がいるから」
「!?」
ゴホッと、びっくりして咽せる。
「大丈夫?玉元くん」
「いや、そんな勧め方されるとは思わなくて」
「なんで?普通だと思うけど」
「そっか、そう言われるとそうか」
「自由が効く方が良いんでしょ?」
「まーね。家での趣味の時間を大事にしたくて」
「そーなんだ、だったら、写真部なら、部活に出なくても、休みの日に写真撮って提出するだけだから良いかもね」
「部長は誰なの?」
「私」
「そっか。凄いね、部長なんて。文芸部の方は、たまに出るくらいって感じ?」
「ううん、基本的には毎日顔出してるよ」
「部長が厳しい人なんだ」
「そっちの部長も私」
部長で兼部とかあるのか!?
「へー、部員があんまりいないとか?」
「両方とも20人くらいいるけど、多いかどうかは分かんない」
いや多いだろ。40人以上を束ねてる部長じゃねーか!!
とは、突っ込みにくいので、普通に反応しておく。
「とりあえず、検討しておくよ」
「見に来ないの?」
少し悩むが、確かに文化部の中で時間の融通が効き、しかもあやかが部長であれば緊急時に報告しやすい。
実際、悪い提案ではない。
「うーん、じゃあ、ちょっと覗いてみるよ」
「いいね、さ、今からいこっ」
ガシッと僕の右手を掴むあやか。
意外な積極性に、びっくりして冊子を落としそうになった。
ズンズン歩くあやか。
彼女の左手のむにっとした感触にドキドキする。
そんなに勧誘したいのか。部員たくさんいるのに。
僕はあやかの歩みに追いつこうと並ぶと、僕の方へ身体を寄せて来るあやか。
彼女の左胸が横から当たる。
あやかの髪の爽やかで柔らかい香りを鼻腔に感じ、身体が熱くなった。
接近して身体もくっ付いてくるせいで、股間が反応してしまう。
ヤバい、勃ってしまう。
さすがにこれから部活見学をしようというのに勃起してる場合じゃないぞ。
「玉元くんは、写真は興味あるの?」
「見る方なら興味あるよ。魅力的な写真があるだけで、興味ない分野でもついつい説明文読んじゃったりするよね」
「ねー、わかるー。撮る方は?」
「あんまり撮ったことないな。修学旅行で、寺の写真は撮ったことあるけど、それくらいか。あとは桜の木とか、記念撮影くらいだよ」
「そっか、ならこれから色んな写真撮ろーよ」
「色んな写真か、良いかもね」
「でしょ?撮り始めるとこだわりも出て来るから、どんどん楽しくなると思う」
確かに、今まで、自分の写りばかり気にして写真そのものを楽しんだことは無かった気がする。
写真部、悪くないかもしれない。
気になるのはカメラの値段だ。
「でもさ、カメラって高いよね」
「無理に買わなくていいよ。私は持ってるけど、普段はスマホで充分綺麗に撮れるし」
「そうなんだ。へぇー」
このまま流されて入部してしまいそうだ。
凄い勧誘力。
これがダブル部長の力か……。
「ここだよ!」
3年生の教室が並ぶ1番端、3ーAの隣が写真部の部室になっていた。
しっかり入口には『写真部』と、ダンボールに手書きで大きく書いており、猫やウサギやハリネズミの絵が可愛く描かれていた。
ハリネズミ?
その下に、一眼レフカメラを持った登山家みたいな女の子の絵が描いてあった。
めちゃめちゃ上手い絵だ。
こういう写真部みたいなところに、やたらと絵心がある部員が居たりするんだよなと思った。
美術部もマン研もあるのに。
強制的に描かなくてはいけないという義務感を持たなくても良いって意味では正解なのか。
普通の教室と同じなので、部活動でここを使えるのは恵まれているなと思った。
部員多いもんな。
ガラッと、ドアを開けるあやか。
中には、7~8人の女子部員が、低めの机の上に大きなカラーペーパーを広げて、プリントされた写真を貼り付けていた。
下が絨毯になっているので、みんな膝立ちになっている。
女の子ばっかりだなぁ、と一瞬残念に思ったが、ここは聖天使女学院なんだから当たり前だろうと思い直した。
なぜか男子部員を欲している自分がいたことに驚く。
部活の競争相手に限っていうなら、同性の方が面白いよなと普段なら考えないような事を思った。
「みんなー、新入部員だよ!」
女の子達が一斉に振り向く。
おい、今新入部員と言ったかあやか!?
すると、作業を止めて、僕らのところにワラワラと近寄って来る。
ふわっとした甘い香りがして、胸がドキドキした。
ヤバい、この香り。
絶対見習いサキュバスだぞ皆んな。
……ゆかは例外だったけど。
「こちら、私と同じクラスの、玉元セイシくんです。まだ転入して間もないので、優しくしてあげてね」
「「「「「「はーい」」」」」」
「うぇーす」
7人の部員がほぼ同時に返事をする。
こんなにいたらすぐには覚えられないな。
……いや待て、すでに覚える気になっているってのは、あやかの術中にハマっていないか?
とはいえ、何となく特徴的で覚えやすそうな子はいた。
うぇーす、と答えた子、部員の中でも1番背が高く、金髪のギャルっぽい子だ。
よもぎと背格好が似ているが、かなり負のオーラが漂っていて目つきが悪い。
よもぎが陽だとしたら、この子は陰だ。
「えっと、軽く自己紹介ね、右から、まふゆ、さくら、ゆい、サキ、りさ、きょうこ、あいな」
同じクラスの子は、あやか以外はいないようだ。
あやかに呼ばれた順番に答える部員。
「まふゆです。副部長してます。お願いします」
真面目そうな子だ。黒髪ショートで、黒縁メガネ。あやかより更に真面目そう。背はあやかより少し大きい、158くらいかな。
「こんにちわ、さくらって呼んでください」
明るい茶髪でセミロング、キリッとしてて意思が強そうだ。でも小柄。ゆかより低いけど、ちゆよりは高いかな。怒ると怖そう。
「ちっす、ゆいですっ。皆んなゆい子って呼ぶけど、本名に子はないからね」
ゆい子って呼んでくれってことだろうな。
黒髪ショートだが、まふゆと違って癖っ毛で跳ねている。たぶん元々の髪質なんだろう。
皆んながゆい子って呼ぶのが何となく分かる。元気で明るい感じだし。
身長はさくらと同じくらいだ。少し肉付きが良いのか、一回り大きく見える。
「サキです!よろしくぅ」
大人っぽい。暗めの茶髪ロングで、目元が優しい。何となくほわほわした印象がある。たぶん精神年齢が高いんだろう。
身長は160くらいで、あやかより高い。胸は普通くらいかな?
「気ぃ遣わんでええから仲良くしよなぁー、……りさですぅう↑」
関西弁。りさも身長は高めだ。165はあるだろう。黒髪ロング。顔が小さいのか、スマートでかなりスタイルが良い。
胸もボリュームがあり、独特の色気がある。
僕目線では、正直かなり好みのタイプだ。
……となると、本当に気を付けなくては。絶対見習いサキュバスだぞ。
「きょうこですぅ↑。分からへん事あったら何でもゆぅてーな」
この子も関西弁だ。身長はたぶん155くらいだろう。あやかと同じくらいだ。
茶髪でポニーテールにしている。自信が無さそうに控えめに笑う。
押しに弱そうな感じで、何となく心配になってくるような印象だ。
見た感じでは、りさと仲が良さそう。関西弁同士だからか?
「うぇすうぇーす」
あいな。さっきの金髪セミロングで、やる気がなさそうなギャルだ。
適当に流している感じで、新入部員にも興味無さそうに見える。
まぁ僕に興味がないだけかもしれないが。
「じゃ、まふゆ、玉元くんに写真部の活動について教えてあげて」
「分かりました。部長」
あやかはそのまま部室を出る。
「あれ?あやか、どこ行くの?」
「文芸部の方で部会があるから行かなきゃ、1時間くらいで戻るから、それまで楽しんでってね!」
そう言うとドアを閉めた。
まさか、連れて来るだけ連れてきて置き去りにするとは、さすが、あやかだ。
何がさすがなのかは、さておき。
「ねぇねぇ、玉元くんって、部長の彼氏?」
癖っ毛黒髪ショートのゆい、じゃない、ゆい子が声を掛けてくる。
「かれ、いや、彼氏ではないよ」
「ほんとにー?、でも、昨日部長、運命の人かもしれないって言ってたよ」
運命!?
「そんなこと言ったの?いやいや、僕なんてそんな」
「じゃあさ、部長のことはどう思ってんの?」
「そりゃまぁ、……良い子だとは思ってるけど」
「……けどー?けどけどけどー?」
楽しそうに追撃するゆい子。
グイグイくるなぁ、なんて答えれば良いんだ。
「コラ、ゆい子、新入部員を困らせない!逃げられちゃうでしょ、まだ仮入部なんだからっ」
助けに入ってくれたのは副部長のまふゆだ。
黒縁メガネで真面目な女の子。
まさに風紀委員って感じだ。
でもこの学院での風紀ってどういう感じなんだろう。
下ネタには寛容だけど、校則は厳しかったりするのか?
そう言えば遅刻してる子とか見た事ないし、入学試験も簡単ではない。
けっこう学院としてはハイレベルなんだろうか。
「はぁーい、ごめんまふゆー」
とてとてと、カラーペーパーの写真貼りに戻るゆい子。
「ごめんなさい、失礼なことを」
ペコっと深く頭を下げるまふゆ。
「いえいえ、そんなそんな、気になりますよね、僕みたいなヤツが急に連れられて来たら」
「規律はしっかり守ってこそ、立派な大人というものですから」
ピシッと背筋を伸ばすまふゆ。
黒縁メガネがキラッと光に反射したように見えた。
まさかこんな子も学院にいたとは。
いや、これは部長があやかだから、それに倣っているのかもしれない。
アカリの母親みたいに、サキュバスの中にも、人間の規律に影響される悪魔もいるのだ。
少なくとも、あやかがここで部長になっているうちは平和なのかもしれない。
まふゆが人間の可能性も否めないが。
「では、簡単にこの部活の活動内容について説明いたします」
「お願いします」
と、淡々と説明に入るまふゆ。
活動は、基本的に平日15時30分から18時まで。
部会が火曜日に実施され、それ以外の参加は自由。
毎週月曜日に、各々が1週間で撮り溜めた渾身の写真を提出。
皆んなで批評し合うというわけだ。
もちろん写真にもコンテストがある。
部の目標はこれだ。
通称フォトコンに参加して入賞を狙うのがこの部活の活動内容になる。
月曜の16時がこの部活で最も白熱する時間らしい。
今から、どんな写真が提出されるのか楽しみだ。
「……ということで、基本的には自由に撮るんですが、部費を集めて山や海で合宿撮影会をすることもあります。夏休みと冬休みですね。これ以外でも、必要に応じて部費を集めることはありますが、強制ではないので、不参加の場合は仰ってください。あ、でも備品をいっぱい使っておいて何も出さないってのはダメですからね」
「はい、分かりました」
「何か質問はありますか?」
「まふゆさんって、何年生ですか?」
「私の事ですか?」
「はい、気になったので」
「1年生です」
「そうなんですね!じゃあ、入部してすぐに副部長に?」
「はい、私のような若輩者に、チャンスをいただけて大変恐縮です」
「いやいや、若輩者って、1年生と2年生なんて、大して変わらないから」
「いえ、私など、何も知らない小娘ですので」
いちいち言葉遣いが引っ掛かるな。でも、純朴な感じで、あやかが副部長に選んだとしても不思議ではない。
「まふゆちゃーん、ちょっとかしこまり過ぎなんとちゃうぅ↑?もっとフランクに話したりぃーな」
と、関西弁バリバリで近寄って来たのは、身長高め165くらいの黒髪ロングのセクシーねぇさん、りさだ。
僕としては、1番警戒しておかなくてはならない相手だ。
「りささん、こういうのは初めが肝心なんです。適当な説明で仮入部してしまっては、部活動の本質を理解できないままで部員になってしまうのです」
「ほないなこと言われても、ウチも最初よう分からんと入部してもーたんやで。せやけど、こうやって楽しんどるし、実際に活動してみぃひんと分からへんで。あんたもそう思わへん?」
いつの間にか至近距離まで近付いているりさ。
良い香りがして胸が高鳴る。
頼むからそんなに近付かないで欲しい。
「そう、ですね。えっと、りさ、さん?先輩ですか?」
「ウチな、2年Bクラスやさかい、アンタと同級生やで」
「そう、でしたか」
「タメ語でええよー、仲良うしてなぁ」
肩を寄せて、僕の手の甲を自然に触ってくるりさ。
女の子としては大きめの手。きめ細かい白くて長い指の、スベスベでさらっとした感触に全身がピクッと反応してしまう。
こんな美少女、というかもはや美人に近寄られて、何も反応しないのはむりだ。
僕は平静を装い、ズボンを引き上げた。
よし、これでバレないはず。
勃起が半端だとバレる可能性があると思い、逆にりさに欲情しまくることによってギンギンにして完全に上向きにするという作戦に出た。
この作戦は諸刃の剣だが、そもそも勝てない戦はしない主義なのでこれでいい。
「分かったよ、りさ、これからよろしく」
「ウチも、せーちゃんって呼んでええ?」
「せーちゃん!?」
「イヤやったらええんやで」
「大丈夫、呼びたいように呼んで貰えれば、僕は嬉しいので」
「うふふ、せーちゃんっ!」
りさが僕の頭を抱いて撫でて来る。
胸の間に顔が埋まる。
ヤバい。
反則過ぎる。
ふにふにして温かくて気持ち良いが、頭を撫でられると力が抜ける。
身体が熱いし、下半身が耐えられなくなってきた。
てか、せーちゃんとか、初めて呼ばれた。
恥ずかしいを通り越して悶えそうだ。
早く帰ってきてくれあやか。
「もう質問は大丈夫ですか?玉元さん」
「はい。あ、そうだ、まふゆちゃんも、タメ語で大丈夫だから、フランクにいこう」
「いえ、私は1年の身、先輩に対して敬語で話さないなどという無礼はいたしません」
「そっか、でしたら、僕も敬語で」
「いえ、玉元さんは、タメ語で構いません」
「それだと悪い気もするけど、いいのかな」
「問題ありません。私はむしろ、フランクに接していただけるのは嬉しいことなので、お気遣いなく」
「そっか、じゃあ、僕はまふゆちゃんって呼ばせて貰うね」
「はい。今後ともよろしくお願い致します。それでは、先輩方の写真を見てみましょうか」
「うん、見たい見たい」
「そんなん見るより、ウチのこと撮影してもええねんで?」
りさが更に誘惑してくる。
これが基本スタイルなのか、僕が好かれているのか全然わからない。
きっとこういう人なのだろう。
「いや、りさのことも撮りたいけど、先に先輩の写真は見てみたい。一緒に見て、コツとか教えてよ」
「ええよ、そんなら見たるわー」
まふゆに、教室隅のロッカーに案内され、中に入ってるフォトアルバムを取り出す。
過去、実際に入賞した事もあるそうで、色んな写真があった。
皆んなで楽しそうにキャンプしている写真もあれば、真剣に勉強会している写真もある。
体育祭や、文化祭、山登り、海水浴、肝試し、古い駅や、どこかのお寺。
こうして見ると、思い出のアルバムって感じで、写真部ということを忘れる。
それについては、まふゆも感じていたのか、ページをめくるペースが速い。
「うーん、なかなか良い写真がありませんね」
「そうかな?良い写真ばかりだと思ってるけど」
「せやなぁ、みんなオモロい顔してて、わろてまうわ」
りさは楽しそうだ。
ただ、後ろから抱きついて、ずっと右肩に顎を乗せているのが、むず痒い。話すたびに吐息が耳や頬にかかって集中できない。嬉しいと言えば嬉しいのだが。
しかも両手を僕の下腹の辺りで組んでいるので、このまま下ってくると僕のアレと接触してしまう。
……接触しないで欲しいような、して欲しいような、複雑な気持ちだ。
「いえ、私としては、こういうありふれた青春の1ページではなく、芸術作品として、心に響くような画を撮りたいと思うのです」
「むつかしーことはウチにはよう分からんわぁー」
りさは眠そうにそう言うが、僕はまふゆの言いたいことは理解できる。
同じ写真と言っても、明確に意図があるより、言葉に言い表せない瞬間をカメラに収めたいと思うのだろう。
「そーですねー、例えば、あ、コレとか」
これは、……ゆか? なのか?
「この写真は少し他とは毛色が違いますね。でも、日付けが明記されていません。アルバムに入れる時は必ず書くことが決まっているんですが。これはいつ撮ったものなんでしょうか」
「美術館の中で写真撮ったら怒られるんとちゃうん?それ、ほんまは捨てなあかんヤツやったんやとウチは思うわ」
数秒の沈黙。
真剣な表情になるまふゆ。
「なるほど、そう言われてみるとそうですね。廃棄処分されたはずの写真の一枚が、たまたま後から見つかって、ここに入れられたのであれば、納得できます」
「なぁー、ウチ名推理やろー?せーちゃん褒めてーな」
スリスリと頬擦りしてくるりさ。
冗談抜きで気持ちいいからシャレにならない。
マジで色んな意味で危ないから落ち着いて欲しい。
抱きついている腕が、僕の下腹部から、更に下がる。
りさの両手が僕の鼠径部をさすった。
ビクッと身体が震える。
そんな僕らの状況には無関心なのか、まふゆは考え込んでいた。
この写真は確かにどこか不自然な気がする。
いつ、どこで撮られたのか分からないことと、何故か、この写っている子がゆかのように思えてならない。
なぜなんだろう?
「とにかく、この写真は見なかったことにしましょう。処分しなくてはならない理由が明確でないうちは、私の管轄外なので」
「ほんま固いわぁ、そんな固いと、部長からも信頼して貰われへんでー。なー、せーちゃんもそんな話聞いて、硬くなってんとちゃう?」
りさ、その硬いは何の硬いなんだ。
「むっ!なんて事言うんですか!部長は私の能力を見込んで、副部長に推薦してくれたのですよ」
さすがにまふゆも少し怒っているようだ。
「それやったら、後ろで他の部員がサボってはるんも、注意しとかなアカンのちゃう?」
そう言われて机の方を見ると、たしかに部員達はスマホで何か対戦ゲームをしているようで、写真貼りをしていなかった。
「こらーっ!そんなにダラダラやってたら、18時までに終わりませんよっ!」
そう言って、机の方へ向かうまふゆ。
僕はロッカーの前で、りさと2人きりになる。
ドキドキしてきた。
彼女の吐息が耳にかかる。
熱いが、気持ちいい。
「せーちゃん、そのロッカーのなかの、1番下の段見てくれへん?」
僕はロッカーの1番下に、キラキラとデコレーションされたアルバムを発見した。
「これ?」
「そう、それ、開いてみて」
僕はそのキラキラのアルバムを開く。
すると、りさが色んなポーズで写真が撮られていた。
まるでグラビア雑誌のようだ。
こうして見ると、りさの体型のセクシーさが本当によく分かる。
彼女を見た瞬間に感じた色気は、コレだったのだ。
僕がそういう目で見ていることにすぐに気付いたのだろう。
りさの積極的な絡みは、僕が欲情していることを、りさが察したから。
そう思うと、僕は本当に単純というか、不器用だ。
僕はページをめくると、どんどん露出が増えて、水着の写真も現れた。
……これは、凄い。部室に置いていい写真ではないだろう。
「ウチの身体、せーちゃんから見てどう思う?」
「そりゃ、凄い綺麗だよ、スタイル良いし、女の子の憧れなんじゃないかな?」
「ウチえろい?」
「えろ?……そりゃ、えっ、え?」
なんて事言い出すんだ。
「エロい体しとるて、……思とるんやろ?」
「ちょ、……待って、うっ」
りさの両手が、僕の鼠径部から、這う様に勃起したモノに近付いてくる。
細くて長い指が、リズムを刻む様に僕の竿を優しく叩く。
サワサワと、裏筋をズボン越しに撫でるりさ。
僕は気持ち良さにゾワッと身体が震えた。
「ダメだよりさ、ここ、部室だよ」
「こんな大きゅうなって、どないしたん?」
「何のこと?ちょっと分からない……ふぐぅっ」
僕のペニスをズボン越しに右手で掴むりさ。
「フグ?フグ食べたいん?急やなぁ」
そのまま揉みしだくりさ。遠慮のない握り方だ。
りさの握力が強いが、それが正直かなり気持ちいい。さっきまで我慢してたせいで、すぐ射精してしまいそうだ。
りさが楽しそうにニヤニヤしている。
「んんー?せーちゃんのココ、硬くなっとおよ、カチカチやん、つらく無いん?無理せんでええんよ」
マズい、完全に主導権を取られた。
ん?違うか、初めから取られている。僕がりさの色気に惹かれていたからこうなっているんだ。
りさの事に目もくれずにまふゆとだけ話していたらこうはなっていない。
初対面で惚れていた。認める。
だけど、認めたからと言って拒否もできない。
あー、精神集中。勃起よ、鎮まれ!
「せーちゃん、ホンマに気持ち良さそうな顔しとるなぁ、なんかウチも身体が熱なってきたわ。硬いわぁ、ベルト緩めてもええ?」
拒否したいが、……できない。
「少しなら」
……少しとは?
「おおきにー♫」
りさは、周囲を見渡し、部員が離れていることを確認して、カチャっと、慎重にベルトを緩めた。
一応、部室の中で目立たないように気を付けている様子だ。
やっぱり、まふゆに遠慮しているのだろうか。
りさの息が荒くなり、吐息が耳と頬にかかる。
温かくて気持ち良かった。
りさがサキュバスじゃなければ良い友達になれるかもと思ったが、コレはもうサキュバス以外には考えられない。
りさの長くて綺麗な右手の人差し指と中指が、僕のパンツの中へ侵入してくる。
その入る瞬間の気持ち良さは、期待と興奮が相まって極上だった。
世界がスローモーションになったような気がした。
全身が心地よく震えて、彼女の指を受け入れた。
完全に上を向いているペニスの亀頭に、りさの人差し指と中指、薬指が優しく触れる。
肩の力が抜け、後ろのりさの胸にもたれ掛かる。
むにんっ、と背中に柔らかい肉のクッションに抱かれる。
そのまま腰を前に突き出し、りさの右手の平に亀頭を押し付けた。
「ふふっ、せーちゃん、ウチの手に包まれたかったんやなぁ、ドクンドクンッて、おちんぽが大きなったり小さなったりしとるよ。脈動しとるって言うんやろ?男の子のおちんちんて、心臓みたいやなぁ。そんなら、大事なとこやさかい、優しく揉んで気持ちよぉしたるで、任しとき」
りさが、カリ首に指の腹を引っ掛ける様にして、亀頭を揉む。
裏筋のところに中指が当たって、中指の関節を上下に撫でて刺激している。
りさの指がしっとりぷにぷにしていて、快感が渦の様に次から次へと襲ってきた。
「あぁあ、せーちゃん、先っぽからヌルヌルのやつ出てきてるで。コレがあったら擦れても痛くならへんから便利やなぁ」
グリグリと手の平で亀頭を握って回すりさ。
竿の部分を、5本の指先でサワサワとさすっている。
気持ちいいが、イクほどではない。
その絶妙な感じが心地良く、このままずっとイジって欲しいとさえ思った。
「なんや、極楽みたいな顔しとんな。りさの指さばきがそんなに気に入ったんか?でも、こんなもんや無いで、次はこうしたる」
りさはそう言うと、左手もパンツの中へ入れて、ちんぽの根元を人差し指と親指で掴むと、今度は、残りの3本の指でたまを弄り始めた。
たまへの快感を感じながら、左の指輪っかでしっかり根元を固定されているおかげで、右手の平の亀頭磨きに安定感が出た。
つまり、刺激が最高潮ということだ。
くちゅくちゅくちゅ、くちゅくちゅくちゅ、くちゅくちゅ、くちゅくちゅ
僕は下半身を前後左右に動かして快感に耐える。
それを見て、りさが喜ぶ。
「ええなぁ、その反応。ウチが見たかったやつや。苦しいくらいの気持ちいいのを、ウチの手でやってると思たら、ほんま気分ええわ」
りさは、亀頭を手の平でぐるぐる回しながら、左手を上下にシコシコ扱く。
カリ首のとこまで指で隙間なく上げると、根元に下りてたまをさする。
そんな動きを繰り返し、耳元では小さな喘ぎ声を聴かせてくる。
「あっ、あっ、はぁっ、はぁっ、んんっ、はんっ、はぁんっ、んんっ、ん」
吐息に混じって高い囁くような喘ぎ声に、時折り唾液が耳に飛んで来る。
耳から全身に血が巡るように熱くなる。
背中に感じる柔らかい胸の感触と、僕のお尻に当たるりさの股間。
全身が包まれる様な心地よさ。
この快感から逃げるすべを僕は持っていない。
「ちょっ、りさ、ダメだ、そんなにしたら、イク、イク」
りさがクスリと笑う。
「もうイきそーなん?ほんまに?もう耐えられへんの?ウチの手の中に出してしまうん?」
「ごめ、でる、出そう、ダメだ」
「気持ちいいゆぅて欲しいなぁ、気持ちいいーって、うちの耳元で言うてくれたら、出してもええよ」
「く、出そう、あっ、むり、りさ気持ちいい」
「もっとゆっくり気持ちええって言うて」
「き、気持ちいいよ、りさ、もうダメだ」
「ほんなら出してええよ、ぴゅー、ぴゅーって、ウチの手の中に出したりぃ、ウチの水着見ながら、ウチの手の中にいっぱいぴゅっぴゅしたってぇ、あっあっ、びくびくなっとるよ、もう出るん?出るん?」
「りさ、でる、でる、あっ」
耐えられない。
もう限界だ。
ドクっ、ドクっ、ドクっ、ドクっ、ドクっ
凄い勢いで、りさの右手の平に射精する。
出る瞬間にりさが僕の亀頭をギュッと握ったが、大量に出たせいで受け止めきれてない。
「せーちゃん、あっ、あっ、熱い、すごいっ、ドクッ、ドクッドクッ、って、気持ちええなぁ、ほんま、気持ちえーんやなぁ、せーちゃんの精子がウチの手の中にぴゅーって入って、あっ、まだ、来る、来るで、また来る、あんっ、あんっ、えっちやん、えっちな液がえっちなとこから出とる。ぬるぬるやわぁ」
僕は全身が脱力する。
僕のパンツから両手を出すりさ。
ドロドロの精子がぬとーっと右手から溢れそうになり、とっさに左手で掬い上げる彼女。
りさが両手の白い粘液を鼻に近付けて嗅ぐ。
「ほんまええ匂いするわぁ」
僕は急いでアルバムをロッカーに置き、りさの両手首を左右から掴む。
ビクッと身体が跳ねるりさ。
「なになに、なんやのせーちゃんっ」
やたら焦っているりさ。
「手、洗いに行くよ」
僕はそう言うと、手首を掴んでりさを廊下に連れて行く。
トイレの前にある広い手洗い場に引きずって行き、強引に手に付いた精子を全て洗い落とした。
りさの白くて綺麗な両手を、ハンドソープを付けた僕の手でゴシゴシ洗う。
指の間、爪の間まで、とにかく丁寧に精液を洗った。
こうしておかないと、りさが舐めたりしたら、アカリやちゆの二の舞だ。
りさの指一本一本、洗っていると、彼女が腰をくねらせる。
何だか興奮している様で顔が赤い。
「はぁんっ、こんなむりやり、手ぇ洗われたことないわー、なんか子どもに戻ったみたいで恥ずかしーわ」
僕はそう言われて初めて気付く。
たしかにここまで強引に女の子の手を洗った事はない。
というか日常生活でわざわざ異性の手を念入りに洗うなんてことしない。
「ご、ごめん、早く洗わないと、においとかで皆んなにバレると思って」
とりあえず誤魔化しておく。
「でもなぁーせーちゃん、そんな、爪の間まで洗うのは、さすがにえろいわ、なんか気持ち良くて、体がびりびりするねん。ウチどないなったんやろ」
「手を洗われるのって、そんなに気持ちいいの?」
「わからへんけど、けど、なんか、もっと爪とか、指の間とか洗うて欲しい」
りさが、腰を左右に振りながら、はぁはぁと息を漏らしている。
新しい性癖を目覚めさせてしまったらしい。
だが、見習いサキュバス相手なら、好都合だ。
手を洗いまくって感じて貰えるなら、こんな楽な事はないぞ。
精子も取れるし、一石二鳥だ!
僕はりさの縦長の綺麗な爪と、第一関節を念入りに揉み洗いする。
「はぅ、はぅ、せーちゃん、なんかアカンことしとるみたいや、体が動いてまうねん、ウチ、指先が性感帯なんやろか」
「良かったじゃん、これから楽しみが増えるね」
「せやなぁ、新発見や」
指先を洗われて恍惚と腰をくねらせる制服の美女。
随分とレアケースに当たったなぁと思いながらも、この雰囲気からして、りさはサキュバス化に関しての知識はほとんど無さそうだ。
安心した。
搾精をして体内に取り込むことに無頓着なら、すぐにはサキュバスになる事はない。
それが分かっただけでも良しとしよう。
「じゃあ、綺麗になったし、戻ろう」
「せーちゃん、あんなによがっとったんに、もうそんな元気なん、なんでなん」
「し、知らないよ、偶然だよ」
「そんな偶然あるんやろか?」
「あるある、さぁ、早く戻らなきゃ誤解される」
そう言うと、りさが僕に肩を寄せてくる。
「何を誤解されるんやろなっ♫」
嬉しそうな表情のりさ。
初めは背が高くて大人っぽく見えたりさだが、この無邪気さを見ると確かに同級生に思えてきた。
部室に戻ると、あやかが文芸部から戻って来ていた。
時計を見ると、17時45分。
そろそろ良い時間だ。
喫茶プリウムに先に入っておきたい。
ただ、なんて説明しようか。できれば行き先を悟られたくは無い。
そんなことを思っていたのだが、あやかがこっちを真剣に見つめている。
りさと仲良さげに入って来たからだろうか、ちょっと視線が怖い。
そういや、あやかとりさって、仲良いんだろうか?
あやかと目が合ったと思うと、そのまま彼女の視線が下がり、僕の股間を凝視している。
僕は警戒する。
もしかして、何か気付いたのか!?
「玉元くん」
「はい……」
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