144 / 156
ほのぼの
勉強会
しおりを挟む
─
最近、なんだかソワソワする。
京介はふとそう思った。
衣替えが終わり、期末テストを目前に控えている中、学校終わりにそのまま聖の家に向い、勉強会を開いていた。
参加者は同じ享和高校の京介、聖、瑠璃。
そして、大前女子高校の詩乃と純。二人は三人と学校は違うが、まだ高校の始め。そんなに変わらないでしょと強引に参加した。
京介にとって、聖の部屋は随分と久しぶりで、割とピンク塗れだった記憶があったが、落ち着いた雰囲気の部屋に変わっていた。
室内は全体的に白色でまとめられていて、全ての白色は青みではなく、赤みに振った色味で、優しい感じの乳白色のトーンが多かった。
壁と天井は白色、床はウォールナット色のフローリング。白のアンティーク調のベッドに白のローテーブル。白色の勉強机…は変わってなかった。
そして小さな時に閉じ込められていたクローゼット。こんなに小さかったんだな。京介はしみじみ思った。
それから真っ白な丸いローテーブルを囲うように五人で座り、勉強会を始め───
2時間ほど経った頃だった。
「…きょんく~ん、ここ、わかる? 教えて? いっ! 詩乃…」
「聖さん、私が教えますよ~」
「京介くん、瑠璃も~痛っ! じゅんじゅん!」
「知らねーな~」
聖の横の詩乃が。瑠璃の横の純がそれぞれ止めるように何度かテーブルの下でやり合っていた。
「詩乃…あなた学校違うじゃない。そこの馬鹿を教えてなさいよ」
「京介、馬鹿って言われてんぞ」
「純さん…あなたよあなた。京介さんは昔から出来ました。聖さん、そもそもそんなに出題範囲は変わらないでしょう?」
「なー、京介ー、俺もう疼…いてっ! 何しやがる! ルーリー!」
「えーわたしじゃないよー? じゅんじゅん昔から勘違い多かったし、それじゃないかなー」
女子四人は、1時間程は大人しくしていた。だが、徐々に肘鉄、腿をつねる、足を伸ばして蹴る、消しゴム借りる振りからの親指付け根グリグリなどがそこかしこで始まっていた。
小学生の時、教室でなんかこんなのあったような。そんな事を京介は思った。
そして、昔は出来ていたと聞かされた京介は、実際のところ、中学で学習した事が全部吹っ飛んでいて一人焦っていた。
「ん~~~、ちょっときゅーけーい」
「賛成ーよし! 京介! ご休憩しようぜ! 聖! ベッド貸し…いでっ! 京介! 殴ることないだろ! 照れ屋か! いだっ!」
「…純くんってさ~全然色っぽくないよね。こういうのはさ~こう、チラリとしないと。ね? 京介くん?」
瑠璃が休憩宣言したあと、すぐに純は京介に違う休憩に誘った。
それはご休憩で、休憩ではない。違う運動とも言う。
京介は純にとりあえず拳骨を二発落とした。瑠璃は、京介の視線を確認しながら真っ赤なパンツをワンチラした。
京介は ソワソワ した!
「純さん、すっかり元に…良いのか悪いのか…ルーリー、チラリも駄目でしょう! なんです、その派手な色は!」
「…ねえ、それ詩乃んが言う? スカート、さっき短くしたでしょ。わたし見てたよ。正座したらおっきなお尻でスカート押し上げてるじゃん。こっちからなら…丸見えじゃん。どしたの? いつも昔の不良くらい長いのに。長過ぎて逆に校則違反してるのに」
「い、良いじゃないですか! 本当は短いスカートに憧れてたんです!」
京介達、享和高校の女子の夏服は淡いブルーの半袖シャツに赤いタイ。スカートはチャコールグレーのプリーツスカート。
詩乃、純の大前女子高校の夏服は、丸襟で、肩がふわっとした白シャツに青い細リボンタイ。伝統の真っ黒なプリーツスカート。スカート丈は膝下が規定されている。
京介は思った。
「おもひでのアルバム」に夏の制服がなかったからだろうか、ソワソワするのは。と。
「あら、本当ね。しかも…そんなエグい食い込み…痴女ね。ちょっと私の部屋でそんな格好しないでくれる?」
「あ~わかった! 詩乃、京介に褒められたんだろ? お前の檄コンプレックスが簡単に裏返るとは思えねー。言えよ、聞いてやる。散々聞いてもらったしな」
聖は人の部屋で何してんだと詩乃に憤慨し、純はベッドに腰掛け膝をパシンと叩き詩乃に促した。
話は初体験談の話にシフトしそうになっていた。
そういうの本人の前でやめない?
というか、テスト勉強しない?
そう京介が言おうとした時、ふと思い出した。テストと言えば、ゴブリンハーレムのことがあったと。
結局、マコト-ライト-ヤマトくんは、マコト-ライト-ヤマト-レン-シンジ-ターちゃんくんだった。
妖精はあと三人いたのだ。
今もなお彼は桃源郷で魅惑の妖精達と踊っており、彼女達には定期的に葛川兄に連絡させていた。
彼の生存は確実で、京介には、何かあった時だけ連絡がくる事にしていた。
ただ…テスト前だけど、学校は来なくていいのだろうかと。
巣を用意した手前、少し考えてみる。
んー…ま、いっか。
学校やめて、働かなくちゃいけなくなるかもしんないし。テスト、無意味かもしんないし。
さ、勉強勉強。
すぐに思考は閉じた。いつものことである。
「い、言いませんよ! そう言うのは秘めておくものです!…皆さんみたいに私は特殊では無いんです!」
「あ~ん? お前、昔風呂で京介のおち──もがっ! 何すん、おお! 抜けねぇ! お前鍛えてたのか!」
「昔のままだと思わないでください! 東雲参る! うりゃぁぁ!」
言い合いはなおも続き、ついには肉体言語での語らいへと発展していった。
詩乃はベッドに腰掛けていた純に正面から覆い被さり、倒れ込んだ。右手で口を塞ぎ、流れるように左足を純の背中側に差し入れ左手は────
つまり、取っ組み合いで詩乃と純のスカートが大変な事になりそうだった。
京介は また ソワソワ した!
「何なに? 詩乃ん、昔何したの? ってか…スカート捲れそ…うわっ! お尻…すっご…エッロ…見て見てほらほら、京介くん! 聖ん! あ…京介くんはもう見たのか…ん~~ペローン、こんなエロ尻は~~ぺしーん! うわっ……えっ?」
「キャーッ! いたぁい! ルーリー今はやめて! 積年の恨み! 晴らすから! このぉ!」
「うが───! 詩乃! お前やっぱ根に持ってたのか───!」
瑠璃はススッと二人に近づき、仕返しに夢中な詩乃のスカートを思い切って捲り、京介と聖に呼びかけるが、パンツのエグい食い込みになんかムカついたので、尻をパチーンと叩いた。が、手は跳ね返され、瑠璃は驚愕した。
詩乃のお尻は良い音がした。
そしてその音は京介に気付きを与えた。
夏服のボタンの真ん中らへんの2個だけ最初っから外している聖。
スカートを学校の時よりさらに短くして、何回も足を組み変えている瑠璃。
制服スカートのまま胡座をかき、何度もパタパタさせる純。
そして目下、純に覆い被さるようにして短くしたスカートのまま瑠璃に捲られ、お尻を向けている、詩乃。
京介のソワソワはただの15歳男子高校生のムラムラだったと気付いたのだ。
「…きょんくん…何されたの? 吐きなさい吐くわよね吐くに決まってるわ吐くでしょ。ね、きょんくん…」
そして、思い出には殊更こだわりがある聖のの瞳が濁り出した。人の部屋で私以外の思い出だぁ? あぁん? そんな気持ちがヤる気スイッチを入れた。
これはまずいとばかりに京介は聖に声をかけようとした。
「ひーちゃ…」
「黙って! そのクローゼットに入りなさい! そこで聖の下で懺悔しなさい!」
あ、駄目だコレ。全然聞いてない。仕方ないとばかりに京介は聖の頭を撫で回し、クールダウンに努めた。
このままじゃテストがまずいことになる京介は、お茶でも飲んで落ち着かそうと考えた。
「…ひーちゃん、紅茶…飲みたくないかな?」
「頭撫でないで! 誤魔化さないで! も~~ふにゃ~ってなる…じゃ…ない…うん…ひーちゃん入れてくりゅ」
微回復の魔法付き頭ナデナデされた聖はご機嫌さんになり、台所に向かった。
それに、僕は踊ってはまずい。今日は無茶苦茶勉強しないといけない。京介は気持ちを引き締めた。
京介の絶対に負けられない戦いが今始まった。
◆
それから、詩乃と純の攻防はひとまず落ち着いた。
「にしてもよ、あの聖の目があんなに優しくなるなんてなぁ…」
「そだよ。聖んは変わったの。じゅんじゅんもガサツをさー卒業し───」
「ばっかだな…ルーリー。こうやっておけば一番にお仕置きくらうんだぜ? あの未知瑠も唖然として泣いて帰ったんだぜ?」
純はやっぱり誘い込みだった。実は京介を煽りに煽るつもりで今日は来ていた。勉強をする気などさらさらない。詩乃と瑠璃も以下同文だった。
だけど、純以外は建前を大事にする。あくまで勉強会なのだ。京介が中断したら全力で答えるつもりだった。
しかし、一向にそんな気配はない。もしかしたら魅力がないのだろうか。一回致したらポイ捨てする気だろうか。そんな一抹の不安がよぎった。
だからこそ背伸びして脇を見せたり、ボタンを外したり、スカートパタパタさせたり、短くしたりと試行錯誤を重ねることとなったのだ。
そして、その全てを余す事なく目にした京介の某は、はち切れんばかりになってしまっていた。
彼女達の攻撃はきちんと届いていたのだ。
だが、彼は勇者。戦いの場では表情は読ませない。
今日じゃなきゃ純をキャン言わせるのに…京介は太腿にシャーペンをブッ刺し、性欲を抑制しようと試みた。
「そうなの?! あの未知瑠んが……ねー京介く~ん。最近あっつくなった、ねー」
「ルーリー、女子高みたいな事マジやめて。うちはまだマシですけど、そんなスカートパタパタしてるの純さんくらいですよ。まあ秦野派の女子は鼻血出してますけど」
「何なに! じゅんじゅん女子にまだモテるの?! ひゃー昔のまんま! 小学校から変わんないねーウケる! あだぁ! やったな! この…あ、あ、バカバカスカート捲るなってば!」
「さっきまで自分からしてただろーが。ウリウリ~ガサツって言うからだろーが。ウリウリ~」
瑠璃の煽りを受け、試合以外は冷静になれない純はすぐさま瑠璃に肩パンし、反撃されるもなんなく躱し、素早く後ろに回り込んだ。
そして瑠璃の足と手を器用に両手で羽交締めし、M字を作り、徐々に後ろに倒れるようにゆっくりと倒した。
瑠璃では逃げるのは無理だ。強制的にスカートの中が晒される。
どうやら純は結構気にしていたようだった。
「違うよ! 京介くんの反応きちんと見てしてんの! 瑠璃は! そういうとこだからね! 馬鹿じゅんじゅん! こいつ! 強っ! 力つよ! 離せぇ!」
「ウリウリ~」
アイスティーを持ってきた聖が部屋の扉を開けるなり瑠璃に言った。
「本当…瑠璃、人の部屋でM字とかしないで」
「聖ん! どー見ても自薦じゃないでしょ! やめてみんな見てると恥ずかしいから! ああ! ヤバ! でちゃう! じゅんじゅん! 純くん! 離して! いや────!」
瑠璃はまだお漏らし癖は完治しておらず、そんな体勢とアイスティーのグラスの水滴とみんなの注目とで、すぐに臨界に達しようとしていた。
いや、達した。
「私…こうなってたんですね…恥ずかし貰い…京た~ん…ノノメ上書きして~」
「瑠璃も~え~ん~京介くん、じゅんじゅん拘束してよ~ぅえ~ん~」
詩乃にもお漏らしダメージが入り、瑠璃はガチで泣き出した。純は誇らしげだった。流石に悪ふざけが過ぎると、見かねた京介は拘束の魔法を振った。
「あ、やめろ! それ辛いやつ──────」
「拘束…? 何ですか? え! 動かない…目も開いたまま…キモっ…ふふふははは! 京介さんありがとうございます! 純さーん…ほら丸出しですよー端ないですねーお下品ですねーお似合いですねー。さあ喰らいなさい! うりゃ───!」
「、!───!!」
詩乃は初めての拘束の魔法に驚き、感心するとともに、すぐさまこの機会を逃すものかとスカートを捲り、割と手加減無しで鳩尾辺りに横手刀をぶちかました。
幼馴染ゆえ出来る、手加減なしの攻撃だった。
晒された純の黒パンツはネリア推薦の一枚だった。
こうして部屋に平和が訪れた。
「よし、純を静かにしたから───」
「……きょんくん…聖の部屋の色、昔は何色だったでしょう? 正解は、この…スカートの中だよ?」
「あー、瑠璃、じゅんじゅんのせいで濡れちゃったー、あー、気持ち悪いな~…脱ごっかな~?」
「京介さん…Sの次は……何でしたか?」
そんな京介の発言など、聖、瑠璃、詩乃達三人には届かず、スッと一斉に立ち上がり、まるでクリスクロスパスのように交差しつつ滑らかに動き、最初から立ち位置が決まっているアイドルのコンサートのようにピタリと三人揃って京介の前に立った。
そのままスルスルとスカートをたくし上げ、ギリギリで止めた。
詩乃だけは身体を捻り、お尻を向けている。
そして、戦争、平和と来たら、次は産めよ増やせよでしょ? と言わんばかりに煽り出した。
どうやらムラムラしたのは京介だけでは無かったようだ。
幼馴染の連携って何気に凄いよね。会話してないんだけど。
京介の心からの感想だった。
「………ごくり」
そうして、アイスティーを飲み干し、違う勉強が始まってしまったのだった。
京介の絶対に負けられない戦いは、割とあっさりと幕を降ろした。
「、!、!~~!~!」
純はそのまま放置された。プレイとも言う。
最近、なんだかソワソワする。
京介はふとそう思った。
衣替えが終わり、期末テストを目前に控えている中、学校終わりにそのまま聖の家に向い、勉強会を開いていた。
参加者は同じ享和高校の京介、聖、瑠璃。
そして、大前女子高校の詩乃と純。二人は三人と学校は違うが、まだ高校の始め。そんなに変わらないでしょと強引に参加した。
京介にとって、聖の部屋は随分と久しぶりで、割とピンク塗れだった記憶があったが、落ち着いた雰囲気の部屋に変わっていた。
室内は全体的に白色でまとめられていて、全ての白色は青みではなく、赤みに振った色味で、優しい感じの乳白色のトーンが多かった。
壁と天井は白色、床はウォールナット色のフローリング。白のアンティーク調のベッドに白のローテーブル。白色の勉強机…は変わってなかった。
そして小さな時に閉じ込められていたクローゼット。こんなに小さかったんだな。京介はしみじみ思った。
それから真っ白な丸いローテーブルを囲うように五人で座り、勉強会を始め───
2時間ほど経った頃だった。
「…きょんく~ん、ここ、わかる? 教えて? いっ! 詩乃…」
「聖さん、私が教えますよ~」
「京介くん、瑠璃も~痛っ! じゅんじゅん!」
「知らねーな~」
聖の横の詩乃が。瑠璃の横の純がそれぞれ止めるように何度かテーブルの下でやり合っていた。
「詩乃…あなた学校違うじゃない。そこの馬鹿を教えてなさいよ」
「京介、馬鹿って言われてんぞ」
「純さん…あなたよあなた。京介さんは昔から出来ました。聖さん、そもそもそんなに出題範囲は変わらないでしょう?」
「なー、京介ー、俺もう疼…いてっ! 何しやがる! ルーリー!」
「えーわたしじゃないよー? じゅんじゅん昔から勘違い多かったし、それじゃないかなー」
女子四人は、1時間程は大人しくしていた。だが、徐々に肘鉄、腿をつねる、足を伸ばして蹴る、消しゴム借りる振りからの親指付け根グリグリなどがそこかしこで始まっていた。
小学生の時、教室でなんかこんなのあったような。そんな事を京介は思った。
そして、昔は出来ていたと聞かされた京介は、実際のところ、中学で学習した事が全部吹っ飛んでいて一人焦っていた。
「ん~~~、ちょっときゅーけーい」
「賛成ーよし! 京介! ご休憩しようぜ! 聖! ベッド貸し…いでっ! 京介! 殴ることないだろ! 照れ屋か! いだっ!」
「…純くんってさ~全然色っぽくないよね。こういうのはさ~こう、チラリとしないと。ね? 京介くん?」
瑠璃が休憩宣言したあと、すぐに純は京介に違う休憩に誘った。
それはご休憩で、休憩ではない。違う運動とも言う。
京介は純にとりあえず拳骨を二発落とした。瑠璃は、京介の視線を確認しながら真っ赤なパンツをワンチラした。
京介は ソワソワ した!
「純さん、すっかり元に…良いのか悪いのか…ルーリー、チラリも駄目でしょう! なんです、その派手な色は!」
「…ねえ、それ詩乃んが言う? スカート、さっき短くしたでしょ。わたし見てたよ。正座したらおっきなお尻でスカート押し上げてるじゃん。こっちからなら…丸見えじゃん。どしたの? いつも昔の不良くらい長いのに。長過ぎて逆に校則違反してるのに」
「い、良いじゃないですか! 本当は短いスカートに憧れてたんです!」
京介達、享和高校の女子の夏服は淡いブルーの半袖シャツに赤いタイ。スカートはチャコールグレーのプリーツスカート。
詩乃、純の大前女子高校の夏服は、丸襟で、肩がふわっとした白シャツに青い細リボンタイ。伝統の真っ黒なプリーツスカート。スカート丈は膝下が規定されている。
京介は思った。
「おもひでのアルバム」に夏の制服がなかったからだろうか、ソワソワするのは。と。
「あら、本当ね。しかも…そんなエグい食い込み…痴女ね。ちょっと私の部屋でそんな格好しないでくれる?」
「あ~わかった! 詩乃、京介に褒められたんだろ? お前の檄コンプレックスが簡単に裏返るとは思えねー。言えよ、聞いてやる。散々聞いてもらったしな」
聖は人の部屋で何してんだと詩乃に憤慨し、純はベッドに腰掛け膝をパシンと叩き詩乃に促した。
話は初体験談の話にシフトしそうになっていた。
そういうの本人の前でやめない?
というか、テスト勉強しない?
そう京介が言おうとした時、ふと思い出した。テストと言えば、ゴブリンハーレムのことがあったと。
結局、マコト-ライト-ヤマトくんは、マコト-ライト-ヤマト-レン-シンジ-ターちゃんくんだった。
妖精はあと三人いたのだ。
今もなお彼は桃源郷で魅惑の妖精達と踊っており、彼女達には定期的に葛川兄に連絡させていた。
彼の生存は確実で、京介には、何かあった時だけ連絡がくる事にしていた。
ただ…テスト前だけど、学校は来なくていいのだろうかと。
巣を用意した手前、少し考えてみる。
んー…ま、いっか。
学校やめて、働かなくちゃいけなくなるかもしんないし。テスト、無意味かもしんないし。
さ、勉強勉強。
すぐに思考は閉じた。いつものことである。
「い、言いませんよ! そう言うのは秘めておくものです!…皆さんみたいに私は特殊では無いんです!」
「あ~ん? お前、昔風呂で京介のおち──もがっ! 何すん、おお! 抜けねぇ! お前鍛えてたのか!」
「昔のままだと思わないでください! 東雲参る! うりゃぁぁ!」
言い合いはなおも続き、ついには肉体言語での語らいへと発展していった。
詩乃はベッドに腰掛けていた純に正面から覆い被さり、倒れ込んだ。右手で口を塞ぎ、流れるように左足を純の背中側に差し入れ左手は────
つまり、取っ組み合いで詩乃と純のスカートが大変な事になりそうだった。
京介は また ソワソワ した!
「何なに? 詩乃ん、昔何したの? ってか…スカート捲れそ…うわっ! お尻…すっご…エッロ…見て見てほらほら、京介くん! 聖ん! あ…京介くんはもう見たのか…ん~~ペローン、こんなエロ尻は~~ぺしーん! うわっ……えっ?」
「キャーッ! いたぁい! ルーリー今はやめて! 積年の恨み! 晴らすから! このぉ!」
「うが───! 詩乃! お前やっぱ根に持ってたのか───!」
瑠璃はススッと二人に近づき、仕返しに夢中な詩乃のスカートを思い切って捲り、京介と聖に呼びかけるが、パンツのエグい食い込みになんかムカついたので、尻をパチーンと叩いた。が、手は跳ね返され、瑠璃は驚愕した。
詩乃のお尻は良い音がした。
そしてその音は京介に気付きを与えた。
夏服のボタンの真ん中らへんの2個だけ最初っから外している聖。
スカートを学校の時よりさらに短くして、何回も足を組み変えている瑠璃。
制服スカートのまま胡座をかき、何度もパタパタさせる純。
そして目下、純に覆い被さるようにして短くしたスカートのまま瑠璃に捲られ、お尻を向けている、詩乃。
京介のソワソワはただの15歳男子高校生のムラムラだったと気付いたのだ。
「…きょんくん…何されたの? 吐きなさい吐くわよね吐くに決まってるわ吐くでしょ。ね、きょんくん…」
そして、思い出には殊更こだわりがある聖のの瞳が濁り出した。人の部屋で私以外の思い出だぁ? あぁん? そんな気持ちがヤる気スイッチを入れた。
これはまずいとばかりに京介は聖に声をかけようとした。
「ひーちゃ…」
「黙って! そのクローゼットに入りなさい! そこで聖の下で懺悔しなさい!」
あ、駄目だコレ。全然聞いてない。仕方ないとばかりに京介は聖の頭を撫で回し、クールダウンに努めた。
このままじゃテストがまずいことになる京介は、お茶でも飲んで落ち着かそうと考えた。
「…ひーちゃん、紅茶…飲みたくないかな?」
「頭撫でないで! 誤魔化さないで! も~~ふにゃ~ってなる…じゃ…ない…うん…ひーちゃん入れてくりゅ」
微回復の魔法付き頭ナデナデされた聖はご機嫌さんになり、台所に向かった。
それに、僕は踊ってはまずい。今日は無茶苦茶勉強しないといけない。京介は気持ちを引き締めた。
京介の絶対に負けられない戦いが今始まった。
◆
それから、詩乃と純の攻防はひとまず落ち着いた。
「にしてもよ、あの聖の目があんなに優しくなるなんてなぁ…」
「そだよ。聖んは変わったの。じゅんじゅんもガサツをさー卒業し───」
「ばっかだな…ルーリー。こうやっておけば一番にお仕置きくらうんだぜ? あの未知瑠も唖然として泣いて帰ったんだぜ?」
純はやっぱり誘い込みだった。実は京介を煽りに煽るつもりで今日は来ていた。勉強をする気などさらさらない。詩乃と瑠璃も以下同文だった。
だけど、純以外は建前を大事にする。あくまで勉強会なのだ。京介が中断したら全力で答えるつもりだった。
しかし、一向にそんな気配はない。もしかしたら魅力がないのだろうか。一回致したらポイ捨てする気だろうか。そんな一抹の不安がよぎった。
だからこそ背伸びして脇を見せたり、ボタンを外したり、スカートパタパタさせたり、短くしたりと試行錯誤を重ねることとなったのだ。
そして、その全てを余す事なく目にした京介の某は、はち切れんばかりになってしまっていた。
彼女達の攻撃はきちんと届いていたのだ。
だが、彼は勇者。戦いの場では表情は読ませない。
今日じゃなきゃ純をキャン言わせるのに…京介は太腿にシャーペンをブッ刺し、性欲を抑制しようと試みた。
「そうなの?! あの未知瑠んが……ねー京介く~ん。最近あっつくなった、ねー」
「ルーリー、女子高みたいな事マジやめて。うちはまだマシですけど、そんなスカートパタパタしてるの純さんくらいですよ。まあ秦野派の女子は鼻血出してますけど」
「何なに! じゅんじゅん女子にまだモテるの?! ひゃー昔のまんま! 小学校から変わんないねーウケる! あだぁ! やったな! この…あ、あ、バカバカスカート捲るなってば!」
「さっきまで自分からしてただろーが。ウリウリ~ガサツって言うからだろーが。ウリウリ~」
瑠璃の煽りを受け、試合以外は冷静になれない純はすぐさま瑠璃に肩パンし、反撃されるもなんなく躱し、素早く後ろに回り込んだ。
そして瑠璃の足と手を器用に両手で羽交締めし、M字を作り、徐々に後ろに倒れるようにゆっくりと倒した。
瑠璃では逃げるのは無理だ。強制的にスカートの中が晒される。
どうやら純は結構気にしていたようだった。
「違うよ! 京介くんの反応きちんと見てしてんの! 瑠璃は! そういうとこだからね! 馬鹿じゅんじゅん! こいつ! 強っ! 力つよ! 離せぇ!」
「ウリウリ~」
アイスティーを持ってきた聖が部屋の扉を開けるなり瑠璃に言った。
「本当…瑠璃、人の部屋でM字とかしないで」
「聖ん! どー見ても自薦じゃないでしょ! やめてみんな見てると恥ずかしいから! ああ! ヤバ! でちゃう! じゅんじゅん! 純くん! 離して! いや────!」
瑠璃はまだお漏らし癖は完治しておらず、そんな体勢とアイスティーのグラスの水滴とみんなの注目とで、すぐに臨界に達しようとしていた。
いや、達した。
「私…こうなってたんですね…恥ずかし貰い…京た~ん…ノノメ上書きして~」
「瑠璃も~え~ん~京介くん、じゅんじゅん拘束してよ~ぅえ~ん~」
詩乃にもお漏らしダメージが入り、瑠璃はガチで泣き出した。純は誇らしげだった。流石に悪ふざけが過ぎると、見かねた京介は拘束の魔法を振った。
「あ、やめろ! それ辛いやつ──────」
「拘束…? 何ですか? え! 動かない…目も開いたまま…キモっ…ふふふははは! 京介さんありがとうございます! 純さーん…ほら丸出しですよー端ないですねーお下品ですねーお似合いですねー。さあ喰らいなさい! うりゃ───!」
「、!───!!」
詩乃は初めての拘束の魔法に驚き、感心するとともに、すぐさまこの機会を逃すものかとスカートを捲り、割と手加減無しで鳩尾辺りに横手刀をぶちかました。
幼馴染ゆえ出来る、手加減なしの攻撃だった。
晒された純の黒パンツはネリア推薦の一枚だった。
こうして部屋に平和が訪れた。
「よし、純を静かにしたから───」
「……きょんくん…聖の部屋の色、昔は何色だったでしょう? 正解は、この…スカートの中だよ?」
「あー、瑠璃、じゅんじゅんのせいで濡れちゃったー、あー、気持ち悪いな~…脱ごっかな~?」
「京介さん…Sの次は……何でしたか?」
そんな京介の発言など、聖、瑠璃、詩乃達三人には届かず、スッと一斉に立ち上がり、まるでクリスクロスパスのように交差しつつ滑らかに動き、最初から立ち位置が決まっているアイドルのコンサートのようにピタリと三人揃って京介の前に立った。
そのままスルスルとスカートをたくし上げ、ギリギリで止めた。
詩乃だけは身体を捻り、お尻を向けている。
そして、戦争、平和と来たら、次は産めよ増やせよでしょ? と言わんばかりに煽り出した。
どうやらムラムラしたのは京介だけでは無かったようだ。
幼馴染の連携って何気に凄いよね。会話してないんだけど。
京介の心からの感想だった。
「………ごくり」
そうして、アイスティーを飲み干し、違う勉強が始まってしまったのだった。
京介の絶対に負けられない戦いは、割とあっさりと幕を降ろした。
「、!、!~~!~!」
純はそのまま放置された。プレイとも言う。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる