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戦が始まってしまいそうですわⅡ
しおりを挟む「お、お父様……」
「オリビア、目を覚ましたようだね。体の調子はどうだい?」
「はい、大丈夫ですわ。それよりもその格好はいったい……」
「ふむ。私の大事なオリビアを傷つけた馬鹿王子をちょっと殺ってやろうかと思ってね」
「へっ? ……殺る?」
お父様はいつもの優しい笑顔ではなく、まるで悪鬼羅刹のような顔で恐ろしいことを口にしました。
まあ鬼の兜を被っているので、ようなではなくそのものなのですが。
いえ、それはどうでもいいのです。
ちょっと無視出来ないレベルで物騒なお話が出てきました。
「ちょ、ちょっと待ってください! お父様! わたくしのためにそこまでしていただかなくても結構ですわ!」
「何を言っているんだい? ケジメは付けなくてはいけないよ。窓の外を見てごらん」
お父様はそう言って部屋のカーテンを開けるように促されます。
「えっと……これは……」
そしてわたくしは外の様子を目の当たりにして絶句してしまいました。
なぜなら、屋敷の前を埋め尽くす数の兵たちが見えたからです。
兵たちは皆、我がサンカレア公爵家の紋章が描かれたフルプレートの甲冑を身に纏っています。
「オリビアが寝込んでいる間に準備をしていたんだ。安心しなさい。王国最強と謳われるサンカレア公爵家の騎士すべてが王都に集結している」
「いやいや! 安心しろと言われても無理がありますわ! こんなに兵を集めて国でも取るつもりですか!?」
「ふむ、それも可能であろうな。見ていなさい」
そう言ってお父様は窓から見える兵の群れに向かって右手を上げました。
「「「うぉおおおおおっ!!!」」」
瞬間、地響きを伴うような雄叫びが上がり、兵士たちが一斉に剣を抜き放ったのです。
それだけでは終わりません。
今度は空気を震わせる野太い叫び声が方々から上がり始めます。
「「「馬鹿王子に死を!!!」」」
「「「お嬢さまを傷つけた者に制裁を!!!」」」
「うわぁ……」
それを見てわたくしちょっと引いてしまいました。
「士気はこれ以上ないぐらい高まっている。皆、幼少時からオリビアを見守ってきた者たちだからな。今回の一件は相当腹に据えかねるのだろう。それは私も一緒だ」
「そ、そうですか……」
鬼の兜を被ったお父様がわたくしの肩をポンポンと叩きます。
きっと兜の下では優しく微笑んでいるのでしょう。一切分かりませんが……。
しかし、困りましたわね。
お父様や兵士の気持ちはとても嬉しいのですが、この様子では本当に戦争になりそうですわ……。
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