満月の夜の水晶の輝きに導かれて

牡丹

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1.光の渦に飲み込まれて

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我が家には、先祖から伝わる物が3つある。
螺鈿細工らでんざいくに飾れたの水晶、赤い石の腕輪、そして翡翠の指輪だ。
これらがいつからあるのか?誰も知らない。

赤い腕輪は蝶の模様が彫られていて可愛いから私がいつも身につけている。

螺鈿細工は、握り拳程の螺鈿細工に五百円玉程の水晶が埋め込まれていた。
それが蔵の扉の上に飾られていて、幼い頃、ひい爺ちゃんにあれは何?と尋ねた事がある。

「あれはな、月の明るい夜に突然光るんだ。
わしも夜に蝶を見かけて追いかけたら偶然に見た事がある。
誰もいない蔵の窓も明るかったので怖くなって逃げたが、曾祖父様に尋ねると月守り様つきもりさまだと教えてくれた。」

それを聞いた夜に見に行ったけど、全く光ってなくて興味を失い、すっかり忘れていた。

たった今まで。

目の前でその月守り様が光りかがやいている。

冬の寒空の下、夜中に蝶を見つけた。

「何で?真冬に蝶が?」

不思議に思い追いかけ蔵の前で見失った。
そして月守り様が輝いているのに気がついたのだ。
空を見上げれば満月が輝いている。

「わぁ!ひい爺ちゃん、本当だったよ。」

見ると蔵の窓も明るくなっている。
蔵の扉は少しあいているようで光が細く漏れていた。
私は無意識に蔵の扉に手をかけた。
蔵の中は幾重の七色の光が渦となって重なっていた。

「あっ、蝶々!」

私の肩越しから、さっきの蝶がすり抜けて入って行く。
それを捕まえようと手で触れた時、
グイっと渦の中に引き込まれた。

その瞬間、浮き上がるような感覚に襲われ、光の渦の中を浮いていた。

「一体なにが、、、」

戸惑っていると今度は急に真っ暗になり足が地面に着いた。

鼓動がドキドキとして口の中がカラカラだ。
周りを見回すと少し闇が薄い処がある。
ガクガクしている足をゆっくり進めると、そこは石の扉のようだ。

押してもダメなので横にスライドさせると開いた!

「あっ!」

「えつ!」

人が居た。
私は男の人が祈りを捧げていた祭壇の壁から顔を出していた。
二人とも驚きのあまり目を見開き、しばらく見つめあってしまった。

青年が先に口を切った。

「お前は、、言い伝えの倭の国の者か?」

青年は、日本人に見えたが赤い髪に赤い瞳だった。

「え、えっーと、倭の国?昔は倭の国だったけど、今は日本と言うのよ。
ねぇ、ここはどこ?どうなってるの?」

「ここは祈りの間だ。
どう言う事か詳しく聞く必要があるな。」

ここに来た事情を話す事になった。

「そうか。ここは月守の里つきもりのさとだ。私は神官長の息子のアオイだ。お前の名前は?」

「ユカよ。ねぇ、もう帰りたいんだけど、もう一度、中に入ればいいの?」

「知らないんだ。伝承では、倭の国人間が約束の物を持って来る事になっているけど、お前、持って来たのか?」

「えっ?何の事?」

聞いた事も無い。

「そうか。まずは、親父様の所へ行こう。ついてきて。」

悪い人じゃ無さそうだし帰り方がわからないから、ついていくしかない。

アオイについて薄暗い洞穴をランプを頼りに進むと入口に出た。
緑に覆われた森だった。

10分程歩いた所に石作りの神殿があった。
入口には番人が立っていて、

「アオイ様その者はいかがしました?」

「倭の国からの客人だ。親父様へ取次を願いたい。」

「えっ!伝説のですか?!」

番人は驚き走って建物の中に消えた。

「ここは許可証がない者は入れないんだ。これだよ。」

アオイは腕に付けた赤い花模様の腕輪をみせる。

「これ!私も持ってるよ。模様は違うけど。」

腕まくりをしてアオイに見えるように突き出す。
アオイは目を見開き驚いている。

「これとそっくりだ。
試しにこの入口にたってみて。」

どう言う仕掛けか、入口の石ドアがスッーと開いた。

「その腕輪はユカのかい?」

「うん。家に代々あったのを可愛いからもらったの。」

「本当に倭の国の人みたいだな。親父様の所へ急ごうぜ。こっちが近道だ。」

と、迷路みたいな身内用の通路に連れて行かれた。




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