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5.新しい生活

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翌日、エリザベスは、一条奈々美が用意した袖付きのシンプルなロングワンピースを身につけ、彼女の肩を借りて昨日の部屋の長机に座った。
長テーブルには朝食が並べられウィリアムは既に着席をしていた。

「おはよう。その様子じゃかなり良くなったようだね。」

「おはようございます。ええ。痛みもだいぶん良くなったわ。」

「なら、まずは朝食にしよう。診察はその後だ。」

その言葉で一条奈々美が味噌汁を運んで来た。
メニューは、ご飯、焼き魚に漬物とエリザベスにとって馴染みのある食べ物ばかりだった。
時が流れても基本的な食べ物は変わらない事に安堵した。

「エリさん、今日は一条と服を買いに行くととよい。貴女の着物は私のせいで汚れてしまったし、着替えが無いのも困るだろう?」

「いいえ、そこまでしてもらう訳には、、」

「私とは背丈が合わないから着れそうなのは今着てもらっている物たけなの。それに靴も草履という訳にはいけませんからね。」

一条奈々美に「合わない」と言われ観念した。
時代や場所に合った服装は周りと馴染む為に大事だ。
エリザベスは、吉之助の時代の着物に草履で鞄も持ってい。神殿から逃げるように直ぐに再度遊学に出て来たからだ。

「じゃあ、、お言葉に甘えてお願いします。その代わり昨日も話したけど何かお手伝いをさせてほしいのだけど。」

「その位、気にしなくて良いんだよ。」

「ウィリアム、それでは気を遣ってしまいます。ここで過ごすなら仕事の対価があるべきです。」

「そうか。わかった。では足が治ったら一条のアシスタントを頼むとしよう。」

「アシスタント?」

聞き慣れない言葉を口ずさむと偶然に一条奈々美が語りだした。

「ええ。私は社長のウィリアムの補佐として一緒にお客様の話を聞いたり品物の買取に付いて行くの。そんな私の補佐よ。」

「アシスタント、、補佐、、なる程。」

「と言う事で、もうお客様じゃ無いから敬語も無しよ。今日からは、奈々美と呼んでね。私もエリちゃんと呼ぶから。宜しくね。」

「よろしくお願いします、奈々美さん。ウィリアム社長。」

ウィリアムが慌てて口を挟んだ。

「私の呼び方は今のままでいいから。一条も仕事以外ではウィリアムと呼び捨てだよ、宜しくエリちゃん。」

エリザベスは、こうして偶然にこの時代での居場所を作ることが出来き新しい生活が始まる事になった。
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