近江一族物語1『融合』

七々虹海

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凪②

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 中学生になった。
 地元の小さな小学校から一転。少し離れた、小学校何校かから子供たちが集まる少し離れた中学へ通わなければならなかった。
 当然、晴空とクラスが離れた。
 部活も別々で、サッカー部の晴空と、美術部の僕の登下校の時間は別々になってしまった。

 晴空はずっと、僕のヒーローだったんだ。
 熱ばっかり出してる僕なんか放っておいてもいいのに、熱で朦朧とする中ふと目が覚めると必ず横いてくれた晴空。
 発熱で暑い中、晴空のひんやりした手がどれだけ心地好くて安心出来るものだったか僕にしか分からない事。
 どんどんもやし化がすすむ僕とは相反して、大勢の友達に囲まれて、クラスの委員長をいつもしてて、持久走では絶対上位で、バレンタインチョコは持ちきれないから僕も手伝って持ち帰る晴空は僕の自慢の双子の兄。のはずだった。

 でも何だろうこの気持ち。中学に入った頃からおかしかった。僕は誰に無視されても何とも思わない。他人なんてどうでもいい。
 でも晴空だけは隣にいてくれないと嫌だ。成長するにつれ、熱を出さなくなってきた僕は、物足りない気持ちになってわざと熱を出す事にしてみた。

 急などしゃ降りの雨の中、折り畳み傘は使わず帰ったんだ。
 帰宅して温かいシャワーじゃなく水のシャワーで頭と体を洗った。寒くて身震いがしたけれど、これで明日は晴空を少しの時間は独り占めできる。学校から帰ってきたほんの数時間だとしても隣にいてくれる。

 『その時』を楽しみに我慢した。  
 全身鳥肌がたって、歯と歯が自然にカチカチと音をたて始めたけど、温かいお湯は絶対出さない。
 晴空を独り占めするため、晴空を独り占めするため、小声で呟きながら手早く洗った。
 髪もタオルドライだけ。冷たさに慣れてしまったのか、変な高揚感のせいか、脱衣場にいる頃には奇妙な笑いが込み上げてきて、寒さを感じなくなってた。肌を見ると相変わらず鳥肌のままだったので、体は寒がっていたんだろう。

 晴空…。
    
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