近江一族物語1『融合』

七々虹海

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覚醒

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 目が覚めたらいつもの自室の天井が見えた。自室のベッドの上。
 ゆっくり右手を上にあげると、その腕はパジャマを着ていた。この右手…。昨日何かを出した感覚はこの右手?まだ何となく右掌を包むようなモヤがかかっているような、温かいような、不思議な感覚だ。

 身体全身も心なしか熱を帯びている。
 そんな中一番暖かい場所、誰かの手の感触がある左手。
 繋いだ覚えのあるその手は晴空の手だった。僕の手を握って、小さく丸まって隣に寝ている。晴空も、怖かったんだろうな。少し汗をかいて張り付いてる前髪を、おでこからどかして髪全体を撫でてみた。

「晴空。晴空起きて。ずっとここで寝てたの?そんな隙間に小さくなって寝てたら体が痛くなりそうだよ」

「ん…。はよ。だってさ、凪の事掴んでないと、どこか行っちゃう気がしたんだ。力の事も黙ってたみたいだしさ…」

 僕が隠していたと思い込んでる晴空は完全に拗ねた顔をして、目線を合わせようとしない。

「晴空…僕はどこにも行かないし、自分にあんな力が出せるなんて思ってもいなかった。小さい頃少し不思議なものが見えるだけ。それだけだったはずなんだ」

「俺に隠してたわけじゃないのか?」
こっちを向いて目を合わせてくれた。
「隠し事なんて、してないよ。昨日急に出てきたこの力?のせいで正直一番戸惑ってるの僕だと思うし」

 隠し事してないは嘘。晴空に抱いてる気持ちは言わないし言えない。言ってしまって反応を見てみたいと思う日もあるけれど。
 左手を掴んでいる晴空の力が強まる。

「あいつ…また来るのかな……。来そうだよな、凪を連れに…」

「どうだろう。来ないでほしいな。僕らの親戚だとしても良い人じゃなさそうだし」

「母さんも父さんも困ってた。なんか色々と、初めて聞く話で、頭が混乱してる」
握ったままの手に力を入れてきた晴空が、僕のことを離したくないって言ってるみたいで嬉しくなる。

「少し、、身体でも動かしてきたら頭もスッキリしていいじゃない?」

「そうだな…。そうだよな、ちょっと走ってくるけど、凪は出掛けないで家で待ってろよ」

 さらに握ってる手に力をこめて、真剣な顔でこちらを見る晴空は、昨日より少し大人になったように見えた。同じはずの顔なのに不思議だな。ドキっとするなんて。

 僕の感情のが不思議で不埒なんだろうな。
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