近江一族物語1『融合』

七々虹海

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智恵

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 初七日が過ぎた。凪はある日を境に急に元気を取り戻した。何か気持ちの変化があったのだろうと思うけれど、私には教えてくれない。 
 元気になったみたいだから家に戻ってくる?の言葉も出かけたけれど、それはまだ早いかと思い直して、やめといた。家の晴空の部屋はまだそのままだから、それを見た凪の状態がまた悪くなってしまうのは可哀想で見てられない。

 どこで間違えたんだろうと夜な夜な考えている。仕事をしてる間は考えずにいられる。
 一通りの家事を終え、寝床に横になると、考えてしまう。

 私が勇気を出して、本家に凪がいるか確認しに行ってれば、晴空は死なずに済んだ?
 それとももっと晴空と話し合うべきだったの?あの子は、凪を捜すことに囚われてて、見てるこちらが可哀想になるくらいだった。
 そんな必死なものを取り上げる資格は私にはないから、夜中出歩いてるのも目を瞑った。主人もそうだったと思う。
 双子同士の絆は、当事者の二人にしか分からないものだから。

 それとも、私があそこから逃げ出して、崇さんと結ばれたことが、そもそもいけない事の始まりだったのかしら。家族四人幸せだった。崇さんとの間に産まれた子達が愛しくて堪らなかった。
 一族に従って知らない人たちに抱かれるのが正解だったの?何が正解かは未だに分からない。ただ一つ分かるのは、私が大事にしてた愛する息子を1人失ったという事実。


 晴空が死んでも毎日は通常通りやってくる。平日、帰ってきて夕飯の支度をしていたら、玄関のチャイムが鳴った。
 インターホンで顔を見てみると、間違えるわけのない顔が2つ。今さらなぜ?という気持ちもあったが、話す時が来たんだと思い、すぐに玄関を開けに向かった。
 
「お母さん……美智…」
本家が爆発したと貴嶺さんに聞いていた。お母さんと美智は無事なんだろうかと心配はしたものの、私には心配する資格もないと思った。無事かどうか尋ねなかった。私は家を、家族を捨てたようなものだから。
 よく見るとお母さんの頬には火傷の跡らしきものがある。美智も見えないだけで、どこか火傷したんだろうか…。

「姉さん、久しぶりね。上がっていい?わよね」
美智は以前と変わらない臆しない性格で、お母さんも引っ張って家に上がっていった。
「仏壇どこ?」
リビングの隣にある和室に案内する。

 二人とも晴空に向かって手を合わせてくれた。と、お母さんが膝をついてすすり泣きし、謝りだした。

 一族の長であり、畏怖されていた母の、こんな姿を見るの初めての事だった。



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