近江一族物語1『融合』

七々虹海

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 貴嶺さんはうんうん唸りながら、腕を組んで考えてるみたいだった。案外、ううん、元々お人好しなんだろうね。

「晴空、凪、本当にいいんだな?今世ではもう二度と会えない。来世なんてもんがあるのか俺には分からない。晴空が居て今のところ害はないんだ。もうしばらく…」
(貴嶺くどい。害があってからじゃ遅いんだけど)
「そうだよ貴嶺さん。晴空の破片は育ってるんだから、もういいんだ…」
「何の話だ?」
「ふふっ、今はまだ秘密の話」

「分かった。待ってろ」

 自室に行った貴嶺さんはクローゼットを開けている様だった。

 ガチャ。貴嶺さんの部屋が開き、僕らの前に現れた貴嶺さんは白い着物を纏っていた。雰囲気もさっきまでの気の良い話しやすいお兄さんて感じではなく、神経を研ぎ澄ませてるような。場の空気が澄んだ、泉の周りと近いものになった感覚になる。

「泉に入ってからのが調子いいんだけどな。島からは離れたから、着るものだけでも着て力を使おうと思ってな。本当に良いんだな晴空、凪」
「はい」
(いいぜ)

 大きく息を吐いてすぅっと吸い込み、両の手で形を作った。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」

 晴空のいる辺りが光を帯びる。

「晴空、魂が良い場所へ逝けるよう願いを込めておいた。導かれる方へ素直に向かうんだ。元気でなっていうのはおかしいが、今度生を授かる時は幸せになれよ」
(貴嶺、ありがとな。凪、俺の分絶対幸せになれ。貴嶺ならきっと幸せにしてくれる)
「晴空、ありがとう。僕と双子でいてくれてありがとう。また、近い場所で、産まれることが出来ると良いね」

(そうだな。  じゃぁな!二人とも元気で仲良くやれよ!)
 最後に触れられないけれど、自然と晴空と両掌同士を合わせる形になり、一緒に笑いあい晴空の魂は少しずつキラキラと消えていった。

「あ~あ……逝っちゃった……」
「良かったんだよな、これで…」
「貴嶺さんしつこいよ。晴空が、お兄ちゃんが僕の事考えて最善の選択をとってくれたんだ。潔いんだ。カッコいいんだよ僕のお兄ちゃん…」
「知ってるよ。まだ10代だったのにな。カッコいいよあいつ。ちぇっ、死んだ奴になんて一生勝てねーじゃねぇか」
「そんな事ないんじゃない?」

「凪?どういう意味だ?」
「ふふっ、僕シャワー入って寝るから。お休みなさい」


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