近江一族物語1『融合』

七々虹海

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さよなら

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 海に行った日の夜の事だった。帰ってきた貴嶺さんに唐突に晴空が言ったんだ。

(貴嶺、俺の事成仏させられんだろ?今日それやって)

 『成仏』という言葉を聞いてドキっとした。そっか、、そぅかぁ…。
「どうした晴空。急に…」

(急にじゃないよ。ずっと考えてたんだけどさ、もう凪なら大丈夫。双子の俺って存在がなくても歩いていける。俺が霊体で凪の近くでふよふよしてるのってさ、凪の為に良くないと思ってたんだ。よくテレビ番組の夏の怖い話みたいに、近くにいた霊に引き摺られて死んでしまった…みたいな嘘だかホントだか分からない話。もちろん俺は凪を連れて天国行こうとかそんな事は一切思ってないけれど、万が一って事もあるだろ。こう、霊の俺の方に引き寄せられて凪まで死んでしまった、みたいな。そんな事が起きたら絶対に嫌で俺は自分のことを許せなくなりそうだから、まだ間に合う今のうち、今のうちに天国行った方がいいと思うんだ…。あっ、俺図々しくも天国って言っちゃってるけど、人殺したんだから地獄行きなのかな。それはちょっと怖いな)

「晴空…多分、多分だけどな、お前はずっと悪霊に操られてたようなもんだ。お前の意識がハッキリしてない時に犯した殺人だから罪にはならない。お前は天国に行ける。まぁ実際俺も行ったわけじゃなぇから断言はできねぇけどな、そう思いたいわけよ」
(ありがとね、貴嶺)

「そんな急に今日じゃなくてもいいんじゃないか?ほら、二人で行きたいところに行ってから…とかさ」
(ダメだよ、ずっといたら名残惜しくなっちゃうよ。今日って決めたら今日なんだ。今日二人で海に行ったんだ。その時バッタリ会った同級生とさ、まぁまぁ普通に話せてる凪を見て、もう大丈夫だって決心したんだから…俺の決心鈍らせないでよ…)

 晴空の言葉が一つ一つ、僕の心に流れ込んできた。もちろん寂しい、行かなくていいならそのままでここにいてほしい。でも、
それじゃダメなんだよね。晴空が言ってる事分かるよ…。

「ほんとにいいのか?ほら、また俺の体貸してやるから、また心置き無くエッチなことでも…」
 ふふっ、僕より貴嶺さんのが慌ててて可笑しいや。

(うっ、そんな事したら離れ難くなるじゃん。貴嶺バカなの?つーか、発想がおっさん臭い)
「なっ、俺は最後の思い出作りにって思ってだなぁ…。凪!凪はどうなんだ」
「僕は、晴空に同意するよ」
「凪?!大丈夫なのかお前…」

「お兄ちゃんが見て、僕はもう大丈夫って判断したんなら大丈夫だよ。お兄ちゃん、ありがとね、死んでからも弟の面倒見てくれて。頼りない弟でごめんね」
(頼りないなんて思ったことなかったよ。俺の自慢の弟だ。凪)



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