偏屈恋愛奇譚

橋本健太

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第1章 17歳 〜思春期少年少女と狂気の社会人〜

第4話 港町の旅

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 4月下旬になり、高校2年生としての最初の行事、校外学習が近づいていた。ある日のホームルームで、桜木先生が詳細を話す。 
「さて、2年生最初の行事は、校外学習です。今年の行き先は、神戸です。」
神戸市は、京都市・大阪市と並ぶ関西3都であり、堺市と合わせて政令指定都市である。北野異人館街・南京町・旧居留地と言った異国情緒溢れるエリアや、ハーバーランド・メリケンパークなどの観光地も目白押し。遠足は班行動となる。ゆかりは、神戸市の主要エリアはまだ行ったことがない。
(異国情緒溢れる場所やねんな。)

 班が決まり、班員はこうなった。

・桂木美香
・笹川ゆかり
・萩久保湯月
・福田夏美
・松野里穂

萩久保湯月 16歳。黒髪ロングの奥ゆかしい雰囲気のある子。写真部所属で、グラビアアイドルに興味がある。福田夏美 16歳。茶髪ショートの活発な子。陸上部所属。松野里穂 16歳。黒髪ショートのおっとりした感じの子。全員、2年生になってから、初めて同じクラスになった人である。
「ゆかりさん、分からんことあったら、私に聞いてくれたらええよ。」
委員長で優等生の美香は、キリッとしており、頼もしい雰囲気がある。当日の予定はこうだ。

神戸遠足
2025年4月24日(木)
現地集合・現地解散
集合場所 阪急電鉄 神戸三宮駅
集合時間 午前9時
観光スポット 北野異人館街・南京町・ハーバーランド・ATOAなどなど

班で行きたい場所を考える。遠足まで、あと3日の夜、夕食に中華料理が出て来た。

・青椒肉絲
・ニラレバ炒め
・春巻
・焼売

白飯と中華スープ、中国の食卓のように、長い箸で直接取って食べる。この日、店は臨時休業で、ポートアイランドでの展覧会に行っていた。その帰り、南京町に立ち寄ったと言うことで、夕食も中華料理にしたとのこと。焼売と春巻はスーパーで買ったもの。
「神戸は、いつ行ってもエキゾチックな雰囲気があってええな。」
熱いお茶を飲みながら、焼売をつまむ父。父が神戸の街で気に入ってるのは、三宮の旧居留地の風景。明治時代になり、日本が近代化した頃の西洋文化が入って来た時の雰囲気を感じられるからである。
「神戸市立博物館もええけど、何やアトアって言う水族館、あれは中々洒落とるで。」
「アトア?そういう水族館あるんや。」
水族館に興味津々なゆかり。大阪には、海遊館があるが、それとまた違った魅力を感じているようだ。
「お母さんもね、神戸は好きやで。」
母は、南京町が気に入ってるようだ。横浜中華街に比べると、こじんまりとした箱庭のようだが、門をくぐれば、そこは中華世界のシャングリ・ラ。活気溢れる場所である。ゆかりは、遠足の行き先が神戸であることを告げる。
「遠足でね、神戸に行くんよ。三宮にね。」
娘が遠足で行くことを知り、両親はノリノリになる。
「そうか!!新クラスやもんな!!楽しんで行きや!!!」
「そうやで、ゆかり。これからやで、青春は。」
そう言って、父と母はゆかりのご飯茶碗に、おかずを取って乗せていく。ゆかりは、揚げ立ての春巻きを頬張り、白飯を掻っ込む。神戸への遠足での、楽しみが増えた。南京町で中華料理を堪能すると言う。ルンルン気分になったゆかり、焼売に大量の辛子をつけて食べるが、あまりの辛さにむせた。
「ブフッ!!!」
「そない、ようけ付けるからや。」

 そして、4月24日。遠足当日。目覚ましで目を覚ましたゆかり。
「ん、んー。」
ゆっくりと布団から起き上がり、それから、寝間着を脱ぐ。純白の褌は寝心地が良い。
「さて、行きますか。」
褌を外し、ウェットティッシュで秘部を拭いてから、下着を身に着け、制服に着替える。居間に下りて、朝食を食べる。
「おはよう。」
「おはよう。今日やな?遠足は。楽しんで来いよ。」
娘の新クラスで、最初のイベントである遠足と言うこともあって、父は上機嫌な様子。珈琲を飲み干し、新聞を読む。母から旅費を受け取り、ゆかりは家を出て、駅へ向かった。

 朝の通勤通学ラッシュ時の、阪急電鉄 大阪梅田駅は多くの人で混雑していた。神戸線 特急新開地行きで、阪急電鉄 神戸三宮駅に向かった。駅に着き、東改札口を出て、集合場所の東遊園地に向かう。春の陽気に包まれ、桜が咲くフラワーロードをのんびり歩く。東遊園地に到着し、皆と合流。
「おはよう、ゆかりさん。」
「おはよ、美香さん。」
全員合流した所で、担任から挨拶と説明。班ごとで移動。現在の時刻は9時30分。16時には、ハーバーランドに集合して解散となる。
「このポートタワーを見つけて、ここに来たら大丈夫やからな。」
担任の桜木が念押しし、遠足スタート。ゆかり達は、シティーループバスで北野エリアへ向かう。西洋風のお洒落な街並みが残る旧居留地を走る緑色の小さなバス。
「異人館街に行く班は、この緑色のバスに乗ってな。」
担任に案内され、他のクラスの班もバスに乗る。シティールーブバスはハーバーランドから北上して行き、みなと元町・南京町を通り過ぎる。バスの車窓から、神戸の景色を眺めるゆかり。
「あの赤い門がある場所が南京町?」
初めて見る南京町に、ゆかりは興味津々である。
「ゆかり、南京町行ったことないん?」
湯月に聞かれ、ゆかりは詳しいことを聞く。
「無いわ。どういう所なん?」
「まぁ、行ってのお楽しみやな。」
バスは北野坂を北上し、最初の目的地の北野異人館街に到着した。
「わはっ、ロマンチックな所やね。」
レトロな西洋風の建物が建ち並ぶエリア。ここは、神戸市中央区北野町山本通。明治大正期の洋風建築物が数多く残ることから、異人館街と呼ばれ、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。日本が近代化した明治時代、文明開化で西洋文化を取り入れた。そして、欧米列強の一員となり、大正ロマンなモダニズムを謳歌した時代に、数々建てられたのであろう。ゆかりは、当時に思いを馳せ、ロマンチシズムを感じる。
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