新世代劇画作家出世ストーリー 第２巻 劇画は、事実より奇なり――と言えるのか？

第９話 彼女のすべてが見たい！ そう思うのは、当然だった。

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一人の女が、おれの心をざわめかせる存在になった。

同期で、見目麗しい彼女に惹かれるのは当然だった。
黒髪が風に揺れ、歩くたびに彼女の周りにはどこか洗練された空気が漂っていた。

彼女の母親は下着のファッションモデルとして名を馳せ、彼女もまたモデルの道を志しているという。

そんな彼女におれの心が盗まれた瞬間だった。

早速、得意の作画能力で、近づいた。

彼女の母親は下着のファッションモデルで、真紀子もまた将来はその世界に飛び込むという夢を抱いていた。

おれは、そんな真紀子の一翼を担いたいと思った。

そして、ある日、真紀子がおれに気を許し始めた。

高校生活が始まってから、真紀子が、おれに好意を抱くようになった。
彼女が微笑む度に、おれの心臓が踊るようになっていた。

彼女の視線が暖かくなり、そこから二人の交際が始まった。

おれは普段から写真を趣味としていて、真紀子を被写体に選ぶことにした。

モデルの素質がある彼女を、もっと引き立たせてやりたかった。

彼女との交際は、まるで写真のように美しいものだった。
おれは彼女をモデルにし、二人で写真を撮りまくった。

最初の頃は、それだけで楽しかった。

真紀子はカメラの前で自然な笑顔を見せ、おれはその瞬間を切り取りながら、彼女の美しさに酔いしれていた。
都会の夜景、桜舞う春の日、そしてただただ一緒にいることが楽しいと感じる時間。

初は楽しかった。真紀子は自然な笑顔でカメラに向かって微笑んでくれた。

だが、少しずつ彼女の体型に変化が現れ始め、それが物語を悲劇へと導く兆候だった。
しかし、青春の甘美な風は、やがて変わり果ててしまうことを知らなかった。

甘い未来――。

おれたちはそれに向かって歩んでいた。
しかし、彼女には予測不可能な変化が訪れた。
どこからか湧き上がるように、彼女の食欲が増し、身体は変わり始めた。
おれは最初は気づかなかった。ただ、彼女が夢中になるごはんの話、おかわりをする様子。
まるで彼女の中で何かが暴れているようだった。

しかし、それが嬉しさではなく、むしろ嫌悪感に変わっていくのを感じた。

だが、思春期の嵐が近づいていた。

彼女の体に変化が現れ、それが、その後の転換点となった。
おれは無力だった。
真紀子は、ある日、突如として食欲を増し、太り始めた。おれはそれを何とも思わなかった。
真紀子がどんな姿でも構わない、とおれは彼女を受け入れていたつもりだった。
しかし、真紀子自身がそれを受け入れることはできなかった

だが、思春期特有の葛藤に立ち向かうのは、容易なことではない。

それは、そうだろう。
こんな女子中学生の体型が、これほど大きく変化するとは思えなかったのだ。

そして、真紀子は、自分を――自分自身を嫌悪し始めた。

鏡の前で自分を見つめ、涙をこぼす彼女の姿が、おれの胸に痛みを残した。

彼女は、〈どんどん太っていく自分〉を受け入れることができなくなった。

彼女の瞳には、遠い何かが見えていた。

彼女は、次第に引きこもりがちになり、おれとの距離も広がっていった。

おれは手を差し伸べようとしたが、彼女の肉体は――そして、心はどこか遠くへ行ってしまったようだった。

これが、おれが、彼女の肉体美を描いた――最後の一枚になった。

出来るだけ、修正したつもりだったが、いくら作画でも、嘘をつくことはできない。

これが、彼女の現実だった――。