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―第二十三話― ツツジ
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「『拘束』、『起きろ』」
「……も、もうちょっと寝かせて……」
「おい、俺はお前の母ちゃんじゃねえぞ」
「……!? え、なんであなたが!?」
「お前を気絶させた後に家まで引っ張ってきた。傷とか魔力とかは回復しているから安心しろ」
「いや、安心できないわよ!! ちょ、体も動かないし、寝ている間に変なことしてないでしょうね!?」
「するかアホ!! というか、今からお前に質問をするから、すべて正直に答えろ。……ま、答えなくても無理やり吐かせるけど」
能力を使えばたぶんできるはず!
「まずは一つ目。名前、職業を教えろ」
「……ツツジ。職業はアサシン」
「それじゃあ、二つ目。なぜおれを狙った?」
「…………」
「『話せ』」
「……復讐」
「………………は?」
俺、復讐されるようなことしたっけ!?
そういえば、戦闘中にもなんか言ってたな。
「三つ目。何に対しての復讐だ?」
「それは……」
◆
「《そこまで》」
視界が歪み、なぜか夢の中で現れるあの部屋に立っていた。
「その質問はタブーだ」
ルビーからその一言だけ告げられ、俺はまた現実に戻ってきた。
◆
「……すまん。今の質問には答えなくていい」
その言葉にツツジは、悲しそうな、嬉しそうな表情を浮かべる。
「とりあえず、お前の処分についてだが……」
「殺して」
「……いや、そこまでするつもりはないんだが」
「あなたを殺すことに失敗した時点で、私が生きる意味なんてないのよ」
「いや、そうまでして殺すほどの人間じゃないと思うぞ」
「あなたが殺さないんだったら!」
そう言ってツツジは口を大きく開けた。
「『やめろ』!!」
こいつ、舌を噛もうとしやがった!?
「ようし、わかった。とりあえず『落ち着け』」
能力を使い、無理やり精神状態を安定させる。
「……改めて、お前の処分を言い渡すぞ」
ツツジの首肯を確認し、俺は端的に告げた。
「お前、俺の仲間になれ」
「!?」
「勘違いするなよ? 仲間に引き入れたほうが、お前を監視下においておけるというのが理由だからな」
それに、と一言置き。
「お前とは、初対面のような気がしないんだよ」
その言葉を聞いたツツジは、大粒の涙を流した。
「ちょ、なんでそこで泣くんだよ!?」
「――――――」
「あ、能力解除してなかったな。『解』」
「あなたのことを殺そうとしたのに、いいの?」
「ん? そんなことだったら、俺は気にしていないぞ。だから、安心しろ」
◆
「と、いう事で。こいつは今日からこのパーティーの一員だからな」
「よ、よろしくお願いします」
「……リア、ちょっと来い」
「は、はい……」
「あんた、正気?」
「な、何が?」
「初対面で、しかも殺されそうになった相手を仲間に引き入れるとか、どう考えても狂っているとしか思えないわよ」
「でも、実力は保証するぜ。なんてったって、俺が殺されかけたんだからな」
「それが問題なのよ。もし仮に、彼女がまたあんたを殺そうとしたら、誰が止めるのよ」
「大丈夫。そのときは、本当に命がけで止めに行くから」
「それでも無理だったら?」
「そんなことはありえないから大丈夫」
「……私としては、あまり賛成できないのだけれど……」
「とーにーかーく、俺が決めたことだ。ほら、今度あのクレープを買ってくるからさ」
「……五個は買ってちょうだいよ?」
逆に、五個渡せば賛成してくれるのかよ。
「はい。改めまして、ツツジはこのパーティーの一員だからな。よろしく頼むぞ」
「こちらこそよろしくお願いします」
「それと、ジャスミン」
「なに?」
「家が決まるまでは、ジャスミンの家にツツジを置いてくれない?」
「はぁ!?」
「……も、もうちょっと寝かせて……」
「おい、俺はお前の母ちゃんじゃねえぞ」
「……!? え、なんであなたが!?」
「お前を気絶させた後に家まで引っ張ってきた。傷とか魔力とかは回復しているから安心しろ」
「いや、安心できないわよ!! ちょ、体も動かないし、寝ている間に変なことしてないでしょうね!?」
「するかアホ!! というか、今からお前に質問をするから、すべて正直に答えろ。……ま、答えなくても無理やり吐かせるけど」
能力を使えばたぶんできるはず!
「まずは一つ目。名前、職業を教えろ」
「……ツツジ。職業はアサシン」
「それじゃあ、二つ目。なぜおれを狙った?」
「…………」
「『話せ』」
「……復讐」
「………………は?」
俺、復讐されるようなことしたっけ!?
そういえば、戦闘中にもなんか言ってたな。
「三つ目。何に対しての復讐だ?」
「それは……」
◆
「《そこまで》」
視界が歪み、なぜか夢の中で現れるあの部屋に立っていた。
「その質問はタブーだ」
ルビーからその一言だけ告げられ、俺はまた現実に戻ってきた。
◆
「……すまん。今の質問には答えなくていい」
その言葉にツツジは、悲しそうな、嬉しそうな表情を浮かべる。
「とりあえず、お前の処分についてだが……」
「殺して」
「……いや、そこまでするつもりはないんだが」
「あなたを殺すことに失敗した時点で、私が生きる意味なんてないのよ」
「いや、そうまでして殺すほどの人間じゃないと思うぞ」
「あなたが殺さないんだったら!」
そう言ってツツジは口を大きく開けた。
「『やめろ』!!」
こいつ、舌を噛もうとしやがった!?
「ようし、わかった。とりあえず『落ち着け』」
能力を使い、無理やり精神状態を安定させる。
「……改めて、お前の処分を言い渡すぞ」
ツツジの首肯を確認し、俺は端的に告げた。
「お前、俺の仲間になれ」
「!?」
「勘違いするなよ? 仲間に引き入れたほうが、お前を監視下においておけるというのが理由だからな」
それに、と一言置き。
「お前とは、初対面のような気がしないんだよ」
その言葉を聞いたツツジは、大粒の涙を流した。
「ちょ、なんでそこで泣くんだよ!?」
「――――――」
「あ、能力解除してなかったな。『解』」
「あなたのことを殺そうとしたのに、いいの?」
「ん? そんなことだったら、俺は気にしていないぞ。だから、安心しろ」
◆
「と、いう事で。こいつは今日からこのパーティーの一員だからな」
「よ、よろしくお願いします」
「……リア、ちょっと来い」
「は、はい……」
「あんた、正気?」
「な、何が?」
「初対面で、しかも殺されそうになった相手を仲間に引き入れるとか、どう考えても狂っているとしか思えないわよ」
「でも、実力は保証するぜ。なんてったって、俺が殺されかけたんだからな」
「それが問題なのよ。もし仮に、彼女がまたあんたを殺そうとしたら、誰が止めるのよ」
「大丈夫。そのときは、本当に命がけで止めに行くから」
「それでも無理だったら?」
「そんなことはありえないから大丈夫」
「……私としては、あまり賛成できないのだけれど……」
「とーにーかーく、俺が決めたことだ。ほら、今度あのクレープを買ってくるからさ」
「……五個は買ってちょうだいよ?」
逆に、五個渡せば賛成してくれるのかよ。
「はい。改めまして、ツツジはこのパーティーの一員だからな。よろしく頼むぞ」
「こちらこそよろしくお願いします」
「それと、ジャスミン」
「なに?」
「家が決まるまでは、ジャスミンの家にツツジを置いてくれない?」
「はぁ!?」
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