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10 これもデートの内ですか?3
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予想はしていたけど、明るい店内に入り通路を歩いていると、隣にいる伊倉さんの容姿はとても女の人の目を引く存在なんだと改めて認識した。通り過ぎる女の人の視線が必ずといっていいほど伊倉さんに集中していたことが傍にいた紬にはよく分かった。
けど、当の本人は慣れてるのだろう。全く動じる様子がない。
で、その人たちは申し合わせたかのように、目を奪われた男と一緒に歩いているちっこい平凡な紬を見て、ええ~っ、これ!?っていう顔をする。
いいんですけどね。自分でも嫌っていうほど自覚はありますけどね。だからと言って傷つかない訳じゃないんですよ・・・。
どうしてそんな目で見られるかというと、店内に入っても手を繋がれたまま歩いているから。誰がどうみても付き合ってると思いますよねー・・・。実際にはまだ、だけど。
スタイル抜群の伊倉さんと比べると、顔も平均平凡な見た目のおこちゃま以外にも、かなり子供っぽい格好をしているのも一因だとは思う。まだ仕事帰りだからスカートにタイツなだけマシなんだけど。普段着はもっと地味で、無精。スカートなんてほぼ履かない。
でもこれは仕方ないとは思う。まさかこんな風に仕事帰りに誰かと出かけることがあるなんて予想してなかったのだから。それも男性と。そしてかなりなイケメンと!
心の中で誰かに対して言い訳をしてみる。
いつまで手、繋いだままなんだろう。自分から離してって言えばいいのかな。でも、離してほしくはないような・・・。
時々ちらりと目線を上げると、嬉しそうな雰囲気の伊倉さんの横顔が見える。
伊倉さんも、同じ気持ちでいるのかな?
結局自分からは言い出せず、長靴を試しに履くときに手を離したのをきっかけに再び繋ぐことはなかったけど、スーパーではカートを押してくれたり、買い物し終わったエコバッグ(常に畳んでバッグに入れてある)を持ってくれたりしてくれた伊倉さんに、ときめきっ放しな紬だった。
***
まだ降り続けている雪は、出かけてからさほど時間が経っていないというのに辺りの景色を白く染め上げている。
お使いを終え、無事に紬達は大野家へと帰ってきた。車から降りる前に買ってきた荷物を持ってくれている伊倉さんは玄関まで運んでくれるというので、申し訳ないなと思いつつお願いした。
車庫から玄関までのほんの短い距離でも体に雪が幾つも張り付いた。玄関庇の下に入ると軽く雪を払った。
「大野さん、今日は有難うございます。助かりました。この雪の中、運転大変だったでしょう?」
「そんなことないです。こっちこそ急に連れ出したみたいになってしまって」
「とんでもない。思いがけずデートに出かけられたと思って役得だと思ってますから」
「デ、デート!?」
紬はただお母さんに頼まれたお使いに出かけただけのつもりだったけど、伊倉さんに言われたことで改めて考えれば確かにデートと言えなくもないと思った。一度そう認識してしまうと、もうデートだったんだと確定された気がした。
「そっ、そっか。こういうのもデートになるんだ。うわー、どうしよ、嬉しい。初デートだ・・・」
ぽっと心が温かくなった気がした。照れくさくなった紬は片手を口に当て少し俯いた。
そう、紬は今までデートと呼べるイベントをしたことが無かったのだ。
「―――初?あの、大野さん、聞き間違えでなければ、今『初デート』と言いました?」
けど、当の本人は慣れてるのだろう。全く動じる様子がない。
で、その人たちは申し合わせたかのように、目を奪われた男と一緒に歩いているちっこい平凡な紬を見て、ええ~っ、これ!?っていう顔をする。
いいんですけどね。自分でも嫌っていうほど自覚はありますけどね。だからと言って傷つかない訳じゃないんですよ・・・。
どうしてそんな目で見られるかというと、店内に入っても手を繋がれたまま歩いているから。誰がどうみても付き合ってると思いますよねー・・・。実際にはまだ、だけど。
スタイル抜群の伊倉さんと比べると、顔も平均平凡な見た目のおこちゃま以外にも、かなり子供っぽい格好をしているのも一因だとは思う。まだ仕事帰りだからスカートにタイツなだけマシなんだけど。普段着はもっと地味で、無精。スカートなんてほぼ履かない。
でもこれは仕方ないとは思う。まさかこんな風に仕事帰りに誰かと出かけることがあるなんて予想してなかったのだから。それも男性と。そしてかなりなイケメンと!
心の中で誰かに対して言い訳をしてみる。
いつまで手、繋いだままなんだろう。自分から離してって言えばいいのかな。でも、離してほしくはないような・・・。
時々ちらりと目線を上げると、嬉しそうな雰囲気の伊倉さんの横顔が見える。
伊倉さんも、同じ気持ちでいるのかな?
結局自分からは言い出せず、長靴を試しに履くときに手を離したのをきっかけに再び繋ぐことはなかったけど、スーパーではカートを押してくれたり、買い物し終わったエコバッグ(常に畳んでバッグに入れてある)を持ってくれたりしてくれた伊倉さんに、ときめきっ放しな紬だった。
***
まだ降り続けている雪は、出かけてからさほど時間が経っていないというのに辺りの景色を白く染め上げている。
お使いを終え、無事に紬達は大野家へと帰ってきた。車から降りる前に買ってきた荷物を持ってくれている伊倉さんは玄関まで運んでくれるというので、申し訳ないなと思いつつお願いした。
車庫から玄関までのほんの短い距離でも体に雪が幾つも張り付いた。玄関庇の下に入ると軽く雪を払った。
「大野さん、今日は有難うございます。助かりました。この雪の中、運転大変だったでしょう?」
「そんなことないです。こっちこそ急に連れ出したみたいになってしまって」
「とんでもない。思いがけずデートに出かけられたと思って役得だと思ってますから」
「デ、デート!?」
紬はただお母さんに頼まれたお使いに出かけただけのつもりだったけど、伊倉さんに言われたことで改めて考えれば確かにデートと言えなくもないと思った。一度そう認識してしまうと、もうデートだったんだと確定された気がした。
「そっ、そっか。こういうのもデートになるんだ。うわー、どうしよ、嬉しい。初デートだ・・・」
ぽっと心が温かくなった気がした。照れくさくなった紬は片手を口に当て少し俯いた。
そう、紬は今までデートと呼べるイベントをしたことが無かったのだ。
「―――初?あの、大野さん、聞き間違えでなければ、今『初デート』と言いました?」
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