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勇者エリシオ編
第25話:困惑する魔族
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「しばらく、ここに入って考えてもらうわ」
ソレミアはそう言うと、魔族の男を異空間牢の独房に残して去ってゆく。
「ザグレブ、お前も来たのか」
しばらくして、ソレミアから新たに魔族を捕らえたと知らされたルシエが来て話しかける。
その姿は、銀灰色の仔猫。
「ま…魔王様、おいたわしいお姿に…」
ザグレブと呼ばれた男は、ルシエが無理やりその姿に変えられたと思ったのか、不憫でならない様子。
仔猫の額にも血印があるのが分かり、彼はルシエの傍らにいる金髪の少年をギロリと睨む。
「人間め、よくも魔王様を辱めたな!」
「?」
殺気を隠さず睨んだにも関わらず、当の6歳児は全く怯えもせずキョトンとするのみ。
「いや、違うぞ?」
代わりに仔猫魔王がツッコミを入れた。
「エリは我を封印から解き放ち、こうして動けるように常時魔力を与え続けておる」
「愚かな人間が好奇心で封印を解いたのではないのですか?」
「否、我の正体を知った上で解いている。従魔契約は我が望んで交わしたものだ」
ルシエはヒョイッと跳んでエリシオの肩に乗り、前足でチョイチョイと頬をつつく。
察したエリシオが仔猫を肩から降ろして抱っこすると、ポンッと音を立ててルシエは少女(?)の姿に戻った。
「仔猫の姿はエネルギー消費を抑える為に過ぎぬ。こちらの姿だと消費が多過ぎるからな」
少年にお姫様抱っこされながら言う女の子(?)は、可愛らしいばかりで魔王らしさが無い。
ザグレブがよく知る魔王は成人した姿だからかもしれないが、年齢を差し引いても雰囲気が違う。
「存在エネルギーを吸収出来なくなったというのは、本当なのですね…」
「うむ。我はそれでよい。そなたら眷属からエネルギーを奪う事もせぬ」
その穏やかな笑みは、魔王として生きた時代は勿論、古代帝国時代でも見た事の無いものだった。
「私も捕まった直後は、魔王様が人間を滅ぼさないと言うのが信じられなかったわ」
スッと現れたロミュラが、猫から魔族の姿に戻って言う。
「でも、プルミエ王国の魔道具や人々の生活を見て、私たちの文明よりも優れていると感じた。それを滅ぼす必要は無いと思ったから、私も自分で望んで従魔契約をしたのよ」
語るロミュラの隣にスッとチビ黒竜クーロも出て来て、血印が刻まれた額を指差して自分もこっち側についたよアピールをする。
すると何故か魔族とは無関係の純白大型犬(犬神)白雪まで出て来て、クーロの真似をして自身の額を前足で指し示す。
「よ…4体も…?!」
従魔契約を魔王やロミュラの他に黒竜や犬神までも受けていると知り、ザグレブはエリシオが持つ魔力量に動揺し始める。
「我が意識を保てる量の魔力を供給出来る時点で驚くべきだがな」
驚くのが遅いと言いた気にルシエが言う。
「しかもこの子は、魔力抑制装備を着けながら供給してるのよ」
ロミュラの言葉に、ザグレブは更に驚愕した。
「…そんな…。では、その抑えた魔力を解放すれば…」
人間の域を遥かに超える魔力に、驚きつつ期待も沸く。
「我が力を使う事も可能であろう。…滅びの魔法など二度と使う気はないがな」
ルシエはそれを肯定しつつも、期待に応えるつもりは無い事を告げた。
ソレミアはそう言うと、魔族の男を異空間牢の独房に残して去ってゆく。
「ザグレブ、お前も来たのか」
しばらくして、ソレミアから新たに魔族を捕らえたと知らされたルシエが来て話しかける。
その姿は、銀灰色の仔猫。
「ま…魔王様、おいたわしいお姿に…」
ザグレブと呼ばれた男は、ルシエが無理やりその姿に変えられたと思ったのか、不憫でならない様子。
仔猫の額にも血印があるのが分かり、彼はルシエの傍らにいる金髪の少年をギロリと睨む。
「人間め、よくも魔王様を辱めたな!」
「?」
殺気を隠さず睨んだにも関わらず、当の6歳児は全く怯えもせずキョトンとするのみ。
「いや、違うぞ?」
代わりに仔猫魔王がツッコミを入れた。
「エリは我を封印から解き放ち、こうして動けるように常時魔力を与え続けておる」
「愚かな人間が好奇心で封印を解いたのではないのですか?」
「否、我の正体を知った上で解いている。従魔契約は我が望んで交わしたものだ」
ルシエはヒョイッと跳んでエリシオの肩に乗り、前足でチョイチョイと頬をつつく。
察したエリシオが仔猫を肩から降ろして抱っこすると、ポンッと音を立ててルシエは少女(?)の姿に戻った。
「仔猫の姿はエネルギー消費を抑える為に過ぎぬ。こちらの姿だと消費が多過ぎるからな」
少年にお姫様抱っこされながら言う女の子(?)は、可愛らしいばかりで魔王らしさが無い。
ザグレブがよく知る魔王は成人した姿だからかもしれないが、年齢を差し引いても雰囲気が違う。
「存在エネルギーを吸収出来なくなったというのは、本当なのですね…」
「うむ。我はそれでよい。そなたら眷属からエネルギーを奪う事もせぬ」
その穏やかな笑みは、魔王として生きた時代は勿論、古代帝国時代でも見た事の無いものだった。
「私も捕まった直後は、魔王様が人間を滅ぼさないと言うのが信じられなかったわ」
スッと現れたロミュラが、猫から魔族の姿に戻って言う。
「でも、プルミエ王国の魔道具や人々の生活を見て、私たちの文明よりも優れていると感じた。それを滅ぼす必要は無いと思ったから、私も自分で望んで従魔契約をしたのよ」
語るロミュラの隣にスッとチビ黒竜クーロも出て来て、血印が刻まれた額を指差して自分もこっち側についたよアピールをする。
すると何故か魔族とは無関係の純白大型犬(犬神)白雪まで出て来て、クーロの真似をして自身の額を前足で指し示す。
「よ…4体も…?!」
従魔契約を魔王やロミュラの他に黒竜や犬神までも受けていると知り、ザグレブはエリシオが持つ魔力量に動揺し始める。
「我が意識を保てる量の魔力を供給出来る時点で驚くべきだがな」
驚くのが遅いと言いた気にルシエが言う。
「しかもこの子は、魔力抑制装備を着けながら供給してるのよ」
ロミュラの言葉に、ザグレブは更に驚愕した。
「…そんな…。では、その抑えた魔力を解放すれば…」
人間の域を遥かに超える魔力に、驚きつつ期待も沸く。
「我が力を使う事も可能であろう。…滅びの魔法など二度と使う気はないがな」
ルシエはそれを肯定しつつも、期待に応えるつもりは無い事を告げた。
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