転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~

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華蓮~カレンの幼年期

ep16:華蓮視点⑥

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「カレン、王宮で貴族の子供たちを集めたお茶会があるのだけど、あなたも行ってみない?」

 4歳の誕生日を迎えた頃、母ヴィオレットが微笑みながら私に言った。
 私が知らない、4歳のカレンのイベント。
 でも、王宮と聞いた途端、嫌な予感がした。

「ううん、行きたくない。そんな暇があったら本が読みたいわ」

 私は素っ気なく断り、屋敷の書庫へ向かう。
 ゲームのカレンは書物なんて見向きもしなかったけれど、私は本を読むのが大好きだ。
 書庫から分厚い本を持ち出して抱えながら自室へ戻る途中、通りかかった父の執務室から声が聞こえてきた。

「断られてしまいましたわ」
「カレンは騒がしい場所が嫌いな大人しい子だから、仕方ないさ」

 母と父が、そんな話をしている。
 ゲームのカレンなら真逆で、社交の場となれば張り切って行くのでしょうけど。
 私は、人が多い場所はあまり好きじゃない。

「王太子殿下もいらっしゃるから、会わせたかったのですけどね」

 母の言葉を聞いて、断ったのは正解だったと思う。

 ゲームのカレンは、ルナがこの屋敷に引き取られる以前から、婚約者がいた。
 それが、エトワール王国の王太子レグルス・ドーファン・ル・エトワール。
 ゲーム画面で見たレグルスは、クラシック・ショートバック&サイドに整えた鮮紅色の髪と金色の瞳をもつイケメン。
 情熱的で行動力があり、直感力にも優れたメイン攻略対象だった。

 でも、カレンの立場からしたら、いずれ婚約破棄を言い渡してくる最悪の相手だ。
 とにかく避けて、顔も覚えてもらえないくらい無関係でいよう。

 その前に。
 両親にはしっかり意思表示しておかないと。

「お父様、お母様、カレンです。お伝えしておきたいことがあります」
「どうした? 入っておいで」

 執務室の扉をノックして、父の返事を聞いた私は扉を開けた。
 執務用のどっしりした机の向こう側に、父が座っている。
 傍らに立つ母が、何事だろうかと首を傾げてこちらを向いた。
 父も母も、私に向けるまなざしは優しく、我が子への愛情に満ちている。
 この愛情があるうちに、私の望みを伝えておかなきゃいけない。

「私は、お茶会には一切参加致しません」
「まだ一度も参加したことがないのに、拒否するほどの何かがあるのかい?」

 宣言する私に、父は真面目に穏やかに問いかける。
 4歳の娘の話をちゃんと聞こうとしてくれるあたり、彼は今のところ良い父親だ。

「私は、令嬢として社交の場に出るつもりは無いからです」
「まあカレン、それでは素敵な御縁に巡り合えなくてよ」

 社交も拒否すると告げる私に、母が心配そうに忠告する。
 この世界の女性の中には、生涯独身のまま仕事に打ち込む人もいる。
 でも、貴族の女性の多くは、働かなくても優雅な生活を送れることから、結婚する人が大半だった。

「はい、それで構いません。私は勉学だけに時間を使い、大魔導士になりたいのです」

 私は胸を張り、きっぱりと言い切る。
 他の貴族の令嬢たちみたいに、勝手に婚約者を決められたら困るし。
 その心の深いところには、今も消えない陽太くんへの想いがあった。
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