転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~

BIRD

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華蓮~カレンの幼年期

ep17:華蓮視点⑦

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 この世界に生まれて5年が過ぎた。
 明日は、両親から溺愛されながら迎える、最後の誕生日。
 屋敷の人々が寝静まった深夜、私は屋根の上に立ち、夜空の星々を見上げた。
 プラネタリウムのように無数に煌めく星々が形作る星座は、日本から見える夜空とは違う。
 ゲームで見慣れた夜空とはいえ、馴染みのものかといえばそうは思えなかった。

(……もうすぐ、全てが壊れる……)

 夜風が、私の長い髪を揺らす。
 膝下まで伸びた髪は、ゆるく巻いた艶やかな黒髪。
 父と同じ色で、美しいと褒められる髪だけど、聖女ルナが来ればカレンが褒められることはなくなる。

(ルナが来れば、お父様は私を愛さなくなり、お母様は怒りっぽくなる……)

 カレンの幸せな生活は、5歳までのこと。
 もうすぐやってくる異母妹に、父の興味が移るまでの短い幸せ。

(ソレイユは、今頃どうなってるのかしら……)

 私は、前世で列車事故に遭う前に観た映画を覚えている。
 映画で見たソレイユ王国は、ルナやカレンが5歳になる頃に、高位魔族の奇襲を受けて壊滅状態になっていた。
 ただ、具体的な月日は分からないし、海外への発言力なんて無い私には、危険を報せる術も無かった。


 ◇◆◇◆◇


「先生、ソレイユ王国に炎の玉がたくさん降り注ぐ夢を見たわ。先生の実家は大丈夫?」

 私は、せめてクレール先生の身内だけでも救えないかと、不吉な夢を見たという形で危機を伝えた。
 すると、クレール先生は、映画とは全く異なる出来事を教えてくれた。

「大丈夫ですよ。ハッキリと姿を見た者はいないのですが、魔族が放ったと思われる黒い火球は、王妃様と王太子様の光の防壁で防がれたそうです」

 光の防壁なんて、映画には出てこなかった。
 空が暗くなったと思ったら大量に降り注いだ火球は、防ぐ余裕もなくソレイユを焦土に変えたと語られていた。

「今は、厳重な防壁が施されているので、きっとどこよりも安全な国になっていますよ」

 クレール先生は、私が異国への不安を抱いているのではと思ったのかもしれない。

 推薦入学が内定した私は、無試験での入学が決まっている。
 でも、ソレイユが滅亡すれば、全ては白紙になってしまう。
 それを知る私は、申し訳ないけれど第二候補としてリュンヌ皇国を希望しておいた。

(……ソレイユのシナリオが変わった? 何故? まさか、向こうにも転生者がいるの?)

 シナリオが改変されたことを知った私は、大きく心を揺さぶられた。

 光の防壁で王国の危機を救った王妃様と王太子様は、転生者なの?
 2人が転生者だとしたら、中の人は誰?!
 もしかして……陽太くんや美月ちゃんが宿っているのかな……。
 こうなったら、絶対にソレイユ王国へ行こう。

 ……でも、どっちが陽太くん?!

「どうしました?」
「あ、いえ、ソレイユ王国の王族の方は凄いなぁって思ったの」

 動揺しながら考え込んでいた私は、怪訝な顔をしたクレール先生に問いかけられて、慌てて我に返った。
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